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Illness,
Not As
Metaphor
「ひょっとこ」といいます。顔のパーツ、特に鼻が異様にでかい気がしたのでそういう名前になりました。もとは大事に育てられた飼い猫だったようで、毛並みもきれいでしたが、今はすっかり野良生活が板についてきました。冬のさなか、なかなか風邪が治らないで弱っているようだったので病院に連れて行きました。皮下点滴を入れて抗生剤を注射してもらったら風邪はあっさりよくなったんですが、診察中に他の障害が見つかりました。
膀胱の神経が麻痺しているそうなんです。膀胱がいっぱいになっても尿意がないから、おしっこが自分で出来ない。姿勢を変えたり、ごはんを食べるときやうんちをするときに他の内臓に圧迫されて、垂れ流される以外には排出されていなかったみたいです。
毎日、獣医の先生に教えていただいた通りに、後ろ足で立たせて下腹部を押さえ絞り出すようにして強制的に排尿させています。そんなことをされても大して嫌がらず、抵抗しないのこそ、神経が麻痺している証拠なのだそうです。
こんな風に人の手を借りて排尿を続けながら、膀胱がいっぱいの状態と空っぽの状態の感覚が戻って来るように、リハビリを続けるしかないみたいです。
はじめは気が遠くなるほどたいへんなことのように感じられましたが、やってみるとそうでもないです。おしっこをたくさん絞れると、牛乳じゃあるまいし、妙に嬉しかったりして。
嫌がるときもあるけれど、おなかがすっきりすると、そのぶん食欲も出るみたいです。
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龍宮城だより