「群の公理」、「環の公理」、「体の公理」を探して「素数」芹沢正三(講談社ブルーバックス)を渉猟しているうち、またしても聞き覚えのある「オイラー氏」の名前が出てきたので、思わず、没頭してしまったのであった。

自然数nと互いに素なn以下の自然数の個数、オイラー関数φ(n)、および、その合計、τ(n)、を算出するプログラムを作ってみた。別に作らなければならない理由があった訳ではない。昼間が珍しく快晴であったが、そんな日に限って陽が落ちると急速に気温が下がる。暖を求めて腹や胸の上で丸くなる猫たちの重みにうなされ、何か「重い!」とか、「ああ、生きてるのがめんどくさい(笑)」とか、以外のことを考えなければならなかったから、仕方ない、「ユークリッド互除法」をBasicで書くにはどうしたらよかろう?、と、天井を睨み付けながら思いめぐらせていたら、何とか起きだす気力がわいてきたのである。何度も繰り返すが、これが、「治療行為」としての「数学」、の効用であろう。

原初の自然数「1」、は、それ自身素数ではないのだが、また、あらゆる自然数に対して、「互いに素」である。
「1」が素数でないのは、素因数分解の「一意性」を保つ「ため」の、技巧だ。
あらゆる整数が「1」と「互いに素」なのは、その定義「1以外の公約数をもたない」からの当然の帰結、と言えよう。
でも、これはちょっと悩ましい事態で、このプログラムでも、そこは誤魔化してある。互除法の演算を繰り返して、あまりが「0」になったら、それは公約数がある、ということだから、ループを出ろ!、と命ずるのだが、除数がほかならぬ「1」ならば、ちゃんと割り切れるから、「1」を「互いに素」なものとしてカウントせよ!、と機械に注文するのには、ちょっと工夫がいることになってしまう。

これをちょいと改良して、1から180までの自然数について、φ(n)、と、τ(n)、を計算するだけなら、「公式」があるのだから全然有難味がない(笑)ので、各nと「互いに素」なものを全部列挙してみた。
特に何も「感動」すべきところのない数表であるが(笑)、もし、nが「素数」であるならば、当然、n未満のすべての自然数は、nと「互いに素」である。したがって、そのような場合、オイラー関数φ(n)は、
φ(n)=n-1
となる。下表の最左欄「prime」として「*」をつけたのは、「素数」の意味である。これは、「素数」であるか否か?、を判定したのではなく、ただ、計算されたオイラー関数に対して、上の式が成り立っているものに、チェックを入れよ、とExcelではなくKin●softSpreadSheetに命じただけである。

で、気になった。「気になる」ことがある限り、人は「生きて」いけるのだから、ありがたいことだと言わねばならない。「生きて」いることが、「ありがたい」、限りにおいて、ではあるが(笑)。
「双条件法」と、論理学では言うのだそうだが、AならばB、かつ、BならばA、が成り立つとき、AはBであるための、同時に、BはAであるための、「必要十分条件」である、という。

nが素数であるための必要十分条件は、オイラー関数φ(n)が、以下の式を満たすことである。
φ(n)=n-1

nが素数であるならば、この式が満たされることは、上で示した。では、「逆」はどうか?

φ(n)=n-1を満たす自然数nは、か・な・ら・ず・、素数である、

と言えるのか?
「素数」は、その定義上、「1とそれ自身以外に約数をも・た・な・い・自然数」である。このように、命題の結論部分が「否定文」で書かれているとき、これは、「いかなる○○に対しても、△△となることは、決して、あり得ない」ことを示さなければならなくなるから、いわゆる「悪魔の証明」になる。
あなたの「アリバイ」を立証してください。
あなたが、当該時刻、当該場所に、「いなかった」ことを立証してください。
弁護人:指紋が残っていな・い・でしょ?、検察官:いや、それは被告人が拭き取ったのである、
弁護人:監視カメラに映像が映ってな・い・でしょ?、検察官:いや、それは被告人がカメラの死角にいたのである、
弁護人:目撃証人がい・な・い・でしょ?、検察官:いや、それはたまたま、誰も通りかからなかったのである、
こうして、ことごとく「否定文」である弁論は、ことごとく「肯定文」によって棄却されてしまうのである。「アリバイ」は、したがって、「不在」を証明していない。どこか別の場所に「存在」していた、ことをもって、「否定文」を「肯定文」に転換した「代理」の命題を論証することで、「悪魔の証明」を回避する技法なのである。

何者かが「素数」で「ある」ことの証明は、したがって、その否定文を肯定文に転換する、「背理法」または「対偶」以外の方法が、あ・り・得・な・い・。
「背理法」:φ(n)=n-1を満たす自然数であって、素数でな・い・もの、すなわち合成数nは、存在しえない。 と、とんとん拍子(笑)、で進んで、ならば、その着想から、数学的帰納法めいたものを用いれば、何とかなるだろう、と踏んでいたのだが、ここで頓挫、またしても、「オチ」のない話、でも、もう十分喋ったので、ここまでにする。





また、猫たちの「重み」に耐えながら微睡んで(まどろんで)いたら、「頓挫」していた証明、思いついた、かもしれない。

「背理法」:φ(n)=n-1を満たす自然数であって、素数でな・い・もの、すなわち合成数nは、存在しえない。
φ(n)=n-1を満たすnが、合成数であると仮定すると、矛盾に導かれる。 もう「飽きた」から(笑)、ここまでにする。