「合同式congruence_equation」の研究
    • (1)24≡4  (mod  5)、[定理3iv]より、2450≡450  (mod  5)
      450=1625、16≡1  (mod  5)、同様に、1625≡125  (mod  5)
      よって、2450≡1  (mod  5)
    • (2)3100520=9502510
      9≡1  (mod  8)、25≡1  (mod  8)だから、
      [定理3iv]より、950≡1  (mod  8)、2510≡1  (mod  8)
      [定理3iii]より、9502510≡1  (mod  8)
      すなわち、3100520≡1  (mod  8)
    • (3)51381を10で割った余りを求めればよい。
      513≡3  (mod  10)、[定理3iv]より、51381≡381  (mod  10)
      381=34×20+1=8120×3
      81≡1  (mod  10)、[定理3iv]より、8120≡1  (mod  10)
      [定理3iii]より、8120×3≡1×3  (mod  10)
      よって、51381≡3  (mod  10)
    • (4)9300を100で割った余りを求めればよい。
      二項定理より、
      右辺のk=0からk=298に対応する項はすべて100で割り切れるから、
      9300300C299101(-1)299+300C300100(-1)300≡300・10・(-1)+1≡1  (mod  100)
      よって、9300≡1  (mod  100)
    • (1)n≡2  (mod  7)だから、
      [定理3iv]より、n2≡22≡4  (mod  7)
      [定理3iii]より、3n≡3・2≡6  (mod  7)
      [定理3i,ii]より、n2+3n-1≡4+6-1≡9≡2  (mod  7)
    • (2)n≡11  (mod  13)だから、
      [定理3iv、系1]より、n2≡112≡121≡13×9+4≡4  (mod  13)
      [定理3iii、系1]より、12n2≡12×4≡48≡13×3+9≡9  (mod  13)
      [定理3iii、系1]より、2n≡2×11≡22≡13×1+9≡9  (mod  13)
      [定理3i,ii、系1]より、12n2-2n+25≡9-9+25≡25≡13×1+12≡12  (mod  13)
    • (1)2・3n+52n-1≡0  (mod  11)を示したい。
      52n-1=52(n-1)+1=5・25n-1
      25≡3  (mod  11)、[定理3iii,iv]より、5・25n-1≡5・3n-1  (mod  11)
      [定理3i]より、
      2・3n+5・25n-1≡2・3n+5・3n-1≡6・3n-1+5・3n-1≡11・3n-1≡0  (mod  11)
      よって、2・3n+52n-1≡0  (mod  11)
    • (2)72n+1+52n-1≡0  (mod  12)を示したい。
      72n+1+52n-1=72n+1+52(n-1)+1=7・(72)n+5・(52)n-1=7・49n+5・25n-1
      [定理3・系1]より、49≡12×4+1≡1  (mod  12)、25≡12×2+1≡1  (mod  12)
      [定理3iv,iii,i]より、7・49n+5・25n-1≡7・1n+5・1n-1≡7+5≡12≡0  (mod  12)
    • (1)3を何倍かして、5で割ると1余る数にしたい。
      3x≡2  (mod  5)
      [定理3iii]より、6x≡4  (mod  5)
      [定理3・系1]より、5x+xx≡4  (mod  5)
    • (2)3を何倍しても、8で割ると1余る数にはできない。
      これは、[定理4]の適用場面で、
      2x≡4  (mod  8)
      (2,8)=2だから、つまり、2と8の最大公約数は2だから、
      x≡2  (mod  4)
      「合同式を解く」とは、未知数xの与えられた法に対する剰余を求めることだから、
      x≡□  (mod  8)でなければならない。
      x≡2  (mod  4)から、x-2=4qすなわち、x=4q+2
      4で割ると2余る数を、8で割った余りは?、これは、qが2の倍数であるか否かで異なる。
      1. q=2q'のとき・・・x=8q'+2すなわち、x≡2  (mod  8)
      2. q=2q'+1のとき・・・x=8q'+6すなわち、x≡6  (mod  8)
      よって、x≡2,6  (mod  8)
    • (1)5を何倍かして、7で割ると1余る数にしたい。
      5x≡3  (mod  7)
      [定理3iii]より、15x≡9≡2  (mod  7)
      [定理3・系1]より、2×7x+xx≡2  (mod  7)
    • (2)13を何倍かして、11で割ると1余る数にしたい。78=13×6=11×7+1
