CNMI- US: PACNEWS PACNEWS 1: Thurs June 3 1999 8.30

ENGLISH

マリアナ諸島ティニアン島で合衆国軍事基地増強か?

サイパン(Pacnews)
ペドロ・テノリオ知事によれば1976年の自治領設立時に取り交わされた合衆国との条約に基づき合衆国国防省に貸し付けてある同島の一部を使用するとの意思表示はペンタゴンサイドからは受けていないと言うものの、北マリアナではアジアの政情不安が継続する限り、当地における合衆国軍隊の増強が行われるであろうと見られている。
同島への米軍の増強配備は、合衆国と中国の間におけるスパイ問題をめぐる対立、長期にわたる米国の同盟国であるフィリピンが主張しているスプラットレー諸島への中国の侵入の疑い、などによって加速されている。
日本と韓国は北朝鮮の核兵器開発の疑いに対して懸念を表明しているし、インド・パキスタン国境紛争も焦点化している。
空軍司令官マーク・ゲーリ大佐は同地域の平和と自由を維持するためのマリアナ諸島の戦略的な重要性を指摘している。グアムに対する合衆国軍隊の8千万ドルに及ぶ投資は太平洋地域における強力な軍事的プレゼンスを維持するために重要だとも述べた。
マリアナ諸島は同地域で合衆国軍が到達できる最東端に位置しており、したがって太平洋地域を脅かす敵をアメリカ軍が攻撃するのに重要な場所であるとゲーリ氏は指摘している。
テノリオ知事は、少なくとも島の面積の3分の2が合衆国軍隊に貸し付けられているが、1976年に合衆国と自治領の間に締結された協定によりこれらの土地が使用されたことはまだないと述べている。
いずれにせよ合衆国によるティニアン島軍事基地の使用は、アジア経済の深刻な冷え込みによって落ち込んでいる同島の観光産業を刺激する意味で、CNMI(アメリカ合衆国自治領北マリアナ諸島)の発展のために歓迎されている。
CNMIの政府関係者によると、沖縄から撤収すべき兵員をすべてティニアンに移すよう誘致することを計画しているという。この島はまもなく日本からすべて撤収するであろうアメリカ軍基地の移設の候補地であるとみられている。
この点でティニアンは、同様に沖縄からの移設候補地とされているグアムと、張り合わなければならない。75%以上の米軍基地が沖縄にある。
前海軍太平洋艦隊司令官マーティン・ヤンスバッチ海軍少将はかつて、少なくとも10年以内に合衆国軍隊は沖縄から撤収すると述べたことがある。
テノリオ知事は合衆国軍関係者との会談でこれらの問題が議題にのぼったことはないとしているが、CNMIがティニアン島の基地使用によってワシントンが提供するであろう金銭を獲得することを期待していることを認めた。

ENGLISH

太平洋島嶼通信(ハワイ大学マノア校太平洋島嶼研究所・太平洋島嶼発展プログラム・東西文化センター)

