米国防総省、ジュゴン保護明記/普天間移設影響か
市民団体が文書入手
国の天然記念物・ジュゴンの保護が関心を呼ぶ中、米国防総省が国外の米軍施設を対象とした環境指針で、ジュゴン保護の必要性に言及していることが、二十七日までに分かった。市民団体が内部文書を入手したもので、「保護のために合理的措置を取る」ことを求めている。沖縄本島東海岸に生息するジュゴンをめぐっては、国際自然保護連合(JUCN)が保護勧告を採択しており、米国が存在を重視していることが明らかになったことで、移設作業が進む米軍普天間飛行場の移設計画にも影響を与えそうだ。
文書は「海外環境基本指針文書」で、昨年三月十五日付でまとめられている。沖縄を含む全国で活動する日本平和委員会(事務所・東京)が今年一月、インターネットで入手していた。
指針は「国防総省の海外施設における環境順応政策のための基準、水準、管理実践を示す」ことを目的としている。その中で、「絶滅危ぐ種、受け入れ国の保護種とその生息地を保護、増強するために合理的な措置を取る」と記述。対象動物のリストに「ジュゴン」を明記し、生息地について「東アフリカから日本南部」としている。
また、在日米軍が定める「日本環境管理基準」には、「その施設において合衆国および日本の野生生物法で保護されている種のリストを守ることに責任を持っている」と、指針に基づく米軍の責任を明確にしている。
さらに、海兵隊の内部文書「環境順応保護マニュアル」(一九九八年七月作成)は、「(米国内の)絶滅危ぐ種は、直接・間接の悪影響を及ぼさないように適切な行動を取る」ことを求めているが、平和団体は「国内で対象になる動物が海外で危険にさらされるのはおかしい」と指摘する。