      13x≡8  (mod  11)
      [定理3iii]より、78x≡48≡4  (mod  11)
      [定理3・系1]より、7×11x+xx≡4  (mod  11)
    • (3)3x≡6  (mod  9)
      (3,9)=3であるから、[定理4]より、x≡2  (mod  3)
      すなわち、x=3q+2
      qを3の剰余類に分類する。
      1. q=3q'のとき、・・・x=9q'+2
      2. q=3q'+1のとき、・・・x=9q'+5
      3. q=3q'+2のとき、・・・x=9q'+8
      よって、x≡2,5,8  (mod  9)
    ところで、「解のない」合同式(合同方程式)が存在する。
    [定理5]合同式axb  (mod  m)は、(a,m)がbを割り切るとき、そのときだけ解をもつ。
    [例]2x≡5  (mod  4)は、解をもたない。
    2x-5=4q
    左辺は奇数であり、右辺は偶数であるから、このような整数x,qは存在しない。
    • (1)x,yの係数を比較すると、2より3の方が大きいから、3=2×1+1として、
      2x+3y≡2x+(2×1+1)yy  (mod  2)
      一方、31≡1  (mod  2)
      よって、y≡1  (mod  2)
    • (2)y=2k+1 (kは整数)とすると、
      2x+3y=31
      2x+3(2k+1)=31
      2x+6k=28
      x+3k=14
      x=-3k+14
      よって、整数kに対して、(x,y)=(-3k+14,2k+1)
    • (1)11x+13y=23
      11x+13y≡11x+(11+2)y≡2y  (mod  11)
      23≡2×11+1≡1  (mod  11)
      よって、2y≡1  (mod  11)
      12y≡11y+yy≡6  (mod  11)
      y=11k+6 (kは整数)とすると、
      11x+13(11k+6)=23
      11x+13×11k=23-78=-55
      x+13k=-5
      よって、整数kに対して、(x,y)=(-13k-5,11k+6)
    • (2)39x-29y=326
      39x-29y≡(29+10)x-29y≡10x  (mod  29)
      326≡29×11+7≡7  (mod  29)
      よって、10x≡7  (mod  29)
      30x≡29x+xx≡21  (mod  29)
      x=29k+21 (kは整数)とすると、
      39(29k+21)-29y=326
      39×29k-29y=326-39×21=326-819=493=-29×17
      39k-y=-17
      よって、整数kに対して、(x,y)=(29k+21,39k+17)
自然数a,bがあり、
(a,b)=1、すなわち、a,bは互いに素であるとする。
このとき、方程式、
ax+by=1
を満たす、0でない整数解(x,y)が無数に存在する。
その中で、0<|x|<b,0<yaとなるものと、
0<xb,0<|y|<aとなるものとが、各一組ずつ存在する。
[証明]
  1. 2x+3y=31・・・(ア)
    (2,3)=1であるから、2x'+3y'=1は整数解をもつ。
    得られた(x',y')に対して、(x,y)=(31x',31y')である。
    2x'+3y'=1を解く。・・・(イ)
    x',y'の係数2,3を「ユークリッド互助法」により、次第に小さくし、最終的にはどちらかを1に帰着させる。
    (2,3)=1、すなわち、2と3は互いに素であるから、かならずこれは可能である。
    2x'+(2×1+1)y'=1
    2(x'+y')+y'=1
    こうして、第2項の係数が1となった。
    明らかに、x'+y'=0,y=1は、解である。
    この連立方程式を解くと、
    (x',y')=(-1,1)
    これは(イ)の無数に存在する整数解のうちのひとつの解(特殊解)である。
    ちなみにこれは、x'が絶対値において3より小さい正数であり、かつ、y'が2より小さい正数である特殊解である。
    (イ)に代入して、辺々引くと、
    2x'+3y'=1・・・(イ)
    2(-1)+3・1=1・・・(ウ)
    2(x'+1)+3(y'-1)=0・・・(イ)-(ウ)
    すなわち、
    2(x'+1)=-3(y'-1)
    ここに、(2,3)=1であるから、
    x'+1=-3k
    y'-1=2k
    すなわち、
    (x',y')=(-3k-1,2k+1)
    無論、k=0のときが、上の、
    x'が絶対値において3より小さい正数であり、かつ、y'が2より小さい正数である特殊解、
    (x',y')=(-1,1)
    である。
    では、
    x'が3より小さい正数であり、かつ、y'が絶対値において2より小さい正数である特殊解、
    の方はどうか?