北マリアナ諸島でさらに米軍の廃棄物投棄場所見つかる

ジョジョ・ダス
サイパン・北マリアナ諸島(2000年5月11日PINA)
共和党の議員の報告によると、合衆国軍隊が廃棄物投棄場所として使用していた場所のうちサイパンの住民によって発見された数は4ヶ所となり、住民達は同地域への潜在的な環境への危険性についてますます警戒を高めている。
ディノ・M・ジョーンズ下院議員は、先週合衆国本土の法律事務所ウォーター・アンド・クラウスから少なくとも2人の代表が訪れ、合衆国が放置した蓄電池から漏れている発ガン性のPCB(ポリ塩化ビフェニール)によってタナバグという海沿いの町の汚染状況の評価作業に取りかかったと発表した。
グリーンピースのスティーブ・マッケンジー氏は「タナパグは世界的な汚染のホットスポットである」とのグリーンピースの発表を知っているはずだと述べた。
マッケンジー氏は、ジョーンズ氏が予定している連邦政府を相手取った訴訟に、このグリーンピースの指定が必ずしも影響を及ぼすとは言えないと強調したが、グリーンピースの動きは少なくとも「そこに汚染が生じている」事実を強調する意味はあるとも述べている。
ジョーンズ氏によれば合衆国の第二次世界大戦期の軍事物資が投棄されている場所は、マルビ、キャピトル・ヒル、アッパー・サン・ロケ、アッパー・タナパグである。
関係者は、同島および同島に隣接するティニアン島にはまだまだこのような投棄場所があると見ている。
ジョーンズ氏は被害を心配した住民からの通報によってこのような場所を発見したと述べている。
何トンもの軍需物資が放置されている様子が見られるアッパー・タナパグ以外の場所は、ごく最近発見されたばかりである。
合衆国陸軍の技術部隊によるとアッパー・タナパグは廃棄物投棄場所として国防省の記録の中にも記載されていないという。
この新たな発見についてジョーンズ氏は、タナバグ地域の汚染除去活動についての連邦政府の怠慢こそが住民の怒りを招き、人々が自分達の住居地域に化学物質による汚染源がまだあるのではないかとの警戒しはじめたのであろうと述べている。
ジョーンズ氏は計画している訴訟にこれらのあらたに発見された場所を含むかどうかの検討のためにウォーター・アンド・クラウス事務所の弁護士達に視察を求めたいという。
マッケンジー氏によると、事態は汚染状況の評価と、現在タナパグ住民によって行われている署名活動の結果に関わるがゆえに、この訴訟が住民訴訟(クラス・アクション)として提起されるか否かは未定だという。
しかし、氏は、環境汚染問題についての裁判を担当した経験を持つ同法律事務所が渡航費用を自前で調査員を送り込んできていることからも、同事務所はこの件に深い関心を持っているようだとも付け加えた。
「この訪問が終了するまでにタナパグ住民を代理する弁護団を結成させたい。もし彼ら(弁護士)達が政府を援助することを選択したとすれば、次の問題はこのPCB汚染問題によって自治領政府には多額の金銭が必要だということだ。」
「一つはっきりしているのは(CNMIアメリカ合衆国自治領北マリアナ諸島)政府がPCB汚染の結果支出することになる金銭は、たとえ一銭たりと言えども、この件に責任を持つ人々から取りたてるべきだということだ。」とマッケンジー氏は述べた。
タナパグの環境浄化についての総合的な計画が省庁間の調整を通して遂行できるようは指示を出したと、ワシントンの代表フアン・N・バボータ氏は述べた。
しかし同指示には汚染にさらされたことによって傷病に陥った人々への補償や、家畜等、生活に対する損害への補償は含まれていないとジョーンズ氏は指摘している。
タナパグが世界的な環境汚染のホットスポットであるとのグリーンピースの発表が、投資家や観光客に否定的な影響を及ぼすのではないかと懸念する地元経済人の声もある。

太平洋島嶼通信協会(PINA) http://www.pinanius.org

ENGLISH

野鳥の保護を求めるグループ、マリアナ諸島の射爆場に対して訴訟提起

ドノバン・ブルックス/スターズ・アンド・ストライプス(2001/01/05)

(フィネガヤン発)ある環境保護団体が連邦裁判所に対して、国防省が北マリアナ諸島の爆撃演習場を使用することを中止させようと訴訟を提起した。
ファラロン・デ・メディニラ射爆場の使用は「渡り鳥保護条約法」に違反しているとするこの訴訟は「生物多様性のためのセンター」なるニューメキシコ州の非営利団体を代表して提起された。射爆場のある200エーカーの島はグアムのおよそ150マイル北方に位置している。
もと「シエラ・クラブ」改め「地球の正義・弁護基金」は12月21日にワシントンにおいて提訴したと、ポール・アチトフ弁護士は電話でのインタビューで答えた。
海軍大臣リチャード・ダンチッヒ氏及び国防大臣ウィリアム・コーエン氏が訴訟の被告として指名されている。
問題の核心は渡り鳥保護条約にある。同条約は1918年議会によって批准された。同条約は合衆国漁業及び野生動物庁の許可なく渡り鳥を害することを禁じている、とアチトフ氏は述べている。
アチトフ氏によれば海軍は野生動物庁に1996年に同島を射爆場として使用する許可を求めたが、拒否された。しかし海軍は、同条約は連邦機関には適用がないとして、使用を継続しているとのことである。同射爆場は1976年から使用されている。
漁業及び野生動物庁の調査は、爆撃によって鳥が死んでいることを示しており、「明らかに違法である」とアチトフ氏は言う。
訴状によれば同島は一年間を通じてグンカンチョウ、カツオドリ、アジサシ、クロアジサシなどの多くの種の産卵場所となっている。絶滅危機種のマリアナ・フルート・バットも同島に生息している。
海軍インフォメーション・オフィスは木曜日、訴訟に関することであるためコメントはできないと述べた。
マリアナ諸島海軍司令部広報官モニカ・リチャードソン大尉は、同射爆場は軍事演習にとってきわめて重要であると述べた。
沖縄に駐留している海兵隊航空小隊が12月中旬以降同射爆場を使用している。海兵隊員によると、この射爆場とそこに通じる空路とは、この地域ではほかでは得られない訓練の機会を提供してくれるとのことである。
合衆国本土の空軍のB-52、B-1、B-2などの航空機もこの射爆場を使用している。グアム駐留の海軍の「シールズ」もこの射爆場を使用している。
「生物多様性のためのセンター」は裁判所に対して、国防省もまた条約の適用を受けることを宣言し、ファラロン射爆場での実弾演習を停止する命令を発することを求めている、とアチトフ氏は語っている。
「単刀直入な問題です。さして議論の余地はありません。問われているのは彼らが法を破っているか否かという問題だけなのですから」と、アチトフ氏は述べた。