「ないちゃー'ズ」コラム 龍宮城だより


 
 土曜日の那覇でのお仕事の後、週末だし、こっちに泊まることにした。泊めてもらうのは、6月に旅行していた時も何度もお世話になった民宿「コバルト荘」、那覇高校体育館の裏だから、道に迷いさえしなければ、国際通りから5分という抜群に便利な場所だ。
 お客は私のほかに3人ほど、明日の「那覇マラソン」に参加するっていう人も。マラソン談義に花が咲く。ぜんぜん知らなかったけど、今年は15回目で参加者は2万人、出場資格に制限がない「市民マラソン」で、日本では最大規模のものらしい。民宿の御主人の照屋さんの息子さんも出場されるそうで、「明日は大事な日だから、早く寝ないと…」などといいながらも、オリオンビールから泡盛へと自然に移行している。
 11時ごろ宴がお開きになったので、おなかが少し空いていた私はひとりで町に出る。「なかや食堂」でゆし豆腐などを食べ、週末を楽しむ若い衆が闊歩したりバイクが爆音を放って走り去っていく国際通りを散歩した。人気のない平和通りを開南まで。沖縄に引っ越してきてから2ヶ月あまり、久しぶりの観光客気分で、楽しかった。

 ヘリコプターの爆音で目を覚ました。マラソンがそろそろ国際通りあたりに来ているんだろう。私も見物に行こうかな、と部屋を出ると照屋さん達があわただしく出かける準備をしている。「宮川さん、今日はゆっくりしてってね、」てゆうか、「お留守番頼めないかしら?」「おいおいっ」とも思ったが、そんな「常連客」風のあしらいがうれしくて二つ返事で承諾した。というわけでソファにごろりと横になり昼間からビールを片手にRBCの中継でマラソンが東風平から具志頭、摩文仁から糸満ロータリーへと流れていくさまを眺めて過ごすことになった。時々うたた寝もして、「やっぱりここは龍宮城なのかなぁ」、とてもしあわせだった。途中、ないちゃー旅行者風のお客さんが二人ほどやってきて、「電話したんだけどつながらなくって」、「今、ここの御主人、マラソンの応援にでかけてるんですよ」、「あ〜!」みょうに納得している。おいおい、宿の主人が不在で客がビールのみながら居眠りしている、そんな光景に簡単に納得するなよ!こうして彼女たちも「オキナワ体験」するんだなって思うとほほえましい。

 夕方から北谷にやってきた。日曜日のハンビータウンはものすごい渋滞。ミハマのアメリカンビレッジの向かいに観覧車ができかけてるの、知ってる?サンセット・ビーチのうそみたいに美しい夕日を眺めて(そのまんまや!)、振りかえるとさまざまなイルミネーションが夜空に浮かび上がる。そんな遊園地みたいな、おもちゃみたいな町作りに賛否両論あることは知っている。でも私は神戸に生まれて、震災のあとの見渡す限り一面のがれきの野に、一つまた一つと建物がたって、すこしづつ街ができていくのを見るのがとてもうれしかった。だから、この返還軍用地の膨大な空き地に、こうしておもちゃみたいな街が出来上がっていくのを見るのも、好きだ。  受験生のみなさん!試験が終わったらミハマに遊びに行こう!その頃には観覧車も出来上がってるだろう。「地球雑貨」でお買い物して、「南国食堂」のテラスで夕日に向かって乾杯しよう!がんばってね。




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1999/12/06 宮川 晋 miyagawasusumu@hotmail.com