ネオパーク・オキナワに行こう!

ネオパーク・オキナワ

名護市字名護4607-41
電話:0980-52-6348
「ネオパーク・オキナワ」までの道順

国道58号名護バイパス
為又(びーまた)交差点をさらに北上、
「メイクマン」、「モスバーガー」を過ぎ、
「東洋飯店」のところで左折。




クリスマス・イブの前日、名護で「ジュゴン・チャンプルー・ウォーク」というのがあって、そのあと、名護市議の宮城康博さんが、名護市の郊外にある「ネオパーク・オキナワ」に参加者を案内してくださった。

名護に一年間住んでいながら、一度も行ったことがなかったのは、アフリカや南米アマゾンなどから「珍奇な」動物達をこの亜熱帯の島に連れてきて見世物にするという、申し訳ないが「田舎くさい」テーマ・パークには、「在沖縄『定住』観光客」たる私としては、それほど食指が動かなかったというのが正直なところだけれど。
フェレット、「ふれあい広場」にて

康博さんがどうしても私たちをここに案内したいのにはもちろん理由がある。9月11日のアメリカでの事件以来、沖縄の観光産業は秋から冬にかけての修学旅行の相次ぐキャンセルで、壊滅的な打撃を受けていて、もちろんここも例外ではない。
極東有数の米軍基地を擁するこの島が、反米テロのターゲットとなりうる危険性がきわめて高いことは誰の目にも明らかで、だからこれは「風評被害」どころか現実的な危険なのだから、いくら沖縄県の観光部局が「だいじょうぶさぁ〜・沖縄」などと気弱に太鼓判を押してくれてもますます不安がつのるのも当然なのだが、それはさておき、波及効果はこんなところにも出ていた。
「ふれあい広場」、スティック状に切ったにんじんを購入、
やぎやラマなどに食べさせることができる。
エラント・ペッカリー

ここの経営主体は「株式会社・名護自然動植物公園」といい、名護市が筆頭株主となっている。「テロ風評被害にて名護自然動植物公園株式会社の経営状況が大幅に悪化した事による人員整理」ということで、動物の飼育係の人たちを含め過半の従業員が、事件後1ヶ月もたたない10月の初めから次々と解雇されていたというのだ。
康博さんが市議としてこの問題について書いている雑誌の記事を無断転載しているので、経緯の詳細はそちらを見られたい。

「洗練された」観光客の一人としては、この公園の設計や演出に意見がない訳ではない。でもここにはたくさんの生き物が生きていて、その生き物を生かせるためにたくさんの人々の、「労働」が結集されている。気持ちよく働くためには何よりも「誇り」が必要だし、そのためには信頼を生むに足る適正な労働環境と待遇がぜひとも必要なのだ。

夕方6時の閉園間近、それぞれの現場に向かう作業服姿の飼育係の人たちがすれ違いざまに康博さんを認めて、あいさつを交わす。解雇凍結、撤回を勝ち取ることができた人たちの一人かもしれないね。
ワオキツネザル
だから、あなたも「ネオパーク・オキナワ」に行こう!
入場券売り場の側で売っている、焼き立ての「パイナップル入り・サーターアンダギー(沖縄風ドーナツ)」も、すばらしい。


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守るべきもの

宮城康博(名護市議会議員)

