センターテスト化学I・【ファイナル・チェックシート】


  1. 酸・塩基の「電離度」と中和、塩の示す液性
    • 酸・塩基の「強さ」は「電離度」で決まる。
      ほぼ1であるものを「強酸、強塩基」という。
      • 1価の強酸では、酸の濃度と、それが電離して放出した水素イオンの濃度が等しい。
         0.1mol/L の塩酸の水素イオン濃度は 0.1mol/L 、これは 10-1 だから pH はである。
      • 2価の強酸では、水素イオンの濃度酸の濃度の2倍である。
         0.1mol/L の硫酸の水素イオン濃度は 0.2mol/L 、これは 2×10-1 だから pH はより小さい。
      • 1価の強塩基では、塩基の濃度と、それが電離して放出した水酸化物イオンの濃度が等しい。
         0.1mol/L の水酸化ナトリウムの水酸化物イオン濃度は 0.1mol/L 、これは 10-1 、水素イオン濃度は 10-13  だから、pH はである。
      • 2価の強塩基では、水酸化物イオンの濃度塩基の濃度の2倍である。
         0.1mol/L の水酸化バリウムの水酸化物イオン濃度は 0.2mol/L 、これは 2×10-1 、水素イオン濃度は 0.5×10-13 だから、 pH はより大きい。
    • 1よりかなり小さいものを「弱酸、弱塩基」という。
      • 1価の弱酸では、酸の濃度をかけたものが、水素イオン濃度になる。
         0.1mol/L の酢酸の電離度を 0.01 とすると、水素イオン濃度は 0.1×0.01mol/L 、これは 10-3 だから pH はである。
      • 1価の弱塩基では、塩基の濃度をかけたものが、水酸化物イオン濃度になる。
         0.1mol/L のアンモニア水の電離度を 0.01 とすると、水酸化物イオン濃度は 0.1×0.01mol/L 、これは 10-3 、水素イオン濃度は 10-11 だから pH はである。
    • ところが、中和の等量関係には、酸・塩基の強弱、すなわち「」は無関係。
      • 1価の弱酸である酢酸と、2価の強塩基である水酸化カルシウムの中和では、酢酸:水酸化カルシウム =  :  の物質量で中和が完了する。
      • 2価の強酸である硫酸と、1価の弱塩基であるアンモニア水の中和では、硫酸:アンモニア水 =  :  の物質量で中和が完了する。
    • さらに、ところが、中和完了後の水溶液の液性には、酸・塩基の強弱、すなわち「」が関係する。
      • 弱酸である酢酸と、強塩基である水酸化カルシウムでは、生じた塩が「弱酸強塩基塩」なので、中和完了点では pH は 7 より性に偏っている。
      • 強酸である硫酸と、弱塩基であるアンモニア水では、生じた塩が「強酸弱塩基塩」なので、中和完了点では pH は 7 より性に偏っている

     (1) 電離度, (2) 1, (3) 13, (4) 3, (5) 11, (6) 2, (7) 1, (8) 1, (9) 2, (10) 大きく, (11) 塩基, (12) 小さく, (13) 酸, 


  2. 鉛蓄電池
    • 鉛蓄電池は、単体の鉛と、酸化鉛(IV)を電極としている。
    • 単体の鉛が鉛イオン(II)になるとき、鉛の酸化数はからに増加する。このとき電子がされるから、鉛は剤として働いている。鉛が極となる。
      鉛1モルが消費されると、モルの電子が発生する。
    • 酸化鉛(IV)が鉛イオン(II)になるとき、鉛の酸化数はからに減少する。このとき電子をから、酸化鉛(IV)は剤として働いている。酸化鉛(IV)が極となる。
      酸化鉛(IV)1モルが消費されるとき、モルの電子を受け取る。
    • 鉛蓄電池の電解液には希硫酸が用いられており、放電時に負極、正極から生じた鉛(II)イオンは、と難溶性の塩(沈殿)をつくるから、これが電極に付着し、いずれの電極も質量がする。
      • 負極では、2モルの電子が発生するごとに、単体の鉛1モル(207)が硫酸鉛(II)1モル(207+96)になるので、96グラムの質量がする。
      • 正極では、2モルの電子を受け取るごとに、酸化鉛(IV)1モル(207+32)が硫酸鉛(II)1モル(207+96)になるので、64グラムの質量がする。
      • 電解液の希硫酸は、が電極に付着して失われるので、濃度がなる。
      [問] 鉛蓄電池で、10Aの電流を10時間放電した。正極の質量増加は何グラムか?

      [A=C/s]、ファラデー定数96500[C/mol]


     (1) 0, (2) +2, (3) 放出, (4) 還元, (5) 負, (6) 2, (7) +4, (8) +2, (9) 受け取る, (10) 酸化, (11) 正, (12) 2, (13) 硫酸イオン, (14) 増加, (15) 小さく, 
  3. 燃料電池
    • 燃料電池は、気体の水素と気体の酸素を電極としている。
    • 単体の水素が水になるとき、水素の酸化数はからに増加する。このとき電子がされるから、水素は剤として働いている。水素が極となる。
      水素の気体1モルが消費されると、モルの電子が発生する。
    • 単体の酸素が水になるとき、酸素の酸化数はからに減少する。このとき電子をから、酸素は剤として働いている。酸素が極となる。
      酸素の気体1モルが消費されるとき、モルの電子を受け取る。

     (1) 0, (2) +1, (3) 放出, (4) 還元, (5) 負, (6) 2, (7) 0, (8) -2, (9) 受け取る, (10) 酸化, (11) 正, (12) 4, 












