数理統計学の教科書をぱらぱらと見ていたら、完全順列の個数の求め方が、こともなげ(笑)に出ていた。もっとも、これは証明にはなっていなくて、帰納的な類推に過ぎず、では、そのあとを数学的帰納法で証明すればよいではないか?、とやりはじめて見たが、頓挫した(笑)。「類推」の場面まで、紹介する。
「1」から「n」までの自然数が書かれたカードを左から順に並べていく。左から順に第1位、第2位、・・・、という具合に名付けることにする。
第k位までのカードの数字が、kに一致しているような並べ方の方法全体の集合をAkと称する。
- A1・・・第1位の数字が一致している並べ方。第1位以外の数字に関しては、一致しようがしまいが、関心はない。
第1位に「1」を配し、他はどうでもよいから、その個数、n(A1)=(n-1)!
- A1C・・・その補集合。全体集合Uの要素の個数はn(U)=n!だから、
n(A1C)=n(U)-n(A1)=n!-(n-1)! ・・・ (ア)
- 同様に、n(A2)=(n-1)! , n(A3)=(n-1)!
- 次に、A1∩A2は?・・・第1位および第2位が一致、他はどうでもいいから、n(A1∩A2)=(n-2)!
- 同様に、n(A1∩A3)=(n-2)! , n(A2∩A3)=(n-2)!
- では、A1C∩A2Cは?・・・「ド・モルガンの法則」より、A1C∩A2C=(A1∪A2)C
n(A1C∩A2C)=n((A1∪A2)C)=n(U)-n(A1∪A2)=n(U)-{n(A1)+n(A2)-n(A1∩A2)}
すなわち、
n(A1C∩A2C)=n!-{(n-1)!+(n-1)!-(n-2)!}=n!-2(n-1)!+(n-2)! ・・・ (イ)
- では、A1C∩A2C∩A3Cは?・・・「ド・モルガンの法則」より、A1C∩A2C∩A3C=(A1∪A2∪A3)C
n(A1C∩A2C∩A3C)=n((A1∪A2∪A3)C)=n(U)-n(A1∪A2∪A3)
=n(U)-{n(A1)+n(A2)+n(A3)-n(A1∩A2)-n(A1∩A3)-n(A2∩A3)+n(A1∩A2∩A3)}
すなわち、
n(A1C∩A2C∩A3C)=n!-{(n-1)!+(n-1)!+(n-1)!-(n-2)!-(n-2)!-(n-2)!+(n-3)!}
=n!-3(n-1)!+3(n-2)!-(n-3)! ・・・ (ウ)
- (ア)(イ)(ウ)3式の係数を見て気づくのは、二項係数、(x-1)nの展開式の係数であることだ。
そこで、こう類推する。
であったから、