4月9日(日)午前9:59(東部標準時)

米海兵隊航空機事故で19人全員死亡

フェニックス、アリゾナ州(ロイター)
米軍筋によると、ヘリコプターのように離陸し、飛行機のように飛ぶことのできる海兵隊のV22オスプレー機がアリゾナ州で訓練飛行中墜落し、乗っていた兵士19人全員が死亡した。
米国防総省の報道官ケン・ベーコン氏によると、乗員4名と他の海兵隊兵士15人を乗せたオスプレー機は土曜午前8時ごろ(PDT、東部標準時日曜午前3時)、アリゾナ州の砂漠地帯に位置するマラナのアブラ・バレー飛行場付近に墜落した。
同飛行場はアリゾナ州タクソンの北西約20マイル(32キロ)にある。国防省長官ウイリアム・コーエン氏は、国防総省は依然として事故の原因をつかんでいないとのこと。
「このような訓練飛行において19名もの海兵隊員を失ったことはきわめて遺憾である。夜間飛行装置を用いて訓練を行うことがいかに危険であるか、それが操縦士に更なる負担をかけているということを指摘できるだけだ」とクウェートからサウジアラビアへの機上で同氏は語った。
コーエン氏と同行しているベーコン氏は、事故当時海兵隊は演習を行っていたと語った。
マラナの住民は、同機は地面に墜落する前に火の玉のようになったとテレビの取材陣に語っている。CNNテレビの画像は、緊急車両のライトに照らされてまだくすぶっている金属の塊から立ち昇る煙を映し出している。
しかし米軍関係者は同機が墜落以前に空中で燃え上がったかどうかは確認されていないという。
ここ10年以上にわたって配備されているオスプレー機は、ローターを用いてヘリコプターのように離着陸が可能で、かつこれを固定翼に変えて飛行機のように飛ぶことができる。
オスプレー機はベル・ヘリコプター・テクストロン社によって建造されている。
米国防総省の海兵隊報道官ロブ・ウインチェスター大尉は日曜日の早朝、海兵隊はこのハイブリッドとも言うべきオスプレー機の最終評価段階にあったと語った。また、同氏は事故がローターによる飛行と固定翼による飛行の変換時に起こったかどうかは不明であるとも語った。
また、「亡くなった方の家族に哀悼の意を伝えたい」とウインチェスター氏は語った。
また同氏によれば、オスプレー機は18ないし24ヶ月以内に全面的な配備につくはずであったという。同機はヘリコプターに替わって、米軍の兵員を紛争地域に急送し、民間人救助活動に用いるように設計されている。
ホワイト・ハウスは、クリントン大統領の平時においても軍が直面する危険性を強調する声明を発表した。
「このような不幸な人命の損失は、我が国の軍に従事するいかに多くの男女が、われわれが自由の国であるためにその生命を危険にさらしているかをあらためて思い起こさせる。平和の理念はこのようにして世界中につたえられるであろう。」
訓練飛行に参加していたもう1機のオスプレー機は事故に関与していない。
両機はいずれもアリゾナ州ユマの海兵隊航空基地に所属している。
事故当時天候は良好で、地上にいる人には墜落による怪我人は出なかった。
機内に実弾は搭載されていなかったと海兵隊の報道官は言っている。
米海兵隊ニュースより

MV22型機事故により海兵隊員19人死亡

Division of Public Affairs
海兵隊司令部、ワシントンDC 4月9日
海兵隊係官は、4月8日午前8時ごろアリゾナ州マラナ付近で発生したMV22オスプレーの墜落事故で亡くなった19人の海兵隊員の家族に弔意を表した。

(省略)

「全海兵隊の家族はこの悲劇によって多くの海兵隊員命を失ったことを悲しんでいる。なくなった方のご家族に弔意を伝えたい。われわれは直ちにアリゾナ州に調査チームを派遣し事後の発生した状況を調査したい」と海兵隊司令官ジェームズ・ジョーンズ将軍は述べた。
海軍長官リチャード・ダンツィック氏は以下の声明を発表した。
「新装備の評価及び戦闘の訓練は戦闘そのものと同じように生命の危険を伴う。平時においても有事においても、海兵隊員は係る危険を受け入れる。それがわれわれのきずなである。このような精神を持って本日の19人の海兵隊兵士の犠牲者を哀悼し、残された家族に弔意を表する。」
アリゾナ州マラナ付近で墜落したMV22は「評価作戦(OPEVAL)」の支援のために訓練飛行を行っていた。訓練中、乗組員及び海兵隊員は同機から乗り降りする海兵隊員と共に、「兵器及び戦術指導者コース」の一部として、「非戦闘評価作戦(NEO)訓練」を実行していた。訓練においては夜間作戦能力を強化するために、夜間視界ゴーグル及び前方赤外線レーダーが用いられていた。
「評価作戦」は同機の海兵隊における実戦適応性を決するための試験段階である。同作戦は1999年10月に開始され、2000年6月まで続く予定である。
現在までのところ、「評価作戦」に参加した4機のオスプレーは800時間以上の飛行時間を達成している。3月だけで同作戦に参加した航空機は1機あたり35時間、合計140時間近い飛行時間を記録している。
事故機は「多重任務作戦試験チーム」に所属しており、メリーランド州パトゥゼント・リバーを本拠地としているが、一時的にアリゾナ州ユマ海兵隊飛行場の海兵隊航空兵器及び戦術第一飛行中隊に配備されていた。