  4. 電気分解
    • 電池の負極と接続された電極をと呼ぶ。には、電子が流れ込んでくるから、過剰な電子を受け取る反応すなわち、反応が起こる。
      電子を受け取る剤は、次のように決められる。
      1. 水溶液中に、水素よりイオン化傾向が小さい金属のイオンがあれば、そのイオンが電子を受け取ってする。
      2. なければ、が電子を受け取って、の気体が発生する。
        このとき、2モルの電子で1モルのが発生する。
    • 電池の正極と接続された電極をと呼ぶ。では、電子が奪われるから、電子を放出する反応すなわち、反応が起こる。
      電子を放出する剤は、次のように決められる。
      1. 電極がPtなどのきわめてイオン化傾向の低い金属であるか、炭素のように反応しにくいものであるとき以外は、電極が溶けて電子を放出する。
      2. 電極が溶けない(Pt、炭素以外)ときは、水溶液中に塩化物イオンがあればこれが電子を放出して、の気体を発生する。
        このとき、2モルの電子を放出して1モルのの気体が発生する。
      3. 電極が溶けない(Pt、炭素以外)で、水溶液中に塩化物イオンがなければ、の酸素が電子を放出して、の気体を発生する。
        このとき、4モルの電子を放出して1モルのの気体が発生する。
      [問] 硫酸銅水溶液を白金電極で電気分解。10Aの電流を10時間流した。
      (1)陰極の質量はどれだけ増えるか?
      (2)陽極で発生する気体の標準状態での体積は?

      [A=C/s]、ファラデー定数96500[C/mol]、Cu=64

      (1) (2)

     (1) 陰極, (2) 還元, (3) 酸化, (4) 析出, (5) 水素, (6) 陽極, (7) 塩素, (8) 酸素, 


  5. ハロゲン
    • ハロゲンは周期表の第17族に位置する。
      周期表では、希ガスを除き、右上に行くほど「陰性」が強くなる。「陰性」は電子をひきつける性質であるから、「酸化力」に等しい。すべての元素の中で、酸素よりも「陰性」が強いのはのみである。
    • 常温での状態は、フッ素()、塩素()、臭素()、ヨウ素()である。
      非金属元素の中で常温で液体であるものは、のみである。
      また、塩素はの有色の気体である。
    • ハロゲンの酸化力は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の順に弱くなる。
      水にフッ素を加えると、が発生するが、これはフッ素が酸素より「陰性」が強いことを表しており、このような反応を起こすのは、フッ素のみである。
      ヨウ化カリウムに塩素を加えると、ヨウ素が発生するが、これはを酸化したためで、逆に塩化カリウムにヨウ素を加えても、なにも起こらない。
    • ハロゲン化水素は、を除いてすべて強酸である。は弱酸であるが、ガラスを溶かすという特徴をもつ。

     (1) フッ素, (2) 気体, (3) 液体, (4) 固体, (5) 臭素, (6) 黄緑色, (7) 酸素, (8) 塩素, (9) ヨウ化物イオン, (10) フッ化水素, 
  6. 沈殿による金属陽イオンの分離
    • のイオンは、一切沈殿しない。
    • のイオンが沈殿を生じるのは、のみである。
    • 以外のすべての金属イオンは、で沈殿を生じる。
    • 金属の水酸化物は、と呼ばれるが、このうち水に溶けて塩基性を示すのは、の水酸化物のみである。他は水には溶けないが、と反応する。したがって、すべての金属イオンのによる沈殿は、によって溶ける。
    • の水酸化物はであるから、両方の働きを持つ。
      したがって、による沈殿に、過剰なを加えると、反応して沈殿が溶ける。
    • のイオンは、アンモニア分子を取り込んで水に可溶性の「錯イオン」を作る。したがって、これらのイオンのによる沈殿に、過剰な水を加えると、沈殿が溶ける。
    • 硫化水素は、水に溶けて弱酸性を示す気体である。
      1. 酸性の水溶液に硫化水素の気体を吹き込むと、水溶液中にはすでに水素イオンが十分存在しているから、硫化水素の電離は妨げられ、硫化物イオンの濃度は抑えられる。
        このような状態でも、硫化物イオンとの沈殿を生じるのは、のイオンだけである。
      2. 塩基性の水溶液に硫化水素の気体を吹き込むと、水溶液中の水酸化物イオンとの間に中和反応が起こり、硫化水素の電離は促進され、硫化物イオンの濃度はなる。
        この状態では、のイオンにくわえて、のイオンも硫化物イオンとの沈殿を作り始める。
      3. また、硫化水素には力があるので、イオンは、イオンにされてから沈殿する。
    • 塩化物イオンで沈殿を生じるのは、のイオンと、のイオンのみである。
    • 硫酸イオンで沈殿を生じるのは、のイオンと、のイオンのみである。
    • 一般に有色の沈殿を作るのは、のイオンであり、それ以外は白色であることが多い。
      ただし、硫化物イオンによる沈殿は、ほとんどが黒色で、イオンとの沈殿のみが例外的に白色である。

     (1) アルカリ金属, (2) アルカリ土類金属, (3) 炭酸イオン, (4) 硫酸イオン, (5) 水酸化物イオン, (6) 塩基性水酸化物, (7) 酸, (8) 両性元素, (9) 両性水酸化物, (10) 塩基, (11) 水酸化ナトリウム, (12) 亜鉛, (13) 銀, (14) 銅, (15) アンモニア, (16) 低く, (17) 鉛, (18) 銅, (19) 銀, (20) 高く, (21) 亜鉛, (22) 鉄(II), (23) 還元, (24) 鉄(III), (25) 遷移元素, 
  7. 水素の製法
    • イオン化傾向が水素より大きい金属の単体に、希、希などの電離度の大きい酸を加えると、水素の気体が発生する。
      このとき、酸の電離によって生じたが電子をいるので、の役割、金属が電子を、陽イオンになっているので、の役割を果たしている。
      例外はで、生じたの陽イオンがに含まれると難溶性の塩(沈殿)をつくってしまうからである。
    • 特にイオン化傾向が大きい金属の単体は、常温で水と反応して水素を発生させる。
      水の水素の酸化数であるから、このときは水がの役割を果たしている。
      この反応は爆発的に起こるので危険であるから、これらの金属の単体はの中で保存する。
    • の単体は、酸だけではなく、とも反応して水素を発生させる。

