「ある事柄」が、生じる確率がp、したがって、生じない確率は(1-p)としたときに、n回の、もちろん(笑)「独立」な、試行中に、その「ある事柄」がちょうどi回だけ生ずる確率は、以下に掲げる「二項分布」B(n,p)の表式によって計算される、とされる(笑)。
この島の小学校や保育園の庭に、米海兵隊のヘリコプターからの落下物が頻々と降ってくる、「真面目に整備しているのか?」、当然にも生じる憤慨の声に、しかし(笑)いささかの違和感を禁じ得なかったのは、私自身が、「真面目」な人間でない(笑)からかもしれないが、憎むべき相手に、「落ち度」があった時、それを「悪意」や「怠惰」に帰そうとする心理は、一種のこれまた「躁的防衛」と理解できるが、それはもちろん(笑)冷静な態度とは言えない。「悪意」でも「怠惰」でもないにもかかわらず、そのような事態が現に生じている事態にこそ、真に戦慄すべきではないのか?下の計算表は、そんなとき、ふと思いついて作ってみた。
機械の故障、整備の見落とし、などというものは、どんなに「真面目」で「善意」であっても、多数回の繰り返しにあっては、必ず何度かは生じてしまうものであろう。工業的な製品の管理にあっても、通常は、不良品の発生確率が5パーセント程度に抑えられていることを目標として、「検査」というものが計画される。これは正規分布において平均値プラスマイナス2標準偏差のレンジに含まれる標本数が、全体の約95パーセントに等しい、という統計学的知見に根拠を置いている。
ならば、それら故障、見落としなどの回避できない失敗が生じる割合を「確率」と把握してもまんざら当を得ないわけでもなかろう?例えば1000回に一回しかミスをしない、日曜を除いて毎日一回整備をするんだとして、6×52×3=936、だから、約三年間、一度もミスがありませんでした、という「経験」を、そう読み変えることも可能だろう。逆に言えば、1000回に一回は、必ずミスがあ・る・のであり、それは他ならぬ今日かも知れないし、三年後かもしれない、等間隔に近く生じるかも知れないし、立てつづけに起こったと思ったら、長い間ないかも知れない、ランダムである、というのは、均一であるということでは決してなく、局所的な偏りはいくらでもあり得、かつ、その偏りの分布、すら予測できない、ことに本質があるのであろう?だから、1000分の一の確率でミスが生じるというのなら、どうしてもそう考えてしまうが(笑)、今日ミスをしたから、あと1000日は大丈夫、という訳にはいかない、もっともっと長い目で見て、その長い長い期間の平均として算出された、と仮想されたものが、1000日に1回のミス、という事態なのである。
ならば、この「二項分布」の式を利用して、「ある事柄」が、決して起こらない事態が長く持続することを、どれほど「期待」できるか?が算出できるではないか?と、考えた。統計学の教科書の練習問題などにも散見されるものではあるが、上のような事情からすれば、これは確率論の誤用ではないのか、という疑念も払拭できない(笑)。例えば1000回に1回ミスをする、というときの「1000」は観念的に平均化された「1000」、では、ミスのない事態が1000回続くのは?と問うときの「1000」は他ならぬ、今から持続した具体的な「1000」なのであるからね。それでも「誤用」からさえ、いやむしろ、「誤用」からこそ(笑)、人は多くを学ぶことができたのであるし、やってみよう(笑)。
上の式のiに0を代入するだけなので、簡単な話だ。パーソナルコンピュータで十分計算できる範囲のようなので、ポアッソン分布による近似、の論点は、差し当たり必要ではない。「ある事柄」が生じない確率(1-p)を、その「生じない」事態が持続する回数だけ累乗すればよいのだ。
1000回に1回しか起こらない、と思・わ・れ・て・い・る・事柄が、実・際・に・、引き続き1000回、起こらない、でいることが、どれほど期待できるか?
これが、約37パーセントなのである、という答えを、どう「感じ」るかは人によりけりだろう、もちろん、私は多少意外だった、からこそ、わざわざ書くことにしたのだが。ポアッソン分布による近似が可能であることを踏まえて言えば、0.9を10回掛けるのも、0.99を100回掛けるのも、0.999を1000回掛けるのも、ネイピア数eの逆数、約0.37になるのは理の当然(笑)、ではあるものの、例えば、0.999を100回掛けても、ま・だ・、約0.90、つまり1000回に一度はミスしてしまう事柄を繰り返すのを100回にとどめておきさえすれば、実・際・に・ミスが生じる事態は、9割方回避できたであろうのに、その反復回数をそれ以上に増やしていくや、おそらく急激に「危険」は高まっていくのである。
私としては、我が意を得たり、と納得し、溜飲を下げた(笑)、ところだったのである。つまり、どんなに「真面目」な整備に努めたとしても、その十分に整備が行き届いたであろう航空機であったにせよ、こんなにも飛・ば・し・過・ぎ・れ・ば、そりゃ、事故も起こるであろう?、と、最短13分間隔でくり返し機影が現れる、この空、を見上げて、なかなか平凡な(笑)、結論に達したわけであった。