高校物理
マックスウェル電磁気学
第1式
電場についてのクーロンの法則
ガウスの法則
(面積積分と体積積分の変換)
第2式
ファラデーの電磁誘導の法則
(レンツの法則)
変動する磁場は循環型の電場を作る
第3式
単極の磁石が存在しないこと
ガウスの法則
(閉曲面内に「湧き出し口」「吸い込み口」がない場合)
第4式
アンペールの法則
変動する電場は循環型の磁場を作る
第1式
一般に「逆2乗法則」は、「湧き出し口」から遠ざかるにつれて「濃度」が、面積に反比例して小さくなっていく様子を表しているといえる。
これをモデル化するために「流束」(電気力線)の概念が生まれた。
「湧き出し口」(正の点電荷)を囲む半径
r
の球面の単位面積を貫く「電気力線」本数を、その場での「電場」の大きさと定義すると、
電荷
q
からは、4π
k
0
q
本の「電気力線」が生じている計算になる。4π
k
0
の逆数ε
0
を「真空の誘電率」とすれば、
q
/ε
0
とも書ける。
ρを閉曲面内の空間の「電荷密度」[c/m
3
]とすると、
右辺の積分は「体積積分」
閉曲面の表面を貫いて出てきた「電気力線」総本数は、電場
E
を閉曲面の全面積についての総和、すなわち積分すればよく、これが
q
/ε
0
に等しいことから、
この式は、・・・、閉曲面内に「湧き出し口」しかないのであれば、「流束」はかならず表面を貫く。表面を貫いて出てきたものの総和は、はじめから閉曲面内に存在していたものの総和に違いない、・・・、という、「保存則」を表している。
第3式
同じことを磁場について考えると、磁場では電場と異なって「湧き出し口」、「吸い込み口」というものを考える余地がない。単極の磁石が存在しないからだ。
したがってどんな閉曲面で磁場を切り取っても、「磁束線」は、そこに流れ込んだ数だけ、かならず、流れ出ていく。
だから、閉曲面を貫く「磁束線」総本数は、かならず、0になる。
これは、「ガウスの法則」が表す「保存則」の、特別な場合といえる。
第2式
一様な磁場の内部を磁場に垂直に導体棒を動かすと、棒の両端に起電力が生じる。この電磁誘導は「ローレンツ力」で説明できる。
ところが、導体棒を動かさずに、磁場を変動させても、やはり誘導起電力が生じる。これは、「ローレンツ力」では説明できない。導体棒内の荷電粒子(自由電子)が、運動していないからである。
マックスウェルの第2式は、これを「変動する磁場は循環型の電場を生じる」と説明する。「循環型」でなければならないのは、その電場は、なんら「湧き出し口」、「吸い込み口」、つまり電荷の存在なくして成立するからだ。
変動する磁場の内部に閉曲線を考える。
d
s
はその閉曲線に沿った十分短い長さ、「線素」を表す。閉曲線(閉回路であってもよい)に沿って誘導起電力が生じたなら、その前提として、「電場」が生じていたに違いない。
右辺の積分は閉曲線に沿って一週回った積分(周回積分)
一方、磁束Φは、
であるから、ファラデーの電磁誘導の法則より、
これは、誘導起電力が発生するということは、閉回路や導体棒が存在しなくても、すでにその空間に電場が生じていたはずだ、という意味で、ファラデーの電磁誘導の法則の拡張となっている。
第4式
直線電流の回りに生ずる磁場の式
から、
I
=2π
r
H
、これは、一般化すると磁場
H
のまわりの閉曲線に沿った周回積分といえるから、
一方、単位断面積あたりの電流(電流密度)を
j
とすれば、
こうして、
ところが、充電中のコンデンサを含む回路のように、
コンデンサの極板間には、決して「電流」は流れていないのに、「電場の変化」があるだけで、磁場が発生する。これをどう表現するか?
コンデンサの極板間の一様電場の大きさは、
E
=
Q
/
C
d
C
:電気容量、
d
:極板間隔
さらに電気容量
C
=ε
S
/
d
から、
E
=
Q
/ε
S
S
:極板の面積、 ε:誘電体の誘電率
また、コンデンサに流れ込む電流
I
は、
I
=
d
Q
/
d
t
であるから、
極板間に電流は流れていないのだが、電場の変動を電流になぞらえて考え、面積あたりの電流密度
j
を考えると、
j
=
I
/
S
といえるから、
「アンペールの法則」の一般化である
に、コンデンサの周りの磁場についての項も付け加えると、