2000年8月7日(月)
ビエケス・リーブレ(自由ビエケス)http://www.viequeslibre.org

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ビエケスと沖縄、合衆国軍隊に対決する連合

トビー・エグラント


8月7日。合衆国海軍がプエルト・リコのビエケス島で2回目の爆撃演習を開始する一方で、海軍の撤収のために闘っている当地の活動家たちは、平和運動や環境運動のグループが合衆国軍隊と基地の縮小を求めて新たな声を上げはじめた日本の沖縄に仲間を見出しはじめている。
日本とプエルト・リコの活動家たちはその双方の島における軍事演習に反対する共通の戦略を検討しはじめている。そこには市民的不服従の共同行動、沖縄とビエケスを結ぶ行動と情報交換のための持続的なネットワークの構築などが含まれる。
ビエケスの漁民であり、長期にわたる活動家であるカルロス・セノンは、7月20日、沖縄において2万7千人が人間の鎖を形成して嘉手納の米空軍基地を包囲した巨大な抗議行動の日、集会で基調報告を行った。
この抗議行動は、G8という世界の最も裕福な国々のリーダーたちのサミットのために来日するクリントン大統領の到着のちょうど直前に行われた。セノンにはプエルト・リコ法律家協会ビエケス調査委員会のシェイラ・ベレス・マルチネスが同行している。
ビエケス島では52平方マイルの島の面積のうちの3分の2を(3分の1ずつが東西から人口9,300の住居地域をはさむようにして)合衆国海軍が1941年以来住民の土地を強制収用して占有している。ビエケスの住民たちは合衆国海軍から、ミサイルの誤射、実弾および不発弾による環境破壊、劣化ウラン等の化学物質と関係があるとされる高いガン発生率、市民的権利および人権の侵害、観光産業および漁業部門への打撃等ありとあらゆる侵害を受け、不満を持ってきた。
沖縄においては、アメリカ合衆国軍隊の存在が地域経済を支えているという側面がありながらも、同様の問題を抱えている。海兵隊兵士が住居に侵入して14才の少女に猥褻行為をはたらいたという最近の事件は、あらためて当地の反米感情をかきたてた。窃盗、暴行から強姦、殺人に至るあらゆる犯罪が駐留米軍によって犯されていると言われている。
合衆国は1972年に沖縄の管理権を日本に返還したが、米軍はなお沖縄島の20%の面積を占有し、在日米軍の兵力の半分にあたる2万6千人が沖縄に駐留している。
ここ沖縄でビエケスの活動家たちは、韓国・ハワイ・フィリピンなど同様に米軍基地の存在が環境破壊や、地域住民の市民的権利・人権の侵害をもたらしている地域の人々の支援も受けることができた。

新たな爆撃演習

合衆国と沖縄の連帯行動が行われたと時を同じくして、合衆国海軍は15隻の艦船と1万2千人の兵員を擁するハリー・S・トゥルーマン艦隊をビエケスに配備した。ビエケス及びその沿岸域における空・海及び潜水艦による演習が、またしても島への射撃・爆撃演習を伴って行われる。この演習は8月24日まで続けられる。
ビエケス及びプエルト・リコ本島で抗議行動が続けられている。日曜日の午後には米陸軍のブキャナン駐屯地前で数千人がデモを行った。かつてビエケスの抗議者たちのことを「ごろつき」と呼んだ海軍スポークスマンのジェフ・ゴードン大尉は、このデモもプエルト・リコの独立派が仕掛けた「何百万ドルもの汚いキャンペーンの一部」に過ぎないとしている。彼は「独立派」グループの名前を何一つ特定しなかったし、プエルト・リコの水準から考えてこのような巨額の資金がどのようにして集められたかについても言及しなかった。
ビエケスにおける立ち入り制限区域への侵入は極めて困難であろうとの海軍の事前の警告にもかかわらず、月曜日、11人のビエケス住民に率いられた32人の女性が警備をかいくぐって爆撃演習場に入り込み朝5時に逮捕されるまでデモを敢行した。このグループには宗教団体、労働組合の女性のほか、4人のレスビアンの人権活動家などが含まれている。
5月以降、400人以上のビエケスの抗議者たちが逮捕されている。そのうち200人は不法侵入容疑による逮捕である。6月にはジョージ・ワシントン艦隊の演習中に9人の船員が怪我をした。何人かの抗議者は依然として拘留されている。彼らは合衆国連邦裁判所の裁判権が、国連によって植民地と規定されているプエルト・リコには及ばないと主張して保釈金の支払を拒否している。

イメージ操作

ビエケス・タイムスによると、海軍はおくればせながらそのイメージを回復し、ビエケスの人々に「よき隣人」であることを示すべく、バージニアの広告代理店と契約した。海軍の目的は来るべき住民投票においてビエケス住民が海軍が永久にこの島に駐留し続け、実弾爆撃演習を開始することを可能にする選択をするよう説得することにある。
一方で海軍は島の西側の3分の1、元弾薬処理場をプエルト・リコに返還しようとしている。しかし、実際に土地を強制収用されたビエケス住民に土地が返還されるのか、隣接するクレブラ島でそうであったように単に不動産開発業者の手に落ちてしまうかの問題は明らかではない。
海軍はまた議会が予算計上した4千万ドルのビエケスの経済開発振興費についても約束している。しかしこれについてもビエケスの活動家たちは懐疑的である。以前にも似たような計画があったが、この時はその資金は「経費」として浪費されてしまっていたから。
クリントン大統領は沖縄の嘉手納空軍基地訪問に際しても、軍のイメージアップを図ろうと努力した。彼は兵士たちに、よき隣人であるべきこと、名誉ある行動をすべきことを求めたのだ。