緊急の呼びかけ!

サン・フアン、プエルト・リコ(2000,02,10) (抄訳)
 早朝からハト・レイの「ラス・アメリカス」ショッピングモール前の道路にビエケスを支持するためにデモ隊の一群が動員された。合衆国海軍の撤収と爆撃訓練の停止をはっきりと要求しているビエケスの人々のたたかいに、無条件の連帯を表明するためだ。
 彼らは顔をペイントして道路上に立ちはだかった。ビエケスにおける軍の駐留と爆撃訓練再開の決定に対しての反対を示した揶揄的なプラカードを掲げている。
 彼らはビエケスの平和と正義を要求し、ビエケスにおける市民的不服従の行動への参加を呼びかけている。そのために彼らは朝の通勤ラッシュのさなかにドライバーたちに次のような内容のビラを配った。

 私たちはビエケスの人々の希望を信じています。なぜなら、その希望は平和で、生きるに値する、自由な生活を求めて闘うすべての人々の希望だからです。
 この闘いは、すべての人々の闘いです。私たちすべてのための闘いです。
 合衆国海軍は、私たちがその居座りを許す限り、ビエケスに居座り続けるでしょう。私たちは海軍を追い出す可能性を信じています。
 きっと、できます。   やってみましょう!


 同時に、顔をペイントした一群がサン・フアン市の廃棄物処理場の内部に入り込み、(かつてミレニアム到来が告げられた)とてつもなく高い足場に登って、巨大なプエルト・リコの旗を掲げた。その縞模様の間にはこう書かれていた。ビエケス、さもなくば死か
 さらに彼らは50フィートもあるプラカードを掲げた。ビエケスは、売り渡さない!
 ビエケス島に対する連帯を表明し、市民的不服従の行動を呼びかけたこれらの人々がいつまでその場にとどまるのかは、現在のところ不明である。
 これらの行動を行ったグループは「ビエケスの友、海の友」と名乗っており、海軍によるいわゆる「立ち入り制限地域」内のキャンプに同グループのメンバーも参加していることがわかっている。


(あなたのお知り合いに、これらの情報を転送して下さい)