     (1) 塩酸, (2) 硫酸, (3) 水素イオン, (4) 受け取って, (5) 酸化剤, (6) 放出して, (7) 還元剤, (8) 鉛, (9) 塩化物イオン, (10) 硫酸イオン, (11) カリウム, (12) カルシウム, (13) ナトリウム, (14) +1, (15) 石油 , (16) 両性元素 , (17) 塩基 ,
  8. 酸素の製法
    • 水にを加えると、酸素の気体が発生する。
      の酸素の酸化数であるから、酸化数 0 の酸素の単体になるときはとして働き、酸化数 -2 の水になるときはとして働くことができる。だから、この反応では、酸化還元反応を行っておらず、として作用している。
    • 水にの気体を加えると、酸素の気体が発生する。
      この反応では、水に含まれていた酸化数 -2 の酸素が、酸化数 0 の酸素の単体に変わったのだから、酸素がされている。
      周期表の中で、希ガス元素を除き、右上に行くほどが大きくなり、「陰性」が強くなる。「陰性」とは電子を性質であり、力を意味する。
      酸素よりも、「陰性」が、したがって力が強い元素は、しかない。だから、このような反応を起こす元素は、だけである

     (1) 過酸化水素, (2) 酸化マンガン(IV), (3) -1, (4) 還元剤, (5) , 酸化剤;(6) 触媒, (7) フッ素, (8) 酸化, (9) 電子親和力, (10) 引き付ける, 
  9. 塩素の製法
    • を加えると、塩素の気体が発生する。
      の塩素の酸化数であるから、酸化数 0 の塩素の単体になるときにとして働いている。したがって、ここではとして作用している。
    • など、次亜塩素酸イオンを含む物質は、「漂白剤」、「消毒剤」として利用されている。
      次亜塩素酸イオンの塩素の酸化数は、であり、これが酸化数 -1 の塩化物イオンに変化するとき、力を発揮するからである。
      ところが、次亜塩素酸イオンに、など、塩化物イオンを含むものを加えると、塩素の単体が発生してしまい、大変危険である。
    • 塩素は、刺激臭のある有毒な気体で、色の有色の気体である。水に溶けるとを生じるから、塩素の気体を乾燥させるにはソーダ石灰など塩基性の乾燥剤は用いることができず、を用いる。

     (1) 塩酸, (2) 酸化マンガン(IV), (3) -1, (4) 還元剤, (5) 酸化剤, (6) さらし粉, (7) 次亜塩素酸ナトリウム, (8) +1, (9) 酸化, (10) 塩酸, (11) 黄緑, (12) 塩酸, (13) 次亜塩素酸, (14) 濃硫酸, 
  10. 塩化水素(塩酸)の製法
    • 食塩水にを加えて加熱すると、の気体が発生する。これは、という性質を利用している。
      の水溶液をと呼んでいる。

     (1) 濃硫酸, (2) 塩化水素, (3) 不揮発性, (4) 塩酸, 
  11. 硫化水素の製法
    • 硫化水素は、常温で気体であり、水に溶け弱酸性を示す。したがって、硫化水素を得るには、など、弱酸である硫化水素の塩に、希、希などの強酸を作用させればよい。
    • 硫化水素は、弱酸性の気体であるから、酸性の水溶液に吹き込むと、電離が抑制され硫化物イオンはわずかしか発生しない。したがって、硫化水素を吹き込んだ酸性水溶液中で沈殿するのは、など、非常に沈殿しやすい金属の陽イオンに限られている。
      反対に、塩基性の水溶液に、硫化水素を吹き込むと、中和が進行して電離が促進され、硫化物イオンの濃度は高まる。したがって、硫化水素を吹き込んだ塩基性水溶液では、のイオンに加えて、イオン、イオンも沈殿する。
      なお、硫化水素の硫黄の酸化数であり、強い力をもっている。このため、イオンはイオンに還元されてから、沈殿する。
    • 硫化水素は、臭の、毒性の強い気体である。
      この気体を乾燥するには、酸性であることから、など、塩基性の乾燥剤は使用できず、また、強い力を持つことから、強力な酸化剤であるで乾燥することもできないので、塩化カルシウムなど中性の乾燥剤を用いなければならない。。

     (1) 硫化鉄, (2) 塩酸, (3) 硫酸, (4) 鉛, (5) 銅, (6) 銀, (7) 亜鉛, (8) 鉄(II), (9) -2, (10) 還元, (11) 鉄(III), (12) 腐卵, (13) ソーダ石灰, (14) 濃硫酸, 
  12. アンモニアの製法
    • アンモニアは、水によく溶けて弱を示す気体である。弱塩基の塩に強塩基を作用させると、弱塩基が発生することを利用して、得ることができる。
      アンモニアの塩であるに、などの強塩基を作用させると、アンモニアの気体が発生する。
    • 工業的には、窒素の気体と水素の気体から直接アンモニアを合成する「」が用いられている。
    • アンモニアは、水に溶けやすく、空気より気体であるから、捕集法としては、を用い、乾燥するときはの気体であることから、酸性を示すは用いることができないので、塩基性のなどを用いる。

