「A」であることが、「B」であるための、「必要条件」であるか?、「十分条件」であるか?
ということは、
「B」であることを立証する
ため
に、「A」であることを主張した。
この主張
だけ
で、
十分
だろうか?
でも、一方、
そこまで
主張する
必要
があるだろうか?
この主張は、あっても(反対のことを立証してしまうわけではないから)邪魔にはならない、という意味で
必要
だが、
それだけでは
足りず(
十分
ではなく)、他の証拠を補わなければならないのではないか?
という判断である。
もっと簡単に(!)言えば、
問:あなた、「B」ですか?
答:はい、私、「A」です。
という
食い違った
問答から、
質問者
が、
十分
な情報を引き出せるが、そんなことまではきいてない(!)、のか?
必要
ではあるが、それだけでは足りず、さらに問を付け加えなければならないか?
「条件関係」が成立する前提として、二つの集合の間に、「包含関係」が成立していなければならない。
ところが、これは、そんなに
普通のこと
では、ない!
「あなたは『A』ですか?、『B』ですか?」という
2つの問い
によって、「世界」は、必ず、
4つの部分
に切り分けられる。
すなわち、
「『A』であるが、『B』でない」・・・
「『A』でないが、『B』である」・・・
「『A』であり、 『B』である」・・・
「『A』でなく、 『B』でない」・・・
これが、
普通
、最もありそうな、事態である。
普通
の事態
この4つの部分のどれかが、
なくなった
とき、初めて「包含関係」が発生する。
「『A』であるが、『B』でない」がなくなった・・・
=
φ
「『A』でないが、『B』である」がなくなった・・・
=
φ
「『A』であり、 『B』である」がなくなった・・・
=
φ
「『A』でなく、 『B』でない」がなくなった・・・
=
φ
iiでは、「『A』が『B』に
包含
されている」
iiiでは、「『B』が『A』に
包含
されている」
ivでは、
「『A』が『Bの否定』に
包含
されている」
「『B』が『Aの否定』に
包含
されている」
vでは、
「『Aの否定』が『B』に
包含
されている」
「『Bの否定』が『A』に
包含
されている」
「包含関係」が成立しているとき、初めて「条件関係」を読み取ることができる。
iiの場合
「A」である
こと
は、「B」である
ため
の、
十分条件
であるが、
必要条件
ではない。
「B」である
こと
は、「A」である
ため
の、
必要条件
であるが、
十分条件
ではない。
世の中に
普通に
起こることは、通常こうはいかない。
A:ある薬を投与した
B:ある病気の症状が治癒した
としよう。
多数のサンプルの中には、
必ず
「例外」が発生し、
「『A』であるが、『B』でない」・・・
薬を飲んだが治らない人、
「『A』でないが、『B』である」・・・
薬を飲でないのに治った人、
「『A』であり、 『B』である」・・・
薬を飲んだら治った人、
「『A』でなく、 『B』でない」・・・
薬を飲まず治りもしない人、
の4例が出揃うのである。
それでも「この薬は効く」、「投薬と治癒の間に
因果関係
がある」、と主張するためには、
まず I が、できれば、 II も、「それは例外だから
無視できる
!」と言えなければならない。
そのような作業が、「統計的な検定」、「疫学的な証明」、などと呼ばれる事柄になる。
だから、「必要条件/十分条件」の「たとえ話」になりそうなものは、
普通の
世の中には転がっておらず、
言葉の論理的な定義が求められる「法律の世界」を探さなければならなくなる。
乗客の運搬を業として行うには、一般の運転免許(普通免許、第一種免許)に
加えて
、第二種免許を取得していることを要する。
第二種免許を取得するには、
第一種免許取得より三年が経過し、かつ、
試験に合格することを
要する。
ここには「包含関係」が成立している。
第二種免許を取得している人は、
かならず
、すでに第一種免許を取得しているからだ。
場面(1)
第二種免許を持っている
あなた
が、貨物運送業「黒猫・急便」の運転手募集に応募した。
面接担当者:「あなた、免許持ってますよね?」
あなた:「はい!、二種、持ってます!」
これは、A:第二種免許所持者、B:第一種免許所持者、に対して、
問:あなた、「B」ですか?
答:はい、私、「A」です。
の形になっている。
担当者はこの答から、
十分
な情報を引き出すことができたが、二種を持っているかどうかなどは、知る
必要はなかった
のだ。
場面(2)
第一種免許しか持っていない
あなた
が、タクシー運転手募集に応募した。
面接担当者:「あなた、二種持ってます?」
あなた:「ああ、免許なら、持ってますよ!」
これは、A:第一種免許所持者、B:第二種免許所持者、に対して、
問:あなた、「B」ですか?
答:はい、私、「A」です。
の形になっている。
担当者はさらに問を重ねなければ、
十分
な情報を引き出すことができ
ない
。しかし、一種すらもっていないという答であればすぐにお引取り願うところ、面接を続けるには
必要
な情報だったのである。