日本語を上手に話すオーストラリア国籍の友人が言った。
「あの『だいじょうぶさぁ』と書かれた旗を見る度に、九月十一日を思い出して、観光誘客には逆効果じゃない」
私は沖縄人らしく「だからよー」と応えた。
米軍基地を警備するために機動隊が大挙して沖縄入りするのは、危険に対処するためなのは明らかなのに、官民あげて安全宣言をしなければならない沖縄の現実は惨すぎる。
観光業に関わる人々は大変だろうなどと思っていたら、名護市では大変な事が起こっていた。
名護市が株の過半を持つ第三セクター・名護自然動植物公園株式会社で、十月中旬から年内にかけて職員四十八人中二十五人を整理解雇するという事態が進行していたのである。私はそのことをリストラ対象の職員からの相談で十一月二十日過ぎに知った。
名護自然動植物公園の社長は名護市長であり、役員には市職員である総務部、企画部、産業部の部長が三名も参加している。深く経営にタッチしている市当局が、このような重大な問題を市議会へ報告・相談をしないことは、法的な義務があるかどうかではなく甚だ不自然である。同公園へは市の一般財源から毎年二千万円近くの運営補助金を拠出し続け、島田懇談会事業で土地代等も含めて数十億円も国民の血税を投入して施設整備等を行なう事が決定されているのである。
十一月二十六日に、たまたま臨時市議会が開催され、私は緊急に市当局へ同問題についての説明を求めた。後で聞いた話しだが、与党議員の大半も私が説明を求めた事でこの事実を知ったとのことであった。他の議員からの異議は一切なく、議会は市当局へ説明を求めることになった。
市当局の説明には、いくつかの矛盾点や重大な疑問点があった。指摘すると説明に窮する当局は休憩を求め続け、議会は空転し会期を二日間延長した末、同問題等についての特別委員会を設置し調査及び検討を続けることになり、私が特別委員会の委員長になった。委員会での調査検討結果が出るまでの間、この整理解雇計画は凍結することを市長に明言させ、十一月三十日以降予定されていた八名の解雇は凍結された。
当局の議会での報告によると、解雇理由は「テロ風評被害にて名護自然動植物公園株式会社の経営状況が大幅に悪化した事による人員整理」であり、それは九月十一日から一月も経たない十月三日の緊急役員会で決議され、十月二十日から始まっている。
解雇対象は、臨時社員十九人、正社員六人になる。
この整理解雇は、計画立案も含めて何もかもがあまりにも急であり、解雇回避の努力がなされたとは言い難い。穿った見方をすれば、経営陣は固定経費の削減=人員整理をかねてより考えていたが、「テロ風評被害」という火事場を利用して断行したとも考えられる。過半を解雇して運営ができると判断できるのであれば、いままで毎年二千万円も補助金を要望し続けた運営/経営は何だったのか。放慢経営の誹りを免れず、議会としては到底納得できる話しでは無い。
さらに整理解雇計画について、社員への説明責任を果たした形跡が一切ない。議会での私の質議に対しては、担当部長が「全社員を集めて説明した」とか、追求するとそれをひっくり返して「課毎に説明した」等の答弁を繰り返していたが、後日改めて複数の社員から聞き取りした結果では、実際は解雇対象者に個別に通告していただけというのが事実のようである。でたらめ極まりない事がまかり通っている。
名護自然動植物公園株式会社の役員には、市民投票の結果を反古し辞めていった前市長も相談役として入っており、政治的には保守派の巣窟のように言われていた。社員の方には関係ない話しだが、事実、九七年の市民投票後に前市長が首相官邸に馳せ参じるまでの間の、どうしても投票結果を無視して市長に受け入れさせたい関係者との顛末は同公園の役員室で演じられている。
私は市民投票の結果に現れた民意を守りたい。そうして、辺野古地先の沿岸域に生息するジュゴンも守りたい。ジュゴンを守るという声には、ジュゴンで飯が食えるかという声が対立してくる。そのような声の向こうでリーダーシップをとっている人々が、名護自然動植物公園株式会社の経営陣として君臨していた。彼らは飯を喰うための手段を人々から、いとも簡単に取り上げようとしている。彼らに何か大事なものが欠けている。
私は今回の問題を、基地問題等を解決するための政争の具にしようとは思わないが、守るべきものがまたひとつ増えた。大事なことは、人が生き、暮らしている、そのことに対する想像力と、解決する能力と行動力を持つ事だ。優しさを守る力が欲しい。
「ジュゴン保護に関してオーストラリアの関係者と話しをしていたら、『基地建設反対の市民投票の結果とは違うことを進める行政の長も市民の投票によって選ばれたんですよね』と素朴に問われて忸怩たる思いがした」という私の言葉に、オーストラリア国籍の友人は「大丈夫、一党独裁でここまできた日本という国を、誰も民主主義の国だとは思っていないから」と真顔で返してくれた。この後の、彼女との対話を私がどのようにできるかはまだわからない。