     (1) 塩基性, (2) 塩化アンモニウム, (3) 水酸化ナトリウム, (4) ハーバー・ボッシュ法, (5) 軽い, (6) 上方置換, (7) 濃硫酸, (8) ソーダ石灰, 
  13. 「非金属酸化物」について
    • 非金属の酸化物はと呼ばれる。水に溶けて酸性を示したり、塩基と反応したりするからである。
    • 非金属酸化物の多くは常温で気体であるが、固体であるものとして、の酸化物、の酸化物などがある。
    • の酸化物のは、共有結合結晶の硬い固体でありガラスの主原料である。反応しにくい物質であるが、弱酸であるには溶ける。また、であるから、強い塩基にはわずかに反応するので、水酸化ナトリウムを保存する際にはガラス栓を用いるとガラスがわずかに溶けて、くっついてしまうので、ゴム栓を用いなければならない。
      リンの酸化物(十酸化四リン)には、空気中の水分を吸収して結晶が崩壊するがある。
    • 気体である非金属酸化物のうち、は水に溶けて弱酸性を示し、それぞれ「炭酸」、「亜硫酸」と呼ばれる。
      は刺激臭の有毒な気体で、のおもな原因物質である。
      また、は水と反応して硝酸となり、強酸性を示す。は、刺激臭の有毒な気体で、色の有色の気体であることが特徴である。
      これに対して、は水に溶けない。
      されて、になる際、力を示すので、製鉄所ので、鉄鉱石をまでするとき、剤として用いられる。
    • 濃硫酸は強力な酸化剤で、自らはされて、となる。このとき硫黄の酸化数からへと変化している。
      希硝酸、濃硝酸はともに強力な酸化剤であるが、希硝酸はされて、となり、濃硝酸はされて、となる。
      希硝酸からへの反応では、窒素の酸化数からへ、濃硝酸からへの反応では、窒素の酸化数からへと変化している。
      イオン化傾向が銀よりも大きな金属の単体は、これらの強力な酸化剤に溶ける。ただし、は例外で、と呼ばれる強力な酸化皮膜を形成するので、反応が進行しない。

     (1) 酸性酸化物, (2) ケイ素, (3) リン, (4) 二酸化ケイ素, (5) フッ化水素, (6) 潮解性, (7) 二酸化炭素, (8) 二酸化硫黄, (9) 酸性雨, (10) 二酸化窒素, (11) 赤褐色, (12) 一酸化炭素, (13) 一酸化窒素, (14) 酸化, (15) 還元, (16) 高炉, (17) 銑鉄, (18) 還元, (19) +6, (20) +4, (21) +5, (22) +2, (23) +4, (24) アルミニウム, (25) 鉄, (26) 不動態, 
  14. 二酸化炭素の製法
    • 石灰岩()に希、希などの強酸を加えると、二酸化炭素の気体が発生する。弱酸の塩に強酸を加えたら、弱酸が発生した、と説明できる。
      CaCO3 + 2HCl → CaO + CO2
      このとき同時に発生するは、金属の酸化物であるから、である。のうち、アルカリ金属とアルカリ土類金属の酸化物だけは水に溶け、いずれも強塩基性を示す。カルシウムもアルカリ土類金属であるから、も水によく溶け、強塩基であるを発生する。この反応は、の工業的製法である「アンモニア・ソーダ法」でも用いられている。
    • 「固体の弱酸の塩に液体の強酸を加えたら、弱酸の気体が発生する」のであるから、二酸化炭素は、上の方法に限らず、例えばナトリウムの炭酸塩、に希塩酸や希硫酸を加えることでも得られる。
    • を加熱分解すると、気体の二酸化炭素、液体の、固体のになる。この反応も「アンモニア・ソーダ法」で用いられている。

     (1) 炭酸カルシウム, (2) 塩酸, (3) 硫酸, (4) 酸化カルシウム, (5) 塩基性酸化物, (6) 水酸化カルシウム, (7) 炭酸ナトリウム, (8) 炭酸水素ナトリウム, (9) 水, 
  15. 二酸化硫黄の製法
    • など、水素よりもイオン化傾向が小さい金属は、希塩酸や希硫酸などの強酸と反応してを発生することはないが、などの強力な酸化剤には溶ける。
      濃硫酸が酸化剤として働くとき、が発生する。
    • 二酸化硫黄は、水に溶けると「亜硫酸」と呼ばれ弱酸性を示す気体であるから、例えば、亜硫酸水素ナトリウムなどのに、強酸を作用させることでも得られる。

     (1) 銅, (2) 銀, (3) 水素, (4) 濃硫酸, (5) 希硝酸, (6) 濃硝酸, (7) 二酸化硫黄, (8) 亜硫酸ナトリウム, 
  16. 一酸化窒素・二酸化窒素の製法
    • などの金属に、酸化剤としてを作用させると、気体の一酸化窒素が発生する。一酸化窒素は色の水に溶けない気体である。
    • などの金属に、酸化剤としてを作用させると、気体の二酸化窒素が発生する。二酸化窒素は色の気体で、水と反応して強酸性を示す。

     (1) 銅, (2) 銀, (3) 希硝酸, (4) 無, (5) 濃硝酸, (6) 赤褐, 
  17. 硫酸の工業的製法(接触法)
    • 単体の硫黄や黄鉄鉱などを原料に、これを順次して、として、これを水に溶かして硫酸を得る。
      単体の硫黄、、硫酸の硫黄(S)の酸化数は、順にとなる。
    • 原料である硫黄1モルから、製品である硫酸モルが得られる。
      [問] 1kgの硫黄から得られる98%の濃硫酸の質量[kg]を求めよ。
    • 濃硫酸が水に溶けるとき、大量のが発生する。大量の濃硫酸に少量の水を加えると、急速に気化した熱湯の滴が跳ね飛ばされて危険であるから、逆に大量のを少しずつ加える。
    • 希硫酸は電離度の高いであるが、濃硫酸の電離度は低い。
      濃硫酸には、以下のような重要な性質がある。
      1. 強力なであり、銅、銀などイオン化傾向の低い金属も溶かして、の気体を発生する。
      2. 「エステル化」などの際に見られるように性を持つ。この性質から、気体の乾燥剤としても用いられている。
      3. 沸点が高く、である。この性質を利用してに濃硫酸を加えて加熱することにより、を発生させることができる。

