- m,kを正の整数とするとき、mとm+kの公約数はkの約数であることを示せ。
- 次の条件a,bをともに満たす正の整数Nをすべて求めよ。
- Nは正の奇数nを用いてN=n(n+1)(n+2)(n+3)と表すことができる。
- Nの正の約数のうち素数であるものは3個である。
-
- mとm+kが1以外の公約数をもたない、すなわち、「互いに素」である場合
mとm+kの公約数1は当然、kの約数である。
- mとm+kが1以外に少なくとも一つの公約数をもつ、すなわち、「互いに素」でない場合
1以外の公約数の一つをlとすると
m=la , m+k=lb
なる、互いに異なる正整数a,bが存在する。
k=l(b-a)
kはlを因数にもつ。
lはkの約数である。
以上、示された。
-
- bの条件から考える。
「正の約数のうち素数であるものが3個」とは、Nの素因数が3個であることを意味する。
[証明]
Nがm個の素因数をもつとき、
N=p1l1・p2l2・p3l3・・・pmlm
Nの正の約数は、
N=p1k1・p2k2・p3k3・・・pmkm
(kj=0,1,2,・・・,lj)
とかけるから、正の約数のうち素数であるものの個数は、k1,k2,k3,・・・,kmのうち一つのみが1で、他はすべて0である場合の数に等しいから、mである。
よって、Nの正の約数のうち素数であるものの個数は、Nの素因数の個数に等しい。
4つの連続する自然数には、偶数が2個、3の倍数が1個または2個、含まれる。したがって4連続自然数の積である、Nは、少なくとも2と3を素因数にもつ。
したがって、2と3以外に許される素因数は、1個であることがわかった。
- aの条件について、「1」で示された事柄を用いて、検討する。
- 隣接する整数の差は1であるから、それらは1以外の公約数をもち得ない。
すなわち、nとn+1、n+1とn+2、n+2とn+3、はそれぞれ「互いに素」である。
- 差が2である正の整数間には、2の約数、すなわち1または2を公約数にもつ可能性がある。
nは奇数だから、nとn+2は、1以外に公約数をもちえず、「互いに素」である。
n+1とn+3は、ともに偶数であるから、2を公約数にもつ。
- nとn+3は、3の約数、すなわち1または3を公約数にもつ可能性がある。
nが3の倍数なら、両者はともに3の倍数であり、nが3の倍数でなければ、両者は「互いに素」である。
まとめると、4数から2数を選ぶ場合の数、4C2=6通りの「二者関係」のうち、
- nとn+1、n+1とn+2、n+2とn+3、および、nとn+2、の4組は「互いに素」である。
- n+1とn+3は、2を公約数にもつ。
- nとn+3は、
- nが3の倍数であれば、、3を公約数にもち、
- nが3の倍数でなければ、「互いに素」である。
- 3の倍数の居場所を確定することから始めよう。
(新たな素因数の発生の可能性を小さくしたいから、4数のうちに3の倍数が2個含まれているほうが望ましく思えるから、その期待をこめて、「消去法」的に、)
- n+1が3の倍数であるとする。この数は、その両隣n,n+2のいずれとも互いに素だから、n,n+2はいずれも3の倍数ではありえず、
かつ、両者は奇数であるから、2を因数にもつこともない。
ということは、1以外の因数をまったくもたないか、あるいは2でも3でもない新たな素因数をもつことになる。
1以外の因数をまったくもたない数は1しかありえず、n+2が1であることはありえず、ではnが1ならば、1×2×3×4=2331となり、今度は素因数が2つしかない。
よって、n,n+2は、2,3以外に素因数をもち、なおかつ、両者が「互いに素」であることから、n,n+2は、2,3以外の、互いに異なる素因数を、それぞれもつことになる。
4個以上の素因数が生じてしまうから、これは条件を満たすことが出来ない。
- n+2が3の倍数であるとする。この数は、その両隣n+1,n+3のいずれとも互いに素だから、n+1,n+3はいずれも3の倍数ではありえず、
かつ、両者は偶数であるから、2は因数にもつ。
ということは、2以外の因数をまったくもたないか、あるいは2以外に、2でも3でもない新たな素因数をもつことになる。
2以外の因数をまったくもたない数は、2の累乗であるが、隣接する偶数がともに2の累乗であるのは、2と4の場合のみである。
([証明] 2k+2=2k+1ならば、2k=2、すなわちk=1)
n+1=2,n+3=4なら、n=1であり、これが該当しないことはすでに見た。
したがって、n+1,n+3のうち少なくとも一方は2の累乗ではなく、2以外に、2でも3でもない新たな素因数をもつことになる。
一方、n+2とnも互いに素であるから、奇数nは3を因数にもたず、またしてもn=1ではないから、nは、2でも3でもない新たな素因数をもつことになる。
そして、今度は、nとn+1は「互いに素」、nとn+3も、両者が3の倍数でない限り「互いに素」であるから、
ここに現れた、2でも3でもない新たな素因数は、互いに異なるものであることになる。
やはり、4個以上の素因数が生じてしまうから、これは条件を満たすことが出来ない。
こうして、nおよびn+3が、ともに3の倍数であることがわかった。
- 2でも3でもない新たな素因数を含む数は、n+2でなければならないことがわかる。
この数は、奇数であり3の倍数でもない、そしてもちろん1でもないからだ。なおかつ、5以上の素数の倍数が、4連続自然数の中に2回以上現れることは決してないから、新たな素因数を因数にもつ数はn+2のみであることもわかる。
- さて、こうして、
- nは、3以外に素因数をもたないから、n=3aとかける。
- n+1は、2以外に素因数をもたないから、n+1=2bとかける。
- n+3は、2と3のみを素因数にもつから、n+3=2c3dとかける。
- ところが、nとn+3は、1以外には3「しか」公約数をもたないのだから、つまり3の累乗を公約数にもつことはないのだから、a、dのうち少なくとも一方は1、
また、n+1とn+3は、1以外には2「しか」公約数をもたないのだから、つまり2の累乗を公約数にもつことはないのだから、b、cのうち少なくとも一方は1、
a=1なら、n=3、n+1=4、すなわちb=1、n+2=5、で、n+3=6、すなわち、c=1、d=1で条件を満たす。
b=1なら、n+1=2、すなわちn=1で、これは何度も見たように条件を満たさない。したがってc=1である。
- こうして、n+3=2×3=6すなわち、n=3、このような条件を満たす数Nは、N=3×4×5×6=360、と、ただ一つしかありえないことがわかってしまった!