エウレカ!エウレカ!



[問題]
y=cosxのグラフの0≦x≦(π/2)の部分と、x軸、y軸で囲まれた部分の面積をy=asinxおよびy=bsinxによって3等分したい。
ただし、baである。
a,bを求めよ。



何年か前の沖縄県の教員採用試験に出た問題なんだって。今年試験を受ける人から、質問を受けたんだけど、解いてみる前に、「あ、ごめんなさい、解けました。aは4/3でした!」ってことになって、でも、あまりにもシンプルな問題だから、なんか裏があるんじゃないか?、歴史的にいわくつきの問題なんじゃないか?みたいに気がかりだった。一月ほど前に「フェルマーの最終定理」読んで以来、「数論」ブームだったし。

うつ病患者は明け方に目を覚ます。「早期覚醒」って症状だ。いや、単に老人特有の「はやおき」かも知らんが・・・。
猫のトイレ掃除しなきゃ、犬の散歩に行かなきゃ、・・・「飼育係」の朝は忙しいんだけど、身体が少しも動かない。悶々としたままベッドの上で、半ばまどろみながら、いろいろなことを考える。いやぁーな感じの夢もたくさん見る。昔の恥ずかしい記憶がよみがえる。「死にたい!死にたい!」を打ち消すために、できるだけニュートラルで「メタリック」なことを考えようとする。

そんなとき「数学」はありがたい。「切り干し大根」のように、まったく生臭さを欠いているから、老人の口に合う。4/3の意味について考えてみた。
cosx-asinx
の積分で答えがa=4/3なのだとしたら、これを「単振動の合成」すると、合成波の振幅は、5/3。
「3、4、5」!?ベッドから跳ね起きた!

とり急ぎ、bについて計算してみる。5/12だ!!合成波の振幅は、13/12!!!確信したね。「ピュタゴラス数」だ!

そこで「問題」を「一般化」する。

[問題]
y=cosxのグラフの0≦x≦(π/2)の部分と、x軸、y軸で囲まれた部分の面積をy=asinxによってm:nの比に分割したい。
すなわち、下の図において、S1:S2=m:nとしたい。
aの値を求めよ。



[解答]
y=cosxと、y=asinxの交点のx座標をθとする。
cosθ=asinθ・・・@

次に、S1が、y=cosxx軸の0≦x≦(π/2)の部分と、y軸で囲まれる部分の面積のm/(m+n)であることから、



・・・A

@Aを変形すると、次のようになり、

cosθ-asinθ=0・・・@

・・・A

これは、原点を中心に反時計回りのθ回転を表す1次変換
A=cosθ-sinθ
sinθcosθ

を用いれば、


これは、座標平面上の(1,a)という点を、原点を中心にθ回転すると、ちょうどy軸上の点(0,)というところに移された、ということを意味する。

したがって、

これを、a,θについて解くと、



直角三角形の3辺、1,a,a+{m/(m+n)}を、それぞれ2m(m+n)倍に拡大すると、

x=2m(m+n)
y=n(2m+n)
z=2m2+2mn+n2

こうして、任意の整数の組m,nに対して、直角三角形の3辺を構成する、「ピュタゴラス数」x2+y2=z2 のセットが得られた。すんげい!やってみる?




では、次のフォームのmnのところに、適当な自然数を入力してください。「計算」ボタンを押すと、これに対応する「ピュタゴラス数」と、確認のための計算結果が表示されます。
m= n=


ピュタゴラス数
x=2m(m+n)=
y=n(2m+n)=
z=2m2+2mn+n2=

計算結果
x2=
y2=
x2+y2=
-------------------------------------------------------
z2=




後から、「数学辞典」風のものを調べてみたら、「ピュタゴラス数。
x=m2-n2
y=2mn
z=m2+n2
は、ピュタゴラス数である。」って、あっさり書いてあって、なるほど、その通りだ、でも、こっちのほうが、「面積の分割比」みたいに意味ありげで、いいじゃない?
こうしてあらためて眺めてみると、三角関数ってますます不思議ね。サインとコサインって、別の名前つけるほどもない、同じ関数を平行移動しただけのものなのに、例えば、この「回転」の行列、
A=cosθ-sinθ
sinθcosθ

「行ベクトル」に分けて読めば、上の行を「積分」すれば、下の行、「列ベクトル」に分けて読めば、左の列を「微分」すれば、右の列、となってるのね。

アルキメデスは、浮力に関する「アルキメデスの原理」を発見したとき、公衆浴場にいたそうで、だから「液体中の物体は、それが押しのけた液体の・・・」みたいな奇妙な言い回しを思いついたんだって話がつながるから、後世の捏造なんだろうけど、喜びのあまり、全裸のまま「エウレカ!エウレカ!」と叫びながら街に走り出たらしい。
「エウレカ」というギリシア語は「私は、発見した!」というような意味らしいが、まことに、「知」のヨロコビの無邪気さを示して余りある逸話ではある。

ちょっとそんな感じだったかな?2007年台風第4号「マンニー」君は、暴風圏の半径が370キロメートル、時速20キロのほぼ「自転車」並みの速度で北上中。那覇市は、370×2÷20で、37時間、暴風圏内にいる計算になる。だから、こんなもの作ってみた?