     (1) 酸化, (2) 二酸化硫黄, (3) 三酸化硫黄, (4) 0, (5) +4, (6) +6, (7) +6, (8) 1, (9) 溶解熱, (10) 水, (11) 硫酸, (12) 強酸, (13) 酸化剤, (14) 二酸化硫黄, (15) 脱水, (16) 不揮発性, (17) 塩化ナトリウム(食塩), (18) 塩化水素, 
  18. 硝酸の工業的製法(オストワルト法)
    • によって製造された気体のアンモニアを原料に、これを順次して、とし、これを水と反応させて硝酸を得る。
      アンモニア、、硝酸の窒素(N)の酸化数は、順にとなる。
    • 原料であるアンモニア1モルから、製品である硝酸モルが得られる。
      [問] 標準状態で10Lの気体のアンモニアから得られる63%の濃硝酸の質量[kg]を求めよ。
    • 希硝酸は電離度の高いであるが、濃硝酸の電離度は低い。
      希硝酸濃硝酸も強力なであり、銅、銀などのイオン化傾向の低い金属も溶かす。
      このとき、希硝酸濃硝酸の気体をそれぞれ発生する。

     (1) ハーバー・ボッシュ法, (2) 酸化, (3) 一酸化窒素, (4) 二酸化窒素, (5) -3, (6) +2, (7) +4, (8) +5, (9) 1, (10) 強酸, (11) 酸化剤, (12) 一酸化窒素, (13) 二酸化窒素, 
  19. アンモニア・ソーダ法
    • 「アンモニア・ソーダ法」は、工業的にを製造する方法である。はガラスの製造工程で、主成分のに混ぜて用いられる。
    • 飽和水に、気体のを吹き込むと、の沈殿が得られる。・・・(1)
    • を加熱分解すると、目的物である固体のと、気体の、液体のになる。・・・(2)
    • 「アンモニア・ソーダ法」のすぐれた点は、再利用がうまくなされていることにある。
    • まず、再利用について見る。
      (1)の工程で、副産物として、が出る。この物質は、「弱塩基」であると、「強酸」であるの「塩」と見ることができるから、固体であるに「強塩基」の液体を作用させると、「弱塩基」であるを気体として取り出すことができるはずである。
      比較的安価に得られる「強塩基」としてが選ばれた。
      • 石灰岩の主成分はであるが、これを強熱して分解すると、「酸性酸化物」である気体のと、「塩基性酸化物」である固体のになる。・・・(3)
      • 一般にの酸化物は「塩基性酸化物」であるが、このうち、水に溶解するのは、の酸化物のみである。これらは水に溶解すると、完全に電離し、強塩基性を示す。は、の酸化物であるから、水に溶けて強塩基性を示すとなる。・・・(4)
      • こうして、を加えてを得ることができた。・・・(5)
    • 次には、(1)および(3)の反応で生じるものを再利用することができる。
    • それぞれを化学反応式で表すと、
       NaCl + NH3 + CO2 + H2O → NaHCO3 + NH4Cl ・・・(1)
       2NaHCO3 → Na2CO3 + CO2 + H2O                    ・・・(2)
       CaCO3 → CO2 + CaO                                           ・・・(3)
       CaO + H2O → Ca(OH)2                                        ・・・(4)
       2NH4Cl + Ca(OH)2 → 2NH3 + 2H2O + CaCl2     ・・・(5)
      2×(1)+(2)+(3)+(4)+(5)から、
      2NaCl+CaCO3→Na2CO3+CaCl2
      となるから、もし、再利用が完全に行われたら、は、一切補充することなく、2モルと、1モルから、目的物1モルを得ることができることがわかる。

     (1) 炭酸ナトリウム, (2) 二酸化ケイ素, (3) 食塩, (4) アンモニア, (5) 二酸化炭素, (6) 炭酸水素ナトリウム, (7) 水, (8) 塩化アンモニウム, (9) 塩酸, (10) 水酸化カルシウム, (11) 炭酸カルシウム, (12) 酸化カルシウム, (13) 金属, (14) アルカリ金属, (15) アルカリ土類金属, 






  20. 金属の利用
    • 現代社会で、最も大量に用いられている金属は、アルミニウムであろう。鉄は「硬い」こと、アルミニウムは「」て加工しやすいこと、「イオン化傾向」がかなり大きいにもかかわらずいずれも安定な「酸化皮膜()」を形成するから、酸などに侵されにくいことが、何よりもその特徴である。
    • 人類は歴史の中で、金属を「」の小さいものから順に利用してきた。金や銀など、「」の非常に小さな金属は、地中に単体のまま存在しているから、採掘してそのまま使うことができるのに対し、銅や鉄は、「」として地中に存在するから、これらを利用するには、「」の技術が必要だったからだ。
    • 光合成を行う植物が大量の「」を大気に蓄積したからこそ、動物は海中から陸上に生活の場を移すことができたのだが、大気中の「」の存在によって、「」が大きい金属はすべて徹底的に酸化され、鉄もアルミニウムも地中にはすべて(赤鉄鉱Fe2O3、アルミナAl2O3)のイオンの形で存在している。
    • 」が安定であることは、利用の面では利点となるが、鉱石を「」して単体を得るには障害となった。

