2次の正方行列
A
に対して、その「主対角線」を中心に、それ以外の要素をすっかり入れ替えた行列を
A
の「転置行列」と呼び、
t
A
と書く。
すなわち、
に対して、
単位行列
E
に対して、
t
A
A
=
E
となる行列を、互いに「直交行列」と呼ぶ。すなわち、
これを満たす
a
,
b
,
c
,
d
を求めたい。
a
2
+
c
2
=1
b
2
+
d
2
=1
a
b
+
c
d
=0
i より、
a
=cos
θ
,
c
=sin
θ
とおくことができる。
iii より、
b
cos
θ
+
d
sin
θ
=0 すなわち、
ii より、sin(
θ
+
α
)=0 すなわち、
θ
+
α
=
n
π
(ただし、
n
は整数)
したがって、
b
=sin
α
=sin(
n
π
-
θ
) ,
d
=cos
α
=cos(
n
π
-
θ
)
n
が奇数のとき
b
=sin
θ
,
d
=-cos
θ
n
が偶数のとき
b
=-sin
θ
,
d
=cos
θ
よって、求める「直交行列」は、次の2種であることがわかった。
または、
ここで、
t
A
A
=
E
であるから、その「行列式」について、
|
t
A
A
|=|
E
|
すなわち、
|
t
A
||
A
|=|
E
|
明らかに、|
t
A
|=|
A
|、また、|
E
|=1であるから、
|
A
|
2
=1
|
A
|
2
-1=0
(|
A
|-1)(|
A
|-1)=0
|
A
|=
1
ところで、
|
t
A
A
|=|
E
|
すなわち、
この変形は、「シュヴァルツの不等式」の証明と同じである。
上の、
について、|
A
|=-1、
について、|
A
|=1、
である。
|
A
|=1のとき、すなわち、
は、原点回りの(反時計回り)
θ
回転の1次変換を表す行列
である。
では、
|
A
|=-1のとき、すなわち、
は、どのような1次変換を表しているのだろうか?
であり、これは、
x
軸に関する対称変換、
原点回り
θ
回転を、
引き続き行う合成変換であることがわかる。
Pと
x
軸のなす角を
φ
とする。Pを
x
軸に関して対称移動した点をP'とすると、
P'を原点回りに
θ
回転した点Qは、
となるから、
この合成変換は、直線
に関する対称変換を表している。
直交行列について、次のことが言える。
直交行列による1次変換は、ベクトルのなす角を保存する。
直交行列による1次変換は、図形の形を変えない(合同変換)。
直交変換と拡大変換の合成
に対して、
直線
に関する対称変換と、
r
倍拡大
原点回り
θ
回転と、
r
倍拡大
原点回り-
θ
回転と、
r
倍拡大