「民族の声(The Native Voice/Ka Leo o Ka Lahui Hawai'i)」1999年春号
主権と自決権に関するカ・ラフイの立場、および4つの領域
カ・ラフイの指導部の顔ぶれが少し変わり、さまざまな問題に対する力点の置き方に変更はあったものの、カ・ラフイ・ハワイの根本原理が自決権の追求であることに変わりはない。先住ハワイ人とその子孫は自決権を有する。従って、我々は、我々の政治的地位を自由に決定し、我々の経済的・社会的・文化的な発展を自由に追求する権利を有する。アメリカ合衆国その他の西側諸国、そして世界中のおよそ3億人の先住民族がこの民族自決への権利を承認している。
自決権は主権を獲得するためのすべての行為の指針となるものである。すなわち連邦および州政府機関は先住民の国家および政府の設立にあたってこれに参加し、または資金援助、指導などを通じてその過程に関与してはならない。先住ハワイ人がそれを民主的に代表できる政府を選び取ったときに初めて自決権が実現することを想起せよ。その時にこそ、現在我々の土地と天然資源を管理している州および連邦政府と、有効な交渉を行うことができるのだ。
カ・ラフイ・ハワイは先住民自治に関する連邦政府の現在の政策に先住ハワイ人を参加させることを追求している。この政策によってすべての先住アメリカ人は対して限定された地域の中で自治権を行使することができる。しかし先住ハワイ人は先住アメリカ人と明らかに異なる歴史を持っており、従ってカ・ラフイ・ハワイは自決権を4つの異なった領域で同時に追及していこうとしている。これら4つの領域は「主権の4つの領域」と呼ばれるのが最も適切であろう。
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第1の領域:先住民と先住民の関係
先住民の構成員が民族的同一性について、また先住民国家がその構成員に対して負うべき責任についての論議を深める場所として、この領域は最も重要である。健康・教育・福祉・経済・住宅等の国家的な課題が先住民のグループによって発展・探求されるのもこの領域においてである。先住民同士の間の対話こそが自決権の不可欠の部分をなす。
カ・ラフイの形成もこの領域において始まった。カ・ラフイ・ハワイは先住ハワイ人自らの草の根グループによる自治をめざして7年間にわたる地域活動の後、1987年につくられた。カ・ラフイは主権というものを次のように定義する。すなわち共通の文化・宗教・言語・価値体系・土地を共有する人民が、彼らの土地と生命を、他の国家の干渉を受けず管理を行使する能力である、と。先住ハワイ人がその生命と財産の管理を行使するためには、彼らは自決権を有さねばならない。カ・ラフイ・ハワイは主権についてさらに明確な定義を与えるために以下の5つの要素を提示する。
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アクアに対する強力かつ永続的な信仰
精神的に空虚な人は強力な国家を形成し得ない。
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共通の文化・言語・伝統・歴史を有する人民
ハワイにおいては先住ハワイ人
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ハワイ人が居住し、その文化的伝統行為を実行するための土地
カ・ラフイはおよそ20万エーカーにおよぶ「ハワイ先住民・ホームランド・トラスト」および、およそ140万エーカーにおよぶ「返還土地・トラスト」を確保しようと努力している。これらの2つの土地信託は先住ハワイ人のものとされ、従って国家の土地的な基礎となる。
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ハワイ人が自決権を行使できる政府機構
カ・ラフイは民主的な憲法に基づく政府を形成した。その政府機構は4つの部門からなる。(1)立法部門:法律をつくる権力を有する。(2)行政部門:法の執行に責任をもつ。(3)司法部門:法の解釈を行う。(4)アリイ・ヌイ部門:文化および慣習に関わる事項に責任をもつ。
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ハワイ人の自立を可能にする経済的基礎
経済的自立こそが国家の目的である。自立とは、人民が自給できること、すなわち衣食住を人民が自らまかなうことができることである。
第1の領域において、カ・ラフイは他のハワイ人組織、主権獲得運動と協力して、ハワイ人民が自決権という自らの権利を行使できるよう努力している。
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第2の領域:先住民と民族国家との関係
この領域は先住民が、彼らを植民地化している国家に対して人権侵害及び信託上の義務違反について主張することのできる場である。この領域において、ハワイ人は保護国制度の終焉と、「返還土地」および「ハワイ先住民・ホームランド」の返還を合衆国および州政府に要求している。すべての先住民は何らかの方法でその植民者に要求を突き付けなければならない。我々の場合、植民者は合衆国である。ここにおいてカ・ラフイ・ハワイは、現行の連邦政府の先住民自治政策が、先住ハワイ人にも及ぶことを求める。また、カ・ラフイは、1893年の違法なハワイ政府転覆において合衆国の果たした役割を認めた1993年の「謝罪法」を、歩み寄りの一つとしてみとめる。この法律は和解への具体的プロセスを欠いているため、カ・ラフイ・ハワイはそのホークプにおいて、土地・天然資源・文化財に関する記述を目的・重要な要素・条項として和解の中に盛り込まれるべきものとして定義している。
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第3の領域:国際的領域
先住民たちのの地球規模のコミュニティーに衝撃を与えるような問題が、国際的部隊で主張される。カ・ラフイ・ハワイは人権および先住民の集合的権利の保護を求めるさまざまな国際会議に出席する。この国際的領域において、カ・ラフイは我々の自決権をより強固なものとするために、他の先住民たちと協力する。カ・ラフイを代表して「先住民の権利宣言草案」や「マルティネス条約研究」、その他の健康・教育・住宅政策等に関する問題を指摘した数々の補足意見が提出された。カ・ラフイ・ハワイは国連の「非自治領」のリストに再登録することを求めている。
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第4の領域:国家と国家の関係
先住民国家たちは、先住民国家同士の関係において、また他の国民国家との関係で、外交関係を確立することができるし、また、そうしなければならない。先住民国家は、彼らの土地・領土・人権を守るために統一した立場を取る必要がある。今日までにカ・ラフイは北アメリカおよび南アメリカの85以上の先住民国家と17の条約を批准している。
カ・ラフイ・ハワイは、これら主権の4つの領域という枠組みを堅持して活動を続けることこそが、我々の自決権の執行を最大限に保障すると確信している。
Oli Ho'oikaika
E iho ana o luna;
E p'i ana o lalo;
E hui ana na moku;
E ku ana ka paia.
上にあるものは引き降ろさねばならない、
下にあるものは引き上げねばならない、
島々は固く結ばれねばならない、
壁はまっすぐに立っていなければならない。
民族の予言、デビッド・マロによって採録された伝統的オリ
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