     (1) 軽く, (2) 不動態, (3) イオン化傾向, (4) 酸化物, (5) 還元, (6) 酸素, (7) +3, 
  21. 製鉄の仕組み
    • 「高炉」では、コークス(石炭の乾留によって得られた個体の炭素)と二酸化炭素との反応で生じた剤として、鉄鉱石をしていく。
      鉄鉱石の主成分は(Fe2O3)であるが、これが順次、四酸化三鉄(Fe3O4)、酸化鉄(II)、鉄の単体とされていく。
      このとき鉄の酸化数は、 → +2と+3の混合物 →  → と変化している。「高炉」で出来上がった鉄の単体をと呼ぶ。
    • 「高炉」で得られたは、不純物としてを多く含んでいるため、もろい。「転炉」では、を高温で融解し、を吹き込むことで、不純物のして取り除く。こうして得られた純度の高い、強度の高い鉄をと呼ぶ。

     (1) 一酸化炭素, (2) 還元, (3) 酸化鉄(III), (4) +3, (5) +2, (6) 0, (7) 銑鉄, (8) 炭素, (9) 酸素, (10) 酸化, (11) 鋼, 
  22. アルミニウムの製法(酸化アルミニウムの融解塩電解)
    • 「イオン化傾向」がより大きい金属の単体は、水溶液の電気分解によって析出して取り出すことは、決してできない
      水溶液中には、水分子または水素イオンが必ず存在するから、では、これらが優先的に電子を受け取り、されて気体のが発生してしまうからである。
    • そこで、これらの金属については、そのイオンを含む塩を高温で融解し、水を一滴も加えないで電気分解を行って析出させる。この方法を「」と呼び、例えば食塩の「」によっての単体を得ている。
    • アルミニウムは、地殻の元素の組成では、についで3番目に多量に含まれているがが、「イオン化傾向」が高いため、すべて酸化され価のイオンとして存在している。アルミニウムの鉱石は「」と呼ばれ、主成分は(アルミナ、Al2O3)である。
    • アルミニウムの単体は、「イオン化傾向」が非常に高いにもかかわらず、濃硝酸などの強力な剤にも溶けない。これはの皮膜(不動態)が非常に強力であることを意味している。
      の融点はきわめて高く、これが「」では難点になった。20世紀のはじめに、「」と呼ばれるアルミニウム化合物を混合することで劇的に融点を下げる方法が発見され、初めて実用化されるようになった。
    • しかし、「」では大量の電力を消費するので、アルミニウム生産のコストは大きい。アルミ製品のリサイクルがうまく機能しているのはこのためである。
    • 」の電極にはが用いられる。
      では、1molの酸化アルミニウム(Al2O3)がmolの電子を受け取って、molのアルミニウムの単体に変化する。
      では、炭素が不完全燃焼して、の気体が発生する。
      [問] 27gのアルミニウムを得るためには、1[A]の電流を何分間流す必要があるか?
      ファラデー定数は96500[C/mol]、Al=27とする。

     (1) 水素, (2) 陰極, (3) 還元, (4) 融解塩電解, (5) ナトリウム, (6) 酸素, (7) ケイ素, (8) +3, (9) ボーキサイト, (10) 酸化アルミニウム, (11) 酸化, (12) 氷晶石, (13) 炭素, (14) 陰極, (15) 6, (16) 2, (17) 陽極, (18) 一酸化炭素, 




  23. アセトアルデヒドの製法
    1. エタノールの酸化(実験室的製法)
      • 「第1級アルコール」を酸化すると、を経てになる。この第2段階の酸化は、きわめて速やかに行われるため、には「性」があると言われる。
      • エタノールに、ニクロム酸カリウムなどの強力な剤を加えると、を経て直ちにまで、されてしまう。
        そこで、エタノールとの沸点の違いに着目して、発生したをいったん気体にした上、冷却して液体で取り出す方法が考案された。
        エタノールは極性の大きなをもっているため、その沸点(約80°C)は、の沸点(約20°C)よりもかなり高い。
    2. アセチレンの水付加(かつての工業的製法)
      • を付加すると、ビニルアルコールという不安定な化合物を経てが生じる。
      • 工業的製法として長らく用いられてきたが、触媒にを用いることから甚大な環境被害をもたらしたため、現在は用いられていない。
    3. の酸化(現在の工業的製法)

     (1) アルデヒド, (2) カルボン酸, (3) 還元, (4) 酸化, (5) アセトアルデヒド, (6) 酢酸, (7) ヒドロキシル基, (8) アセチレン, (9) 水, (10) 水銀, (11) エチレン, 
  24. フェノールの製法
    1. ベンゼンスルホン酸のアルカリ融解
      • に濃硫酸を加えて加熱すると、濃硫酸の作用により、が得られる。この反応をと呼ぶ。
      • に固体のを混ぜて加熱すると、が得られる。この過程を「」と呼んでいる。
      • は、の塩だから、よりもい酸、例えば二酸化炭素や塩酸を作用させると、最もい酸であるが得られる。
    2. クロロベンゼンに水酸化ナトリウム水溶液を作用させる
      • の二重結合はとても安定なので、紫外線などの高エネルギーを加えない限り反応は起こさず、反応を行う。
        に塩素を作用させるときも、紫外線を照射すると反応を行って、を生じるが、通常は反応によってを生じる。
      • を触媒として塩素を作用させると、反応によりを生じる。
      • に、高温高圧化で水溶液を作用させると、が得られる。
      • は、の塩だから、よりもい酸、例えば二酸化炭素や塩酸を作用させると、最もい酸であるが得られる。
    3. クメン法(工業的製法)
      • させると、ができる。
      • これをした後、分解すると、とともにが得られる。

