1. 【特性方程式の解の一方が1である場合】
    an+2-an+1+an=0    a1= , a2=
    an+2an+1=β(an+1an)
    an+2-(α+β)an+1+αβan=0
    α+β= , αβ=
    α,βはtに関する2次方程式、
    t2-t+=0
    の解である。
    (t-1)(t-)=0
    t=1 , t=
    (i) α=1 , β=とした場合
    an+2-an+1=(an+1-an)
    an+1-an=(a2-a1)()n-1
    an+1-an=(-)()n-1
    an+1-an=-()n-1・・・階差型
    (ii) α= , β=1とした場合
    an+2-an+1=an+1-an
            =・・・=a2-a1=-=
    an+1=an+・・・等比型
    an-γ=(an-γ)
    an=an+γ      γ=
    an-=(an-)
    an-=(a1-)()n-1
    an-=(-)()n-1
    an=()n-1+=+()n


  2. 【特性方程式が「重解」を持つ場合】
    4an+2-4an+1+an=0  ,  a1=1 , a2=

    an+2-an+1+an=0・・・(1)
    an+2an+1=β(an+1an)・・・(2)
    と変形できるとして、(1),(2)を比較すると、
    an+2-(α+β)an+1+αβan=0・・・(2')
    α+β=1  ,  αβ=となり、
    α,βはtに関する2次方程式
    t2-t+=0
    の解であることがわかる。
    (t-)2=0
    t= (重解)
    (2)は、
    an+2-an+1=(an+1-an)
    an+1-an=(a2-a1)()n-1
    an+1-an=(-・1)()n-1
    an+1-an=-()n-1


    • 等比型  an+1+pan+q=0
    • 階差型  an+1=an+f(n)
    • 「等比型」なら、右辺が定数でなければならない!
    • 「階差型」なら、anの係数が1でなければならない!
    このいずれのの問題を解決する方法も、実は同じ、両辺を、
    ()n+1
    割れば、すなわち、両辺に2n+1をかければ、よい。
    2n+1an+1-・2n+1an=-()n-1・2n+1
    (2n+1an+1)-(2nan)=-・4
    (2n+1an+1)-(2nan)=-
    ここで、2nan=cnと置き換えれば、    c1=2a1=2
    cn+1-cn=-    c1=2
    「等比型」、「階差型」、どころか、単なる、初項2、公差-等差数列になっている。
    cn=2+(n-1)(-)=-n+=-(n-4)
















  3. 【特性方程式が2個の異なる解を持ち、いずれも1でない場合】
    an+2+3an+1+2an=0    a1=1 , a2=2
    an+2an+1=β(an+1an)
    an+2-(α+β)an+1+αβan=0
    α+β=-3    αβ=2
    α,βはtに関する2次方程式
    t2+3t+2=0
    の解である。
    (t+2)(t+1)=0    t=-1,-2
    1. α=-1,β=-2とする
      an+2+an+1=-2(an+1+an)
      an+1+an=(a2+a1)(-2)n-1
      an+1+an=3・(-2)n-1・・・(1)
    2. α=-2,β=-1とする
      an+2+2an+1=-(an+1+2an)
      an+1+2an=(a2+2a1)(-1)n-1
      an+1+2an=4・(-1)n-1・・・(2)
    (2)-(1)  an=4・(-1)n-1-3・(-2)n-1

    • (1)を「等比型」に変形する
      両辺を(-2)n+1で割る

      bn=an/(-2)nとおくと、b1=-
      bn+1-bn=
      bn-γ=(bn-γ)
      bn+1-bn=γ    γ=
    bn-=(bn-)
    bn-=(--)()n-1
    bn=-2・()n-1+

    • (1)を「階差型」に変形する
      両辺を(-1)n+1で割る

      cn=an/(-1)nとおくと、c1=-1
      cn+1-cn=3・2n-1


    (2)の両辺を
    • (-1)n+1で割れば、「等比型」に、
    • (-2)n+1で割れば、「階差型」に、
    それぞれ変形できる。(省略!)
















    【分数式型】
  4.     a1=4
    と仮定すると、

    c(c+2)=4c+3
    c2-2c-3=0
    (c-3)(c+1)=0    c=-1,3
    • c=-1に対して
      型の変形を考える

      ・・・(1)

      ・・・(2)
    • c=3に対して
      型の変形を考える

      ・・・(3)

      ・・・(4)

    • (2),(4)はいずれも「等比型」であるから、それぞれ単独で解ける。
    • それ以外に(1),(3)を組み合わせて、等比数列を作る方法がある。

    「等比型」(2)を単独で解く

    「等比型」(4)を単独で解く


    (1),(3)を組み合わせて解く





  5.     a1=7
    と仮定すると、

    c(c-2)=4c-9
    c2-6c+9=0
    (c-3)2=0    c=3 (重解)
    「重解」であるから方法は一つしかない。
    c=3に対して
    型の変形を考える


    これは置き換えれば「等差数列」だ!













    【行列の「対角化」によるn乗の計算(数学C)】
  6. 次の式で定義される2次の正方行列Aについて、そのn乗を次に手順によって求めよ。

    1. 零ベクトルではない列ベクトル(x,y)に対して、
      をみたす定数kは2個存在する。これらを求めよ。
    2. 上の2個のkをそれぞれk1 , k2とするとき、
        ,  
      をみたす列ベクトル(x1,y1) , (x2,y2)をそれぞれ一つずつ求めよ。
    3.  , とするとき、AP=PBを示せ。
    4. Bnを推定し、これを数学的帰納法によって証明せよ。
    5. Anを求めよ。




    1. この連立1次方程式(定数項がないから「連立1次斉次方程式」という)が、
      (x,y)=(0,0)
      という「当たり前の解」(「自明解」という)以外に解を持つならば、
      行列(A-kE)は、逆行列を持たない
      【証明・背理法】
      (x,y)=(0,0)以外に解を持ち、かつ、
      行列(A-kE)が、逆行列(A-kE)-1を持つと仮定する。
      両辺に左からこれをかけると、

      (x,y)=(0,0)
      となり、仮定に反する。
      (-k)2-()2=0
      k2-k+=0
      この式は、行列Aに対して「ハミルトン・ケーリーの定理」を適用した式
      A2-A+E=0
      と、係数の並びが同じである。これをAの「固有方程式」と呼ぶ。
      (k-1)(k-)=0     k=1,(これを行列Aの「固有値」と呼ぶ)


    2. これを固有値1に対応する「固有ベクトル」と呼ぶ。
      このようなベクトルは無数に存在するが、もっとも簡単な整数比のものを選んだ。


    3. すなわち、

      AP=PB

    4. と推定される。
      • n=1のとき成立する。・・・(1)
      • n=mのとき成立すると仮定する。すなわち、

        両辺に右からBをかけると、

        となり、n=m+1のときも成立することが示された。・・・(2)
      • (1)(2)より、任意の自然数nに対して、

        が成立する。

    5. (「固有方程式」が、重解でない限り二つの「固有ベクトル」は1次独立である。
      従って、それらを並べた行列Pは、かならず、逆行列を持つ。)
      iiiより
      AP=PB
      Pは逆行列P-1をもつから、これを両辺に右からかけて、
      APP-1=PBP-1
      A=PBP-1
      An=(PBP-1)n=PBP-1PBP-1・・・PBP-1=PBnP-1