元ペンタゴンの劣化ウラン弾計画の主任であり、国防施設跡地の環境回復計画の立案者の1人が米海軍の演習によるビエケス島の環境汚染を非難

ジャクソンビル・アラバマ(2000,02,09) (抄訳)
 元ペンタゴンの劣化ウラン弾計画の主任であり、国防施設跡地の環境回復計画の立案者の1人であるドゥー・ロック教授は、米海軍の長年にわたる訓練と爆弾実験場としてのビエケス島の使用を非難した。海軍の将校と下士官が、命令のもと、かつ海軍の作戦の一部として通常兵器及び劣化ウラン弾をビエケス演習場内で発射し、健康及び環境に対して深刻な悪影響を及ぼしている。「海軍が実戦及び許可を受けた実験にのみ使用可能で、平時や訓練での使用は厳格に禁じられている劣化ウラン弾を発射することにより、放射性物質の使用に関するみずからのの規則に意図的に違反してきたことを、1999年4月、民間人の警備員の死亡事故以来、海軍の高官は認めている」とルイス・レイエス氏はアメリカ合衆国自治州プエルト・リコの厚生省長官カルメン・メルシオ氏に宛てた2000年2月1日付けの文書で述べている。
 レイエス氏は「ビエケスの海軍将校は弾薬の支給と使用に関する明文で要求された手続きにさえ従っていない」と付け加えている。さらにジョージア大学の研究者の報告によればビエケスの近海に意図的に沈没させられた船舶上に不明な、しかも潜在的に危険な化学物質を充填したドラム缶が発見されたという。
 「ビエケス島の影響を受けた全地域の完全な環境回復と、影響を受けた全島民が医療ケアを受けられるようにすることが、急務である」とロック氏は述べている。
 劣化ウラン(DU)すなわちウラン238は、原子炉の燃料や核爆弾の材料として用いられるウラン235の精練過程で発生する非分裂性の副産物、6フッ化ウランから作られる。2000年1月29日、合衆国エネルギー省は長年にわたって否定してきたにもかかわらず、その従業員の白血病、Hodgkin's lymphoma、前立腺ガン、腎臓ガン、肝臓ガン、唾腺ガン、肺ガンの罹患率が有意に高いことを認めた。ケンタッキー州パドゥカの施設において呼吸器疾患の問題が生じていることは以前から報告されていた。これらの発表は、これらの施設における主要な副産物である6ふっ化ウランから作られる劣化ウランの健康及び環境に対する悪影響を裏付けるものである。さらに驚くべきことに、1943年10月30日の覚え書きによればマンハッタン計画に動員された高名な科学者たちは、ウランは大気及び土壌の汚染剤として利用出来ることを示唆している。S-1実施委員会小委員会からグローブス将軍に宛てられた「放射性物質の兵器としての利用」と題する手紙によれば、ウランの吸引によって「数時間から数日のうちに気管支に炎症が発生する。」これはまさに湾岸戦争期の「砂漠の嵐」作戦において劣化ウランを吸引した兵士に発生した症状である。小委員会報告はさらに続ける。「ベータ線は汚染された水、食糧、空気により消化器官に入り込む。空気から吸引されたものは鼻や喉、気管支の粘膜などに付着し、次に飲み込まれる。その効果は気管支におけるのと同様な局所的な炎症であり、同量の被爆が必要である。胃、盲腸、直腸では摂取されたものがどこよりも長期にわたって残留するため最も影響を受ける。放射線被爆による一般的症状を示すことなく、消化器官に致死性の潰瘍、穿孔が発生するとも考えられる。」劣化ウランを吸引または摂食した多くの人が、下痢などの激しい発作に襲われることが報告されている。1943年の小委員会報告で予見された健康障害のほとんどが、「砂漠の嵐」作戦で劣化ウランに被爆した患者において観察されているのだ。
 「劣化ウラン・低放射性物質(DULLRAM)の危険への対処」という米軍の公式文書によれば「汚染によって食物及び水は消費に適さないものとなる」とある。この直接の引用からもわかるように、軍は劣化ウラン汚染の危険性の存在を1943年以来ずっと知っていたのだ。
 合衆国はプエルト・リコやその他世界各地にウランを故意にばらまき、深刻な危険をもたらしてきたという証拠が日に日に明らかになってきているとロック博士は主張する。劣化ウランの被爆によって健康障害が生じたか否かを立証するのは困難とはいえ、次のような健康障害との関連を認めうる証拠が蓄積してきている。reactive airway disease、神経障害、腎臓結石、周期的な腎臓の痛み、発疹、視力の低下、夜間の視力の低下、歯茎組織の異常、リンパ異常、白血病、その他のガン、神経的・精神的障害、精液へのウランの混入、性的機能不全、消化吸収異常、子孫の身体障害。
 劣化ウランを吸引、摂食し、または傷口からの汚染を受けたすべての個人に対して合衆国の高官がその責任を否定し、治療を遅らせてきたように、劣化ウランの被爆の責任は不明確になってしまうことが多い。被爆は劣化ウランによる汚染が完全に除去された後も継続する。国防省の高官たちはこの環境的正義の戯画に対するいかなる責任をも否定し続けている、とロック博士は付け加える。ロック博士は次のような提言を行っている。  通常兵器の使用の残留物による汚染も健康及び環境に深刻な危険をもたらしている。通常兵器の残留物とは、不安定で不発の弾薬、重金属の破片、有機化合物、無機化合物などを含む。化学兵器及び生物兵器がビエケスで使用されたか否かはいまだに答えられていない問いである。通常兵器の残留物には亜リン酸及び高価リン酸化合物、ナパーム、3エチル金属焼夷弾、**化鉛、アジ化鉛、ニトログリセリン、アジ化水銀、雷酸水銀、PETN、Composition A B C、テトリル、TNT、RDX、HBX、黒色火薬、ニトロ化アンモニウム、ファビアー火薬、HMX、TNB、DNB、NB、2,4 DNT、、2NT、3NT、4NT、4-am-DNT、2-am-DNT、ピクリン酸、ニトロセルロース、AP、芳香族ニトロ化合物などが含まれる。
 これらの汚染物質に加えて、合衆国環境保護省では(「爆発物及び放射性物質によって汚染された連邦施設跡地の環境回復の指針」による)さらにいくつかの物質をあげている。これらの通常兵器残留物の物理的及び化学的性質による起こりうべき健康及び環境に対する有害な影響に対する十分な分析が行われると同時に、ビエケス島及びその周辺海域の影響を受けたすべての部分について徹底した環境回復が行われなければならない。被爆した人々に対しては医療ケアが行われなければならない。
 潜在的に危険な物質が腐食した缶につめられたままビエケス沖に沈没している船舶に関する最近の報告についてもロック教授は懸念を表明している。これらの缶から漏れ出した未知の化学物質、また船舶の建材の腐食による、水質の、したがって食物連鎖の汚染について徹底した分析、環境回復、影響を受けた個人に対する健康管理がぜひとも必要である。
 ロック博士はまた「ビエケスの救助と発展のための委員会」が1999年6月16日に行った劣化ウランのビエケスにおける使用に関する情報の「情報の自由」法に基づく公開請求に対して8ヶ月を経た今に至っても何らの実質的な回答が行われていないことについても非難している。「海軍はビエケスにおいて劣化ウラン弾を使用していたことを1999年2月に認めざるをえなくなった。しかし、アメリカ軍が他の劣化ウランのビエケスにおける使用に対して無条件に肯定ないし否定するのにこれほどの時間がかかることから、他にも劣化ウランがビエケスで使用されている疑いが非常に濃厚になってきている。これは別に驚くに当たらない。アメリカ軍はビエケス島とその住民を「モルモット」扱いしてきたのだから」と教授は述べている。
 最後に教授は、合衆国海軍による意図的な行為に起因する環境破壊によって大気、水、土壌が汚染され健康に対して有害な影響を発生させたことは、人間性に対する犯罪であり、ただちに矯正されねばならないと付け加えた。「プエルト・リコ、ビエケス、アメリカ合衆国、そしてその他世界のすべての国の住民は、我々の壊れやすい自然環境を保護し、すべての生命の安全を守るために団結しなければならない。私たちはまた、ビエケスにおける更なる悲劇を阻止するためにすべての海軍の行動の中止を、神の名において、世界人民の名において、要求しなければならない。」