「外積」を用いて、平面の法ベクトルを求める

=(x1,y1,z1)
=(x1,y1,z1)

x,y,z方向の単位ベクトルをそれぞれ、

i=(1,0,0)     j=(0,1,0)     k=(0,0,1)    

とする(ただし、「イタリック(斜体)肉づき文字」i,j,kはベクトルであることを表す)と、

=x1i+y1j+z1k
=x2i+y2j+z2k


ベクトルの「外積(ベクトル積)」は
a×b=|a||b|sinθn
ただし、nは、次にように定義される。
abに重なるように、同一平面内で最短距離で、つまりπ以下の角度で、回転させたとき、
これを「右ねじ」に見立てると、それが進む方向の単位ベクトル。
θa,bのなす角のうち、小さい方、すなわち、π以下の角度。


そうすると、sin0=0,sinπ=1であるから、x,y,zのうちの二つのベクトルの間の「外積」は次のようになる。

i×i=0   j×j=0   k×k=0
i×j=k   j×k=i   k×i=j
i×k=-j   k×j=-i   j×i=-k

「外積(ベクトル積)」には「交換法則」は成り立たないが、「分配法則」は成り立つから、

×=(x1i+y1j+z1k)×(x2i+y2j+z2k)

         =x1x2i×i +x1y2i×j +x1z2i×k
         +y1x2j×i +y1y2j×j +y1z2j×k
         +z1x2k×i +z1y2k×j +z1z2k×k

         =x1x20 +x1y2k -x1z2j
         -y1x2k +y1y20 +y1z2i
         +z1x2j -z1y2i +z1z20

         =x1y2k -x1z2j -y1x2k +y1z2i +z1x2j -z1y2i

         =(y1z2-z1y2)i+(z1x2-x1z2)j+(x1y2-y1x2)k
         =(y1z2-z1y2 , z1x2-x1z2 , x1y2-y1x2)

このベクトルは、「同一直線上にない3点O,P,Qを含む平面の法線ベクトル(法ベクトル)のうちの一つ」、を表すことになる。



これを、「外積」という概念を用いずに考えると、
同一直線上にない3点O,P,Qを含む平面の法線ベクトル(法ベクトル)をn=(a,b,c)とすると、
平面αの法線とは、α上の任意の直線と垂直であるような直線、のことであるから、
その平面に含まれる2個の「1次独立」、すなわち、
  1. いずれもゼロベクトルでなく、
  2. たがいに他の定数倍で表現できない
ベクトル、この場合では、,のいずれとも垂直であればよい。

すなわち、

n=0
n=0

ax1+by1+cz1=0
ax2+by2+cz2=0

nはゼロベクトルでないから、a,b,cいずれもが0ということはないので、仮にcが0でないとする。
両辺をcで割ることによって、変数の数を減らすためである。

x1+y1+z1=0
x2+y2+z2=0

ここで、 =s ,  =t とおけば、

x1s+y1t+z1=0
x2s+y2t+z2=0

x1s+y1t=-z1
x2s+y2t=-z2

行列を用いて表すと、

x1 y1 s = -z1
x2 y2 t -z2


は「1次独立」であるから、通・常・、
(x1,y1)と(x2,y2)も「1次独立」であろうから、

左辺の係数行列Aは、逆行列A-1をもつことにする。
(2次の正方行列が「逆行列」をもつ必要十分条件は、とは、
その2個の「列ベクトル」、あるいは2個の「行ベクトル」同士が「1次独立」であることである。)

1 y2 -y1 -z1 = s
x1y2-y1x2 -x2 x1 -z2 t


よって、
s= =(y1z2-z1y2)/(x1y2-y1x2)
t= =(z1x2-x1z2)/(x1y2-y1x2)

法ベクトルの大きさは任意であるから、n=(a,b,c)として、次の解を選んでもよい。

n=(a,b,c)=(y1z2-z1y2 , z1x2-x1z2 , x1y2-y1x2)




他の「外積」の応用場面として、「頂点の座標から、三角形の面積を求める方法」。

まず、「外積」を用いずに考えると、

三角形の面積
△ABCの面積をS、∠BAC=θとすると、
S=AB・ACsinθ
ここで、0<θ<πだから、sinθ>0
sinθ=
内積の定義から、
=||||cosθ
したがって、
S=||||sinθ=||||
=


xy平面上の三角形を考え、

=(x1,y1,0)
=(x2,y2,0)

とすると、

||2||2-()2 =(x12+y12)(x22+y22) -(x1x2+y1y2)2
=(x12x22+x12y22 +x22y12+y12y22) -(x12x22+2x1x2y1y2 +y12y22)
=x12y22-2x1x2y1y2 +x22y12
=(x12y2-x22y1)2

したがって、

S=|x12y2-x22y1|

ところで、「外積」a×b=|a||b|sinθ・nであるから、そのベクトルa×bの大きさ|a×b|は、

|a×b|=|a||b|sinθ

であり、これは、ベクトルa,bを隣り合う2辺とする平行四辺形の面積、すなわち、 ベクトルa,bを隣り合う2辺とする三角形の面積の2倍、である。

したがって、上の例では、

S=|×|

ここで、

× =(y1・0-0・y2 , ・0x2-x1・0 , x1y2-y1x2) =(0 , 0 , x1y2-y1x2)

であるから、

S=|x12y2-x22y1|

となる。