原点を通らない不動直線が生じるのはどんなときか?


例題
    次の行列が表す1次変換によって、移動しない直線をすべて求めよ。

解答(初心者向き)
    • y軸に平行な直線x=lが求める直線であるとする。
          yは任意
      4l+2y=l
      l+3y=y'
      任意のyに対してこれをみたすlは存在しない。
    • y=mx+nが求める直線であるとする。
          xは任意
      x+3(mx+n)=m{4x+2(mx+n)}+n
      {1+3m-4m-2m2)}x+3n-2mn-n=0
      -(2m2+m-1)x-2n(m-1)=0
      -(2m-1)(m+1)x-2n(m-1)=0
      これが、任意のxに対して成立するから、
      (2m-1)(m+1)=0
      かつ、
      n(m-1)=0
      したがって、(m,n)=(,0),(-1,0)
    • 以上から、求める直線は、
      y=x  ,  y=-x











    • y軸に平行な直線x=lが求める直線であるとする。
          yは任意
      4l+3y=l
      l+2y=y'
      任意のyに対してこれをみたすlは存在しない。
    • y=mx+nが求める直線であるとする。
          xは任意
      x+2(mx+n)=m{4x+3(mx+n)}+n
      {1+2m-4m-3m2)}x+2n-3mn-n=0
      -(3m2+2m-1)x-n(3m-1)=0
      -(3m-1)(m+1)x-n(3m-1)=0
      -(3m-1){(m+1)x+n}=0
      これが、任意のxに対して成立するから、
      • 3m-1=0のとき、nは任意
        または、
      • m+1=0かつ、n=0
    • 以上から、求める直線は、
      y=x+n    (nは任意)
      y=-x
    • y軸に平行な直線x=lが求める直線であるとする。
          yは任意
      2l=l
      l+y=y'
      任意のyに対してこれをみたすlは  l=0  である。
    • y=mx+nが求める直線であるとする。
          xは任意
      x+(mx+n)=m(2x)+n
      (1+m-2m)x=0
      -(m-1)x=0
      これが、任意のxに対して成立するから、
      m=1  ,  nは任意
    • 以上から、求める直線は、
      x=0
      y=x+n    (nは任意)










解答(上級者?向き)
  1. 求める直線をax+by+c=0とする。

        とおくと、Aは逆行列をもたない。
    【背理法】A-1が存在すると仮定、両辺左からこれをかけると、

    となり、任意の(x,y)に対して成立することに反する。よって、A-1は存在しない。
    • b=-2a0のとき

      これらを同時にみたすのは、x-2y=0かつ、c=0
    • b=a0のとき

      これらを同時にみたすのは、x+y=0かつ、c=0
    以上から、求める直線は、x-2y=0  ,  x+y=0
  2. 求める直線をax+by+c=0とする。

    同様に、
    • b=-3a0のとき

      したがって、x-3y+m=0  (mは任意)  は、求める直線である
    • b=a0のとき

      これらを同時にみたすのは、x+y=0かつ、c=0
    以上から、求める直線は、x-3y+m=0  (mは任意)  ,  x+y=0
  3. 求める直線をax+by+c=0とする。

    同様に、
    • b=0のとき

      これらを同時にみたすのは、x=0かつ、c=0
    • b=-a0のとき

      したがって、x-y+m=0  (mは任意)  は、求める直線である
    以上から、求める直線は、x-y+m=0  (mは任意)  ,  x=0