第一原理:「確率とは、すべての可能な場合の数に対する好都合な場合の数の比である。」

第二原理:もし、それぞれの場合が排反であるならば、「確率は各々の好都合な場合の可能性すべての和である。」(加法定理)

第三原理:「もし複数の事象が互いに独立であるならば、それらの事象がともに生じる確率は個々の確立の積である。」(乗法定理)

第四原理:「二つの事象が互いに依存する場合、それら二つが複合した事象の確率は、第一の事象の確率と、その事象が生じたものとして第二の事象が生じるであろうという(条件付き)確率との積である。」

第五原理:「すでに生じた一つの事象の確率と、予期されるもう一つの事象とこの事象とを合わせた複合事象の確率とがアプリオリに計算できるものとしよう。このとき、第二の確率を第一の確率で割ったものは、すでに観察された事象のもとでその予期された事象が生じる(条件付き)確率である。」

第六原理:「一つの観察された事象について、それを生み出しうる(そして互いに両立しない)原因がいくつか存在するとしよう。このとき、各々の原因が存在すると仮定したときにその事象が生じる(条件付き)確率が大きければ大きいほど、その原因が(当の事象の本当の原因であること)の確率も大きい。かくして、これらの原因の各々が存在する確率は、分子としてその原因を仮定したときにその事象が生じる確率をとり、分母として同様の確率をすべての原因にわたって合計したものをとった分数である。もしこれらの原因がアプリオリに等確率でない場合は、各の原因を仮定したときの当の事象の確率の代わりに、その確率とその原因自体の(アプリオリな)確率との積を取らなければならない。」

「千個の数字の入った壺から一つの数字が取り出されたとしよう。これを見た一人の証人がこの数字は79だと発表する。これが正しい確率はいくらだろうか。経験によりこの証人は10回に1回うそをつくことがわかっており、彼の証言が正しい確率は9/10であると仮定しよう。」

本当のことを言っている確率、P(T)=9/10、うそを言っている確率、P(¬T)=1/10、
本当のことを言っているとして、「79」を引く確率、1/1000、
「79」を引いたのでないのに「79」と言った、というのが「うそをついている」のことだから、
「79」以外のどれかを引く確率、999/1000、その999のうちのどれかだったにもかかわらず、ほ・か・な・ら・ぬ・、「79」だというのだから、それは、その1/999の確率で、選ばれているのである。
これは「逆確率」、と呼ばれるそうで、現に、今、879」でした、という承認を申告を受けた、ということを前提として、承認が本当のことを言っている確率を、「逆算」しているというのである。なんのことはない、最初に設定した、この証人が、生・来・「本当のことを言う」確率、9/10、と何も変わらないじゃないか?
ラプラス氏は、畳みかけるように、こんな例を持ち出す、
「もしこの証人がうそをつくに当たって、出なかった数字のうちから数字79を選ぶ何らかの利害関係を持っていたなら事態は異なる。・・・彼がこの数字を選ぶ確率は以前のように1/999ではなく、この数字を発表することによって得ることになる利益に応じて1/2あるいは1/3などにもなるであろう。この確率が1/9だと想定すれば、・・・」

