- cosx=k (-1k1)
の解は、1周期あたり2つずつある(もちろんk=1や-1のときは「重解」だから一つ)。図の●と○。
y=cosxは「偶関数」なので、●と○の関係は、x=0に関して対称、といえる。
それをはっきりさせるために、図では、1周期をわざと-πから、πにとってある。
したがって、○をθとすれば、●は(-θ)といえる。
y=cosxは周期2πの周期関数だから、
○すなわちθが解なら、θ+2nπ (ただし、nは任意の整数) も解であり、
●すなわち(-θ)が解なら、(-θ)+2nπ (ただし、nは任意の整数) も解である。
つまり、上の方程式の一般解は、どれか一つの解をθとすれば、
θ+2nπ (ただし、nは任意の整数)
または、
-θ+2nπ (ただし、nは任意の整数)
- ならば、
cosα=cosβを満たすα,βの関係は、と言われたら、
β=α+2nπ (ただし、nは任意の整数)
または、
β=-α+2nπ (ただし、nは任意の整数)
となる。
ということを、私があまり「好きではない」(笑)問題集の解説者は、強調したいらしいのだ。
私としては(笑)、これはあまり「いけている」方法ではなく、「・・・と変形して、解いてもよい」と書かれている(笑)方法のほうが、好きだ。その理由は後で述べる。
cosは「偶関数」だから、比較的うまくいった。sinではどうだろうか?
- sinx=k (-1k1)
の解は、1周期あたり2つずつある。図の●と○。
y=sinxは「奇関数」なので、cosの場合ほど分かりやすくはないが、●と○の関係は、x=π/2に関して対称、といえる。
それをはっきりさせるために、図では、1周期をわざと-π/2から、3π/2にとってある。
したがって、○をθとすれば、●は(π-θ)といえる。
y=sinxは周期2πの周期関数だから、
○すなわちθが解なら、θ+2nπ (ただし、nは任意の整数) も解であり、
●すなわち(π-θ)が解なら、(π-θ)+2nπ (ただし、nは任意の整数) も解である。
つまり、上の方程式の一般解は、どれか一つの解をθとすれば、
θ+2nπ (ただし、nは任意の整数)
または、
-θ+(2n+1)π (ただし、nは任意の整数)
- ならば、
sinα=sinβを満たすα,βの関係は、と言われたら、
β=α+2nπ (ただし、nは任意の整数)
または、
β=-α+(2n+1)π (ただし、nは任意の整数)
となる。
と、なんとかなることはなる。でも、どうしてこんな方法をとるのかなぁ?、という疑問が、私には残る。
大げさにいうのならば(笑)、これは「方法論」上の立場の違い(笑)、なのだが、
私は、数学の問題を解く際、できるかぎり、なぁ〜んにも頭を使わないで、「ルール」に則って「作業」を進めていったら、あ、解けていました、というのが一番「エレガント」な方法、だと思っている。
誰にでもできる、という意味で、それは「民主的」(!)であるし、
何度繰り返しても同じ結果がでる、という意味で、それは「安定」している!
- cosα=cosβを満たすα,βの関係は?
「差・積」の公式、で、
cosα-cosβ=0
-2sin{(α+β)/2}sin{(α-β)/2}=0
sin{(α+β)/2}sin{(α-β)/2}=0
すなわち、
sin{(α+β)/2}=0または、sin{(α-β)/2}=0
sinx=0 の一般解は、x=nπ (ただしnは任意の整数)
であるから、
(α+β)/2=nπ (ただしnは任意の整数)
(α-β)/2=nπ (ただしnは任意の整数)
すなわち、
β=α+2nπ (ただしnは任意の整数)
または、
β=-α+2nπ (ただしnは任意の整数)
- sinα=sinβを満たすα,βの関係は?
「差・積」の公式、で、
sinα-sinβ=0
2cos{(α+β)/2}sin{(α-β)/2}=0
cos{(α+β)/2}sin{(α-β)/2}=0
すなわち、
cos{(α+β)/2}=0または、sin{(α-β)/2}=0
cosx=0 の一般解は、x=(2n+1)π/2 (ただしnは任意の整数)
sinx=0 の一般解は、x=nπ (ただしnは任意の整数)
であるから、
(α+β)/2=(2n+1)π/2 (ただしnは任意の整数)
(α-β)/2=nπ (ただしnは任意の整数)
すなわち、
β=α+2nπ (ただしnは任意の整数)
または、
β=-α+(2n+1)π (ただしnは任意の整数)
- ついでに、sinα=cosβを満たすα,βの関係は?、なら?
sinα-cosβ=0
どうやら、一般解については、cosのほうが扱いやすいので、sinをcosに変える。もちろん「余角」を使って。
cos(π/2-α)-cosβ=0
上の結論から、
β=(π/2-α)+2nπ (ただしnは任意の整数)
または、
β=-(π/2-α)+2nπ (ただしnは任意の整数)
すなわち、
β=α+2nπ-π/2 (ただしnは任意の整数)
または、
β=-α+2nπ+π/2 (ただしnは任意の整数)
もう一つ「自画自賛」しておくと、
A=B
という型の方程式よりも、
XY=0
という型の方程式の方が、すぐれている(!)のは、
X=0または、Y=0、そのたった二つの場合しかない(!)と、断言できるところにある。
数学の問題を解く、というのは、・・・が解である、ということを言うことでは、ない。
・・・以外に解は、絶対に存在しない、ということを立証することなのでありますから・・・。
- 話が長くなりまして・・・。
cos5θ+cos3θ=0、でした。
私があまり「好きではない」(笑)問題集の解説者のとる方法は、
cos5θ=-cos3θ
cos5θ=cos(π-3θ)
上の結論から、
5θ=(π-3θ)+2nπ (ただしnは任意の整数)
または、
5θ=-(π-3θ)+2nπ (ただしnは任意の整数)
すなわち、
8θ=(2n+1)π (ただしnは任意の整数)
または、
2θ=(2n-1)π (ただしnは任意の整数)
もちろん後者は、
2θ=(2n+1)π (ただしnは任意の整数)
でかまわない。
よって、
θ=(2n+1)π/8 (ただしnは任意の整数)
または、
θ=(2n+1)π/2 (ただしnは任意の整数)
- わたくし的には(笑)、
cos5θ+cos3θ=0
2cos4θcosθ=0
cos4θcosθ=0
すなわち、
cos4θ=0または、cosθ=0
4θ=(2n+1)π/2 (ただしnは任意の整数)
または、
θ=(2n+1)π/2 (ただしnは任意の整数)
よって、
θ=(2n+1)π/8 (ただしnは任意の整数)
または、
θ=(2n+1)π/2 (ただしnは任意の整数)
- y=cos5xと、y=-cos3xのグラフ、重ねて描いてみました。
π/8ごとに縦に点線引いてあります。二つのグラフの交点が、上の解になっていることが分かるでしょう?
- ついでに、y=cos5x+cos3xのグラフ。
物理学における「重ね合わせの原理」の好例で、二つの波長の異なる正弦波(純音)が重なって、こんな新たな波(音)が発生するのです。
波長の比が3:5という、結構小さな整数比ですから、かなり「調和的」な和音になっているはずです。