    k=-1とすればよい。すなわち、
    (x',y')=(2,-1)
    (ア)に戻ると、解は次のように書ける。
    (x,y)=(31(-3k-1),31(2k+1))
    もう少しシンプルな表現にしたい。k'=31kとおくと、
    (x,y)=(-3k'-31,2k'+31)
    さらに、たとえば、k''=k'+15とおくと、
    (x,y)=(-3(k''-15)-31,2(k''-15)+31)=(-3k''+14,2k''+1)
    または、たとえば、k'''=k'+10とおくと、
    (x,y)=(-3(k'''-10)-31,2(k'''-10)+31)=(-3k'''-1,2k'''+11)
    ここでも、端数の絶対値を31より小さくする方法が、ただ2通り、存在するのである。
    • (1)11x+13y=23・・・(ア)
      (11,13)=1であるから、11x'+13y'=1は整数解をもつ。
      得られた(x',y')に対して、(x,y)=(23x',23y')である。
      11x'+13y'=1を解く。・・・(イ)
      x',y'の係数11,13を「ユークリッド互助法」により、次第に小さくし、最終的にはどちらかを1に帰着させる。
      (11,13)=1、すなわち、11と13は互いに素であるから、かならずこれは可能である。
      11x'+(11×1+2)y'=1
      11(x'+y')+2y'=1
      (2×5+1)(x'+y')+2y'=1
      2{5(x'+y')+y'}+(x'+y')=1
      2(5x'+6y')+(x'+y')=1
      こうして、第2項の係数が1となった。
      明らかに、5x'+6y'=0,x'+y=1は、解である。
      この連立方程式を解くと、


      (x',y')=(6,-5)
      これは(イ)の無数に存在する整数解のうちのひとつの解(特殊解)である。
      ちなみにこれは、x'が13より小さい正数であり、かつ、y'が絶対値において11より小さい正数である特殊解である。
      (イ)に代入して、辺々引くと、
      11x'+13y'=1・・・(イ)
      11・6+13(-5)=1・・・(ウ)
      11(x'-6)+13(y'+5)=0・・・(イ)-(ウ)
      すなわち、
      11(x'-6)=-13(y'+5)
      ここに、(11,13)=1であるから、
      x'-6=-13k
      y'+5=11k
      すなわち、
      (x',y')=(-13k+6,11k-5)
      無論、k=0のときが、上の、
      x'が13より小さい正数であり、かつ、y'が絶対値において11より小さい正数である特殊解、
      (x',y')=(6,-5)
      である。
      では、
      x'が絶対値において13より小さい正数であり、かつ、y'が11より小さい正数である特殊解、
      の方はどうか?
      k=1とすればよい。すなわち、
      (x',y')=(-7,6)
      (ア)に戻ると、解は次のように書ける。
      (x,y)=(23(-13k+6),23(11k-5))
      もう少しシンプルな表現にしたい。k'=23kとおくと、
      (x,y)=(-13k'+23×6,11k'-23×5)
      23×6=13×10+8,23×5=11×10+5であるから、
      さらに、たとえば、k''=k'-10とおくと、
      (x,y)=(-13(k''+10)+13×10+8,11(k''+10)-11×10-5)=(-13k''+8,11k''-5)
      23×6=13×11-5,23×5=11×11-6であるから、
      または、たとえば、k'''=k'-11とおくと、
      (x,y)=(-3(k'''+11)+13×11-5,11(k'''+11)-11×11+6)=(-13k'''-5,11k'''+6)
      ここでも、端数の絶対値を23より小さくする方法が、ただ2通り、存在するのである。
    • (2)39x-29y=326・・・(ア)
      (39,29)=1であるから、39x'-29y'=1は整数解をもつ。
      得られた(x',y')に対して、(x,y)=(326x',326y')である。
      39x'-29y'=1を解く。・・・(イ)
      x',y'の係数の絶対値39,29を「ユークリッド互助法」により、次第に小さくし、最終的にはどちらかを1に帰着させる。
      (39,29)=1、すなわち、39と29は互いに素であるから、かならずこれは可能である。
      (29×1+10)x'-29y'=1
      29(x'-y')+10x'=1
      (10×2+9)(x'-y')+10x'=1
      10{2(x'-y')+x'}+9(x'-y')=1
      10(3x'-2y')+9(x'-y')=1
      (9×1+1)(3x'-2y')+9(x'-y')=1
      9{(3x'-2y')+(x'-y')}+(3x'-2y')=1
      9(4x'-3y')+(3x'-2y')=1
      こうして、第2項の係数が1となった。
      明らかに、4x'-3y'=0,3x'-2y=1は、解である。
      この連立方程式を解くと、


      (x',y')=(3,4)
      これは(イ)の無数に存在する整数解のうちのひとつの解(特殊解)である。
      ちなみにこれは、x'が29より小さい正数であり、かつ、-y'が絶対値において39より小さい正数である特殊解である。
      (イ)に代入して、辺々引くと、
      39x'-29y'=1・・・(イ)
      39・3-29・4=1・・・(ウ)
      39(x'-3)-29(y'-4)=0・・・(イ)-(ウ)
      すなわち、
      39(x'-3)=29(y'-4)
      ここに、(39,29)=1であるから、
      x'-3=29k
      y'-4=39k
      すなわち、
      (x',y')=(29k+3,39k+4)
      無論、k=0のときが、上の、
      x'が29より小さい正数であり、かつ、-y'が絶対値において39より小さい正数である特殊解、
      (x',y')=(3,4)
      である。
      では、
      x'が絶対値において29より小さい正数であり、かつ、-y'が39より小さい正数である特殊解、
      の方はどうか?
