2000年8月9日
カホラウェ島の汚染除去作業は、決して終わらないかも知れない
問題点:カホラウェ島からの弾薬の除去について、海軍はその目標を達成できない見通しを語った。
我々の見解:ハワイ人による保護区域として島を利用することは、必要な対策を実施すれば依然として可能である。
長年にわたる抗議行動、無許可の上陸行動の後に、議会は1993年になってやっとのことでカホラウェ島の州への返還を認め、何十年にもわたる爆撃演習の間に投下された弾薬の除去作業に4億ドルの予算を計上した。この除去作業は2003年に完了するとされている。
海軍は当初、2万8千エーカーの島の全域の地表の100%、および地表から4メートルの表層土のうち30%から弾薬を除去することが可能だと予測していた。今、海軍はカホラウェ島保全委員会に対して、過去一年間以上の作業を通じて得られた資料から、その目標の62%しか達成できないとの見込みを伝えてきた。現在までのところ2千4百エーカーの地表および表層土の弾薬が除去されたに過ぎない。
ポール・ボルコウスキ少佐は、海軍は弾薬がどこにあるかを把握していないし、除去作業には余りにも多くの未知の変動要因がありすぎて、まるでこのプロジェクトは「月ロケットの打ち上げのようだ」と語っている。
カホラウェ島保全委員会の代表のコーニ・フェアバンクス氏によれば、島の多くの地域が2003年までにはとうてい完全に浄化されることはないことは明らかだという。若干の弾薬が残留したままであっても、安全な土地利用を認めるために何をなすべきかを決めることが、委員会の課題だという。
海軍は委員会に対して、新たな予測にしたがって適用すべき作業の優先順位を明らかにするように求めている。委員会は現在、ハワイ人による島の有効利用を可能にすべき9段階にわたる計画を策定中である。
この計画には、危険な地域を訪れる人に注意を喚起する印をつけること、島を縦断する道路建設、内陸部よりも利用が多いと思われる海岸地帯の除去作業などが含まれている。
不幸なことに、除去作業に割り当てられている資金ならびに時間は、明らかに不十分である。議会はこの目的のためにこれ以上の予算を計上する見込みがないことから、ハワイ人としては弾薬の完全な除去を待たずにカホラウェ島の文化的保護地域としての利用を考えなければならなくなってきている。
合理的な対策が講じられれば、この島を訪れる人々が、不必要な危険にさらされることなく、ハワイ文化について学ぶ有意義な経験を持つことができるはずである。
http://starbulletin.com/2000/08/28/editorial/editorials.html#jump
Thursday September 21 3:17 AM ET
ハワイの島の汚染除去作業、資金不足
ベン・ディピエルト(AP)
ホノルル(AP):カホラウェは先住ハワイ人にとっては、彼らの神が住む聖地であり、古くから空の星を頼りに航海していた船乗りたちの目印となった島であった。
今日、それは傷つけられた島となってしまった。何十年にもわたる爆撃及び射撃演習の結果、何トンもの兵器の廃棄物が、地表にクレーターをうがち、地中にも埋め込まれている。
ハワイ人の長老たちが古代より伝わるポリネシアの文化を次世代に受け継ぐよう育てられてきたこの島の未来は、決して明るいものではない。
2003年の12月を期限として、不発弾をできる限り処理するとしていた合衆国海軍は、今や、その当初の除去目標を達成するには時間も資金も足りないと言い出しはじめている。
島の暫定政府として機能している委員会の長によれば、除去作業が当初約束された程度に徹底されないならば、法的措置に出るとしている。
カホラウェ、このハワイ諸島の主要8島のうち最小の島は、長さ11マイル幅7マイル、面積およそ2万8千8百エーカーで、マウイ島の南西6マイルの海に浮かぶ。
島には数百人のハワイ人が、1千年以上も前から住み着いていたが、人々は徐々に島を離れて行った。第二次世界大戦中に海軍が島を占有し、射撃場として使用しはじめた。
今日のハワイ人主権回復運動の先駆けとなった1970年代中葉の抗議行動のすえ、1990年大統領命令により爆撃の停止と島の回復及びハワイへの返還が決定された。
すでに不毛の土地となってしまったこの45平方マイルの島、地球上で最後の2本のカナロアの木が残るこの島から不発弾を除去するために、議会は1993年に4億ドルを支出することに同意した。
当初の浄化計画では、地表面の弾薬の100%、地表から4フィート以内の地中については30%を除去することとなっていた。作業は1997年に開始された。
海軍はこの夏の最新のアセスメントの中でこの当初の目標を達成できないことを認め、カホラウェ島保全委員会に対して、除去作業の優先順位を見直すことを求めてきた。
「期限まで3年半を残すのみとなった現在、実績に基づいて検討するに、目標は達成できないであろう。」海軍除去チームのチーフ、ポール・ボルコウスキー少佐は語る。
「このような規模の除去作業は、私の知る限り今日まで行われたことがない。そのことを認識することが重要だ。インフラストラクチャーも水道も何もない無人島に50年分の不発弾が埋まっているのだ。」
この海軍の発言は、この島を先住ハワイ人の文化的保護区とする長期計画の策定に責任を負う委員会の議長ケオニ・フェアバンクス氏を怒らせた。
「彼らは終わらないという。だまされたという気がしてとても不愉快だ。」フェアバンクス氏は言う。「彼らには法的な義務があるということが問題なのに。我々は対抗手段を考えている。」
海軍は7月に、1億7千9百万ドルの資金が議会からおろされ、既に1億9百万を使ったと発表した。2003年の期限までにさらに1億5千万ドルが必要だとしている。
しかしダニエル・イノウエ上院議員(民主党・ハワイ州選出)によれば議会がこれ以上除去作業のために時間や金銭の猶予を与えるとは考えられないとのことである。
「予算として計上された金額は莫大なものです。ほとんどの人はそれで十分な額だと思うでしょう」とイノウエ氏は語る。「実際のところ計画は島の100%の浄化とは決して言っていないのです。」
現在作業員たちは島の周囲を取り巻く200メートル幅のエリアに集中している。ハワイ人の文化活動が認められるようになったあかつきには海岸沿いの地域が最も良く利用されるだろうからだ。
除去作業の資金が底をついているとのニュースが流れたのは、立て続けに43発の核実験が行われたマーシャル諸島のエネウェタック環礁から強制移住させられた人々とその子孫に3億4千百万ドルの補償を支払うことを裁判所が連邦政府に対して命じたわずか数ヶ月後のことだった。
また先週、太平洋島嶼議会連合会は合衆国及び日本の政府に対して、第二次世界大戦以来彼らが置き去りにしている不発弾を除去するよう求めた。
ネット上の関連情報
カホラウェ島保全委員会: http://www.hawaii.gov/kirc
海軍太平洋地域設備技術部隊司令部:http://www.efdpac.navfac.navy.mil
アイランド・カズンズ・ネットワーク