原点を通らない不動直線が生じるのはどんなときか?
すなわち
をみたす
k
(固有値)は、
k
2
-(
a
+
d
)
k
+(
a
d
-
b
c
)=0 (固有方程式)
の解である。実数解
k
1
,
k
2
をもつとき、
原点を通り、方向ベクトルを(
x
1
,
y
1
),(
x
2
,
y
2
)とする直線は、不動直線である。
固有値の一方が、
k
1
=1であるとき
2本の不動直線のうち、原点を通り、方向ベクトルを(
x
1
,
y
1
)とする直線は、「不動直線」であると同時に、その直線上の点が移動しない、「不動点の集合」でもある。
このとき、1次変換の線形性より、
これは、点(
p
x
1
,
p
y
1
))を通り、方向ベクトルを(
x
2
,
y
2
)とする直線が、不動直線であることを示している。
まとめると、原点を通らない不動直線が生じるのは、
固有方程式が2つの異なる実数解をもち、
その一方が1であるとき、
1以外の固有値に対応する固有ベクトルを方向ベクトルとする直線は、原点を通らなくても、不動直線となる。
例題
次の行列が表す1次変換によって、移動しない直線をすべて求めよ。
解答(初心者向き)
y
軸に平行な直線
x
=
l
が求める直線であるとする。
y
は任意
4
l
+2
y
=
l
l
+3
y
=
y
'
任意の
y
に対してこれをみたす
l
は存在しない。
y
=
m
x
+
n
が求める直線であるとする。
x
は任意
x
+3(
m
x
+
n
)=
m
{4
x
+2(
m
x
+
n
)}+
n
{1+3
m
-4
m
-2
m
2
)}
x
+3
n
-2
m
n
-
n
=0
-(2
m
2
+
m
-1)
x
-2
n
(
m
-1)=0
-(2
m
-1)(
m
+1)
x
-2
n
(
m
-1)=0
これが、任意の
x
に対して成立するから、
(2
m
-1)(
m
+1)=0
かつ、
n
(
m
-1)=0
したがって、(
m
,
n
)=(
,0),(-1,0)
以上から、求める直線は、
y
=
x
,
y
=-
x
y
軸に平行な直線
x
=
l
が求める直線であるとする。
y
は任意
4
l
+3
y
=
l
l
+2
y
=
y
'
任意の
y
に対してこれをみたす
l
は存在しない。
y
=
m
x
+
n
が求める直線であるとする。
x
は任意
x
+2(
m
x
+
n
)=
m
{4
x
+3(
m
x
+
n
)}+
n
{1+2
m
-4
m
-3
m
2
)}
x
+2
n
-3
m
n
-
n
=0
-(3
m
2
+2
m
-1)
x
-
n
(3
m
-1)=0
-(3
m
-1)(
m
+1)
x
-
n
(3
m
-1)=0
-(3
m
-1){(
m
+1)
x
+
n
}=0
これが、任意の
x
に対して成立するから、
3
m
-1=0のとき、
n
は任意
または、
m
+1=0かつ、
n
=0
以上から、求める直線は、
y
=
x
+
n
(
n
は任意)
y
=-
x
y
軸に平行な直線
x
=
l
が求める直線であるとする。
y
は任意
2
l
=
l
l
+
y
=
y
'
任意の
y
に対してこれをみたす
l
は
l
=0 である。
y
=
m
x
+
n
が求める直線であるとする。
x
は任意
x
+(
m
x
+
n
)=
m
(2
x
)+
n
(1+
m
-2
m
)
x
=0
-(
m
-1)
x
=0
これが、任意の
x
に対して成立するから、
m
=1 ,
n
は任意
以上から、求める直線は、
x
=0
y
=
x
+
n
(
n
は任意)
解答(上級者?向き)
求める直線を
a
x
+
b
y
+
c
=0とする。
とおくと、
A
は逆行列をもたない。
【背理法】
A
-1
が存在すると仮定、両辺左からこれをかけると、
となり、任意の(
x
,
y
)に対して成立することに反する。よって、
A
-1
は存在しない。
b
=-2
a
0のとき
これらを同時にみたすのは、
x
-2
y
=0かつ、
c
=0
b
=
a
0のとき
これらを同時にみたすのは、
x
+
y
=0かつ、
c
=0
以上から、求める直線は、
x
-2
y
=0 ,
x
+
y
=0
求める直線を
a
x
+
b
y
+
c
=0とする。
同様に、
b
=-3
a
0のとき
したがって、
x
-3
y
+
m
=0 (
m
は任意) は、求める直線である
b
=
a
0のとき
これらを同時にみたすのは、
x
+
y
=0かつ、
c
=0
以上から、求める直線は、
x
-3
y
+
m
=0 (
m
は任意) ,
x
+
y
=0
求める直線を
a
x
+
b
y
+
c
=0とする。
同様に、
b
=0のとき
これらを同時にみたすのは、
x
=0かつ、
c
=0
b
=-
a
0のとき
したがって、
x
-
y
+
m
=0 (
m
は任意) は、求める直線である
以上から、求める直線は、
x
-
y
+
m
=0 (
m
は任意) ,
x
=0