1/9という想定は、計算の便宜のためであろう、「79」という数字が、彼の想念の中で、「これを引きました」と発表すべき「9」個の数字の可能性のうちの1つだった、というなら、それは例えば、「2桁の数字で10の位は7だった筈だが、1の位は思い出せない」などという場合に近い設定、とは言えよう。という訳で、このように「利益誘導」があれば、承認の「信頼性」は、ガタ落ちに減った、という結果になっている。なるほど、・・・、でも、なんか、腑に落ちないな、もちろん、ラプラス氏に楯突く訳ではない(笑)、単に私の頭が悪いのだろう。
「嘘をつく」というのは、現に生じた事実と「異なる」ことを申告することだとすれば、「79」以外のものを引いたのに、「79」だと言った、および、「79」を引いたのに、「79」以外のものを引いたと言った、場合がそれに当ろう?「い・つ・も・1/10の割合で『嘘をつく』人物」などというものが、想像できるだろうか(笑)?
話題は逸れるが、思い出したので書いておく、誰も聞いてないから、気にしないが(笑)、前にリリアン・ヘルマンのことを調べた時(↓)、ま、強烈な性格の人だから、敵が多い訳だが、メアリー・マッカーシーという作家が、こんなことを書いているそうである。
every word [Hellman] writes is a lie, including 'and' and 'the'.
(リリアン・ヘルマンの)書く言葉は、一言残らず、そう、「and」も「the」も含めて、全部、嘘だ。
もちろん、人を罵倒する「言葉の綾」としては、よく出来ている(笑)だろうが、いや、それはないだろう(笑)、発する言葉のす・べ・て・が嘘、ということは原理的に有り得ない、じゃないか?織田作之助にちなんで(笑)、
Spring has come.
にしてみるか?助動詞とか入ると複雑だな、
Spring comes.
にしてみよう、この文が「嘘」というなら、それは、
1.springでないものが、comesしたのに、そう言った、
2.springが、comesした訳でないのに、そう言った、
場合に限られよう?springも、comesも、「嘘」だ、というのなら、「真実」は、spring以外のものが、comes以外のことをした、ことになろうが(笑)、「spring以外のもの」も「comes以外のこと」も、「世界」には無数にありうるので、およそ、それが何であったか全然わからない、springともcomesとも無関係な「真実」に対して、Spring comes.が、「嘘」になるだろうか(笑)?大部分が合致していて、ごく小さな一部が異なるからこそ、わずかな「ずれ」があるからこそ、それは「嘘」たりうる。「論点をずらすな!」と人は詰るけれど、多少なりとも論点がずれていなければ、そもそも「対話」は成り立たないのだ、というお話は、前もいたしましたな、しかし、「ずれ」があまりに大き過ぎて、原形をとどめなくなってしまうと、それこそ、「andもtheも『嘘』である文」みたいに、こんどは「嘘」の概念を超えてしまう、で、ここでも、話題があまりに逸れすぎて(笑)、何を言っているのか本人にもわからなくなってきたので話を戻すと、・・・、
複数の「正しさ」が存在する、それを認めたら、「自分」の「正しさ」はどうなってしまうだろう?どうにもなりませんでした、だから、私は「発狂」したんだと思います(笑)。
気付いたんだが、上の例、はじめの方、「利害関係」のない場合、承認が常日頃、「うそをつく」確率1/10、これが、「私79を引きました」という「彼」、おや?勝手に「男」にしているな?ああ、ラプラス氏自体がそうしているのだった(笑)、が証言した「事後」から振り返ってもなお、「嘘をついていた」確率1/10になっているのは、何か「裏があるの」では?
「逆確率」、現にAが生じたという時点から振り返って、その「原因」がTであった確率PA(T)、が、Aが生じたか否かにかかわらず、Tである確率、P(T)、と等しい、というのなら、それは、上の、第三原理第四原理第五原理、により、Aであることと、Tであることが「独立」ということになるではないか?

だったら、このたとえ話で、この人が日頃から「うそをつく」確率が1/10だなどと、もっともらしいことを言っているが(笑)、その数字は、どうでもよくなってしまわないかしら?
P(T)=1/10、に対して、PA(T)=3/40、となった、「利害関係」のある、あとの場合で、初めて、「うそをつく」ことと「79である」とが、「独立でない」ことになっている。それが生じたのは、「この数字を発表することによって得ることになる利益に応じて」変化する確率として、1/999、でなく、例えば、1/9、を採用したからだ。いったい、どういうことなんだろう?「79」を本当に引いて、かつ、「79でした」と証言したなら、それは、「うそをつこう」という「主観」とは関係なく、「本当のことを言った」場合になるだろう、だから、「79」でないものを引いてきたときに、なんて答えようか?と考える際、なんの制限も加えられていないからこそ、現に引いた数字以外の999の場合があり得た、それにもかかわらず、うっかり「79」を選んだ、これが「独立」の場合で、いや、「79」を含む、例えば、わずか9個の数字の中から選ぶことが、あらかじめ決断されていた場合が、「独立」でない、と理解してよいのだろうか?ラプラス氏が、これと比較対照する形で上げている、もう一つの例があるのだ。
「今度は、999個の黒い玉と一つの白い玉を含む壺から一つの玉が取り出され、これを見た証人がその玉は白だと発表するとしよう。」
先の例では、「『79』でない」事態の、999通りが、ことごとく、ある数字によって、異なる場合として識別できる、つまり「区別のつく」場合であるのに対して、「白でない」玉は、みな一様に「黒」い玉、なのであって、「区別がつかない」ことが顕著な違いなのである。すると、上で用いた、1/999、ないし、1/9、といった係数が、「1」に、いわば、収束、してしまうのである。なるほど、「証人」は、「黒」を引いたのにもかかわらず、そうでない、と、「うそをつく」際に、「白でした」という以外に、方法がない、ただ一通りしか選択のしようがない、ということなのだろうか?

横軸に、P(T)、これは、証人の本来的な「正直さ」、とでも言おうか、
縦軸は、PA(T)、「79」ないし「白玉」、という証言があった上で、それが本当のことだ、と信頼できる確率、
それを、上で、1/999、なり、1/9、なり、1、なり、とした係数の分母、大きくなればなるほど、「独立性」が高まる、を、いくつか異なる場合に分けて、グラフを作ってみた。


うーん(笑)、あんまり、「意味」、わからんな、ま、そろそろ飽きてきたし、今日はこの辺で。