     (1) ベンゼン, (2) 脱水, (3) ベンゼンスルホン酸, (4) スルホン化, (5) 水酸化ナトリウム, (6) ナトリウムフェノキシド, (7) アルカリ融解, (8) フェノール, (9) 強, (10) 弱, (11) 付加, (12) 置換, (13) ヘキサクロロシクロヘキサン, (14) クロロベンゼン, (15) プロペン(プロピレン), (16) クメン, (17) 酸化, (18) アセトン, 
  25. 芳香族カルボン酸の製法
    • ベンゼン環の側鎖のメチル基を酸化すると、最終的にはカルボキシル基まで酸化される。
    • このことから、を酸化すると安息香酸、を酸化するとフタル酸、を酸化するとテレフタル酸が得られることがわかる。
    • フタル酸では、2個のカルボキシル基が接近しているため、容易に分子内脱水してを生じるが、テレフタル酸では、2個のカルボキシル基が離れているため、このような反応は起こらない。
    • テレフタル酸と、2価アルコールであるとの、「」によって得られた高分子化合物はとして知られている。この化合物は分子内に多数の「結合」をもつため、「系合成繊維」と呼ばれる。

     (1) トルエン, (2) o-キシレン, (3) p-キシレン, (4) 無水フタル酸, (5) エチレングリコール, (6) 縮重合(縮合重合), (7) PET(ポリエチレンテレフタレート), (8) エステル, (9) ポリエステル, 
  26. サリチル酸の製法
    • サリチル酸は、ベンゼン環のの位置に、フェノール性と、をもった化合物である。
    • は、最も弱い酸であるの塩であるから、これに二酸化炭素を加えると、が発生する。
      ところが、に、高温・高圧下二酸化炭素を作用させると、次のようなサリチル酸のナトリウム塩が生じる。

      フェノール二酸化炭素カルボン酸の順に酸は強くなるから、二酸化炭素の存在下では、フェノール性は電離できず、は電離できるからである。
    • この塩に、カルボン酸よりも強い酸、例えば、希などを作用させると、は電離できず水に不溶性となるから、遊離させて取り出すことができる。
    • は、フェノール性の両方を持っているので、2種類のエステル化が可能である。
      • とメタノールのエステル化によって、が得られる。これは、筋肉痛などに対する外用薬として利用されている。
      • と無水酢酸のエステル化によって、が得られる。これは、副作用の少ない鎮痛剤として広く用いられている。

     (1) オルト, (2) ヒドロキシル基, (3) カルボキシル基, (4) ナトリウムフェノキシド, (5) フェノール, (6) 塩酸, (7) サリチル酸, (8) サリチル酸メチル, (9) アセチルサリチル酸, 
  27. アニリン、アセトアニリド、アゾ染料の製法
    • に濃硫酸とを加えて加熱すると、濃硫酸のにより、からして、が得られる。この反応をと呼ぶ。
    • に塩酸とスズを加えると、が生じる。ここで、スズは剤として作用している。
      は弱塩基であるアニリンの塩であるから、ここに強塩基としてなどを加えると、アニリンが遊離する。
    • アニリンにを作用させると、が得られる。この物質の-NH-CO-の構造は、「結合」と呼ばれ、生体内のタンパク質にも見られる。
    • と塩酸を加えてすると、が生じる。この反応をと呼ぶ。
      は、きわめて熱に弱い物質であるから、加熱すると容易に分解して、、塩酸を生じる。
    • を作用させると、という反応により、の一種であるp-ヒドロキシアゾベンゼンが得られる。

     (1) ベンゼン, (2) 濃硝酸, (3) 脱水, (4) ニトロベンゼン, (5) ニトロ化, (6) アニリン塩酸塩, (7) 還元, (8) 水酸化ナトリウム, (9) 無水酢酸, (10) アセトアニリド, (11) アミド, (12) 亜硝酸ナトリウム, (13) 冷却, (14) 塩化ベンゼンジアゾニウム, (15) ジアゾ化, (16) フェノール, (17) 窒素, (18) ナトリウムフェノキシド, (19) アゾカップリング, (20) アゾ染料, 
  28. 高分子化合物の製法
    • 多数の有機化合物が結合してできた分子量の大きな物質を高分子化合物といい、合成繊維や合成樹脂として広く用いられている。
      高分子化合物の成り立ちには、大きく分けて2つの結合の仕方が用いられている。
      1. 隣接する二重結合が切れて、長くつながってできたものを、「系高分子化合物」と呼ぶ。
      2. 「エステル結合」、「アミド結合」のように、隣接する2つの分子の持つ基から、水などの単純な化合物が脱落して結合をつくるものを、「系高分子化合物」と呼ぶ。
    • 」によるものとしては、エチレンがしてできた、塩化ビニルがしてできた、スチレンがしてできた(発泡スチロール)などがある。
    • 」によるものには、エステル結合による「ポリエステル系」、アミド結合による「ポリアミド系」などがある。
      1. 芳香族2価カルボン酸であると、2価アルコールであるのエステル化によって、(PET)がつくられている。
      2. 2価カルボン酸であると、2価アミン(ジアミン)の一種であるから脱水し、多数のアミド結合によってつながった合成繊維が「」である。構成単位がいずれも6個の炭素でできていることからこの名前がある。

