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TOMO
in the
Bathroom
病院の先生達も、私たちの台所事情を気にして下さっている。次から次へと誰に頼まれた訳でもないのにボロボロの野良犬や野良猫を連れてくる。真っ昼間に毎日のようにやってくるなんて、こいつ一体何の仕事してるんだといぶかってるだろう。いつもユニクロのワゴンセールで390円みたいなシャツしか着てないし、きっと金持ちでないことはわかってくれているのだろう。いろいろ気を使って下さる。
「毎日来るのはたいへんだから、今日は体温計を貸してあげるから、自分で計ってあした9度5分以上あったら連れてらっしゃい、点滴入れるから」と提案して下さった。
動物を飼いはじめてからのこの半年間、いろんなことを学んだ。今度はついに動物の体温まで計ってしまうことになった。「簡単簡単、骨盤の横にすっと入るところがあるから」とこともなげにおっしゃるのが、実はとても嬉しかった。
それにしても、先生の技を見ていると「魔法」としか思えないことがある。ヨウドで口内を消毒をするのでも、私がやったらあんなに暴れるのに、この先生がペタペタ脱脂綿を何回も押し当てる間、トモは口を開けっ放しにしているんだから。
それでも、「不肖の弟子」もこっそり技を盗んで入るのだ。今度はコットンはもう少し小さくちぎってみよう。綿棒をもう少し長く持った方がいいかもしれない。
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龍宮城だより