      k=-1とすればよい。すなわち、
      (x',y')=(-26,-35)
      (ア)に戻ると、解は次のように書ける。
      (x,y)=(326(29k+3),326(39k+4))
      もう少しシンプルな表現にしたい。k'=326kとおくと、
      (x,y)=(29k'+326×3,39k'+326×4)
      326×3=29×33+21,326×4=39×33+17であるから、
      さらに、たとえば、k''=k'+33とおくと、
      (x,y)=(29(k''-33)+29×33+21,39(k''-33)+39×33+17)=(29k''+21,39k''+17)
      326×3=29×34-8,326×4=39×34-22であるから、
      または、たとえば、k'''=k'+34とおくと、
      (x,y)=(29(k''-34)+29×34-8,39(k''-34)+39×34-22)=(29k''-8,39k''-22)
      ここでも、端数の絶対値を326より小さくする方法が、ただ2通り、存在するのである。

「新課程」初年度のこの学年の教科書を、私は見ていないから、たとえば新たに盛り込まれた「2元1次不定方程式の整数解」問題、いわゆる「ディオファントス方程式」でございますな、・・・、の解法を、高校生にどう説明すべきか?、を知らなかった。単なる「趣味」として、高木貞治「新式算術入門」(ちくま学芸文庫)を読んで、まだ「路頭に迷う」とは予想していなかった(笑)昨年の秋ごろ、没頭していたから、「得意」分野ではあるのだが、高木貞治が紹介している「オイラーの方法」、しかも高木貞治が、「あとは、わかるでしょ?」みたいに(笑)放り出している部分は、自己流で補って、編み出した方法は、以前ご紹介したように、こんな感じ(↓)で、
「冷笑に満ちた『修辞疑問文』のさなかで?」
こんなに延々と数式を羅列したのでは、ほとんどが文科系志望の生徒さんたちは、辟易してしまうだろう、とも思えた。案の定、「先生、教科書に書いてあるの、もっと簡単そうだよ」、と、声がかかった。斜に構えて、にやにや「冷笑」しているだけではなく(笑)、ちゃんと指摘してくれる、「進学校」ではない生徒さんの朴訥さが、ありがたい(笑)。
やっていることの「本質」は(笑)、同じ、「ユークリッド互除法」なのだが、確かに、わかりやすい説明にはなっている。こうして初めて知った(笑)教科書風の、ディオファントス解法を、紹介する。以前のと同じ例題を用いよう。

39x-29y=326
ここで、39と29はたがいに素であるから、
39x'-29y'=1
は整数解をもつ。高木貞治のきわめてエレガントなその証明も、以前ご紹介(↓)したが、
「人が饒舌だとしたら、それは、何かそれ以外のことを、決して喋りたく『ない』からだ。」
高校教科書では、ここは証明なしで断言しているのだと思う。
得られた一組の(x',y')に対して、(x,y)=(326x',326y')とあらわされることは明らかである。
「ユークリッド互除法」を39,29に適用する。たがいに素であることは明白だから、「1」に至るまで続く筈である。
39=29×1+10・・・(1)
29=10×2+9・・・(2)
10=9×1+1・・・(3)
これで「収束」した。この3式を組み立てなおして、目標である、
1=39x'-29y'
を「再構成」しよう、と言うのである。各式の第1項を移項して、左辺右辺を入れ替え、かつ、番号を逆順にして並べて見ると、
1=10-9×1・・・(3')
9=29-10×2・・・(2')
10=39-29×1・・・(1')
(3')式の「9」に(2')式を「代入」する。
1=10-(29-10×2)×1
「10」を同類項としてまとめると、29と10、もちろんたがいに素、の「1次結合」になる。もちろん教科書はそんな小難しいことは言わない(笑)。
1=10×(1+2)-29×1
1=10×3-29×1
「10」に(1')を「代入」し、おなじく「29」を同類項としてまとめると、今度こそ、39と29の「1次結合」になり、これが求めるものなのであった!
1=(39-29×1)×3-29×1
1=39×3-29×(3+1)
1=39×3-29×4
ほら!(笑)こうして、(x',y')=(3,4)が得られた、したがって、(x,y)=(326×3,326×4)が解である。