- xのn次多項式f(x)を考える。これを順次、n回微分することで、各項の係数anを決定することが出来る。
   
 すなわち、
   
 であるから、
   
 ということは、ある関数が、無限回微分可能であるとき、これを、n次多項式で「近似」出来ることがわかる。上のnはどこまでも引き延ばすことが出来るから、どこか「途中でやめた」とすれば、それは、「本当の値」とは、少しだけずれてしまうことになるからだ。こういうのを「テーラー級数展開」、または「マクローリン級数展開」による近似と呼ぶ。
 
 
- f(x)=exについて、マクローリン級数展開をほどこすと、
   
 
 であるから、第n項(k=0,1,2,・・・n-1)までをとると、
   
 
 となる。

したがって、この問題で、fn(x)と呼ばれているのは、無限級数でしか表せないはずの、exを有限項、第n項までの多項式で「近似」した際の、「誤差」を表している。微分積分学では、これを「ラグランジュの剰余項」と呼んでいる!
 
上式の二つめの{}が、その姿を表している。その部分を取り出して、次のように変形してみると、
 
ここで、
 
であるから、
 
右辺は、無限項まで続く限り(!)、exに等しいから、
 
が得られる。一方、左辺は、x 0に対して、正または0である。
0に対して、正または0である。
さらに、上式にx=1を代入してみると、これは自然対数の底(ネイピア数)の近似式であって、
 
これを第n項までで止めたときの、「誤差」が、fn(1)なのであるから、nを無限にすれば0に収束するのは、それは「理の当然」なのであった。
ちなみに「ネイピア数」の級数展開による近似値は、こんな感じで、とても収束が速く、第8項くらいで十分に使い物になる値である。
 
この問題は、このようにして(笑)作成された。でも、高校生が、こんな答案を書くわけにはいかないから、何も知らない振りをして、「数学的帰納法」などを用いて、解くことになる。
。

- [1]
  ・・・(*) ・・・(*)
 
 であることを示したい。
- n=1のとき
 
   
 
 成立する。
- n=kのとき、(*)が成立すると仮定する、すなわち、
 
   
 
 と仮定する。
 
   
 
 となり、n=k+1のときも成立する。
 i,iiより、n=1,2,3,・・・に対して、(*)が成立する。
 
- [2]
 まず、
  ・・・(1) ・・・(1)
 である。
 
 (ア)  x 0に対して、fn(x) 0に対して、fn(x) 0      (n=1,2,3,・・・)を示したい。 0      (n=1,2,3,・・・)を示したい。
- n=1のとき、f1(x)=ex-1  であるから、
 x 0に対して、ex-1 0に対して、ex-1 0 0
 成立する。
- n=kのとき、x 0に対して、fk(x) 0に対して、fk(x) 0  と仮定する。 0  と仮定する。
  ・・・(2) ・・・(2)
 (1)式と、仮定より、、
  ・・・(3) ・・・(3)
 (2)(3)式より、
 x 0に対して、fk+1(x) 0に対して、fk+1(x) 0 0
 となり、n=k+1のときも成立する。
 i,iiより、x 0に対して、fn(x) 0に対して、fn(x) 0    (n=1,2,3,・・・)  が成立する。 0    (n=1,2,3,・・・)  が成立する。
 (イ)  x 0に対して、 0に対して、 (n=1,2,3,・・・)を示したい。 (n=1,2,3,・・・)を示したい。
  とおく。 とおく。
- n=1のとき
   
- n=kのとき
   
 と仮定する。
   
 であるから、
  ・・・(4) ・・・(4)
 また、
   
 であるから、仮定より、  x 0に対して、 0に対して、
  ・・・(5) ・・・(5)
 
 (4)(5)式より、
 x 0に対して、gk+1(x) 0に対して、gk+1(x) 0 0
 となり、n=k+1のときも成立する。
 
 i,iiより、  x 0に対して、 0に対して、 (n=1,2,3,・・・)が成立する。 (n=1,2,3,・・・)が成立する。
 
- [3]
 [2]より、
   
 であるから、
   
 ここで、
   
 であるから、「はさみうちの原理」より、
 