Permanent
Vacation



精神分析医のカウンセリングなんて、70年代あたりのアメリカ映画でしか見たことがない。花が生けてあったり、アバンギャルドなオブジェが唐突においてあったり、ことさらに診察室らしくないオフィスには、これまた決して白衣なんかは着ない、ツイードのジャケットかなんか着ている分析医がいて、これまたことさらにリラックスして、ソファに足を投げ出したりなんかして、患者と話をしちゃったりするの。
まさか、そんなわけはないだろう。そうやっていろいろ想像をめぐらして、実は遠足の前の日みたいに少しはしゃいでいた。

でも、精神科の待合室に入ったときは、しかし、そんな気分は吹き飛んだね。
あ、すいません、間違えました。私、全然大丈夫なんですよ!とか何とか言って帰ろうかと思った。
ここにいる人たちに比べたら、僕なんて全然「まとも」じゃん!
あらためてあさましいことだけど、そうやってのべつ幕なしに自分を「他人」と比較していなきゃ生きていけないのかもね。



龍宮城だより