     (1) 付加重合, (2) 縮重合(縮合重合), (3) ポリエチレン, (4) ポリ塩化ビニル, (5) ポリスチレン, (6) テレフタル酸, (7) エチレングリコール, (8) ポリエチレンテレフタレート, (9) アジピン酸, (10) ヘキサメチレンジアミン, (11) 6-6ナイロン, 
  29. 抽出による芳香族化合物の分離
    • 溶媒に対する溶解度の違いを利用して物質を取り出す方法をと呼ぶ。
    • 水はO-Hの構造を持っているため、非常に極性の大きな溶媒であるが、酸素の両端に炭素が結合した「エーテル結合」は、ほとんど極性を持たないので、エーテルはまったく水に溶けない。
    • ジエチルエーテルは水よりもはるかに分子量が大きいが、水分子のように極性による大きな分子間力を持たないので、密度は小さく、分液ロートにジエチルエーテルと水を得れると、2層に分かれ、が上層、が下層になる。
    • 芳香族化合物は、無極性のベンゼン環を持つから、水には溶けず、同じく無極性のエーテルにはよく溶ける。
    • 酸性の基であるフェノール性や、をもつもの、塩基性であるをもつものは、電離している状態であれば、電荷の偏りがあるので、極性の強い水にも溶けることができる。
    • フェノール、安息香酸、アニリン、トルエンを含むジエチルエーテル溶液があったとする。
      • 塩酸を加えてよく振り混ぜたのち静置すると、エーテル層と塩酸を含んだ水層の二層に分離するが、水層には電離したのイオンが含まれている。
        コックを開けて下層の水層を抜き取り、強塩基を加えると、が遊離してくる。
      • 水酸化ナトリウム水溶液を加えてよく振り混ぜたのち静置すると、エーテル層と水酸化ナトリウムを含んだ水層に分離するが、水層には電離したのイオンと、のイオンが含まれていることになる。
        これでは、を分離することができない。
      • そこで、2つの酸性の基の電離度の違いに着目して、二酸化炭素の塩であるの水溶液を加えると、は電離してイオンとなり水層に移るが、は電離できずにエーテル層に残ることになる
        水層を抜き取り、塩酸など、カルボン酸より強い酸を加えると、を遊離させることができる。
      • 残ったエーテル層に改めて水酸化ナトリウムを加えると、が電離してイオンとなって水層に移る。
        水層を抜き取って、より強い酸である二酸化炭素、塩酸などを加えると、を遊離させることができる。 から、これらを分離して取り出すことができる。
      • は酸を加えても塩基を加えても電離できないから最後までエーテル層に残る。エーテルを揮発させることによって、これを取り出す。

     (1) 抽出, (2) ジエチルエーテル, (3) 水, (4) ヒドロキシル基, (5) カルボキシル基, (6) アミノ基, (7) アニリン, (8) フェノール, (9) 安息香酸, (10) 炭酸水素ナトリウム, (11) トルエン, 




  30. 有機化合物の検出法
    • アルデヒドの検出
      には「還元性」があるので、金属陽イオンを還元させることによって検出する。
      • 銀鏡反応
        アンモニア性硝酸銀を加えると、試験管の壁面に銀がし「鏡」のようになる。Ag+が還元されて銀の単体が生じたことによる。
        「アンモニア性硝酸銀」というのは、銀イオンを沈殿させないための工夫である。硝酸イオンはどんな金属イオンとも沈殿を作らない。銀イオンは塩基性水溶液で沈殿するが、過剰のアンモニアに対しては錯イオンを作って溶ける。
      • フェーリング反応
        フェーリング液を加えると、銅(II)イオンが還元され酸化銅(I)の沈殿が生じる。
        フェーリング液とは、硫酸銅(II)水溶液、酒石酸ナトリウムカリウムと水酸化ナトリウムの混合溶液
    • ヨードホルム反応
      • アルデヒド基の一方がメチル基であるもの(アセトアルデヒド)、ケトン基の一方がメチル基であるもの、
        つまり CH3-CO-R (Rは水素または炭素)の構造を持つものは、ヨウ素と水酸化ナトリウムを加えると、ヨードホルムの結晶を生じる。
      • ところが、ハロゲンであるヨウ素には力があるので、酸化されて上のような構造を持つことになる、第1級アルコールや第2級アルコールも、ヨードホルム反応を示すことになる。
      • 結局、ヨードホルム反応を示す化合物は、
        1. 端から2番目の炭素原子にヒドロキシル基が付いた、第1級または第2級アルコール、
        2. および、それらを酸化して得られるアルデヒドまたはケトン
        ということになる。代表的な物質としては、などがある。
    • フェノール類の検出:塩化鉄(III)による呈色
      • フェノール性(ベンゼン環に直結した)を持つものはすべて、塩化鉄(III)によって呈色する。
      • フェノール、クレゾール、サリチル酸、サリチル酸メチル、アセチルサリチル酸のうちで、塩化鉄(III)で呈色しないものは、だけである。
    • フェノールの検出
      臭素水を加えると、の白色沈殿を生じる。
    • アニリンの検出
      アニリンは、をスズによってしてつくる。このことからも、アニリンの窒素の酸化数が低い状態にあることがわかる。したがって、アニリンの検出には、いずれも強力な剤が用いられる。
      • さらし粉反応(赤紫色)
        さらし粉にはが含まれ、消毒、殺菌作用がある。これはの酸化力による。
      • アニリンブラック
        代表的な酸化剤であるによって酸化され、黒色を呈する。

     (1) アルデヒド, (2) ギ酸, (3) 析出, (4) 赤色, (5) 黄色, (6) 酸化, (7) エタノール, (8) 2-プロパノール, (9) アセトアルデヒド, (10) アセトン, (11) ヒドロキシル基, (12) アセチルサリチル酸, (13) 2,4,6-トリブロモフェノール, (14) ニトロベンゼン, (15) 還元, (16) 酸化, (17) 次亜塩素酸イオン, (18) ニクロム酸カリウム,