Illness,
Not As
Metaphor
一難去ってまた一難。夜中にトイレの周りで奇声を発して暴れることが多くなった。「さかりでもつきはじめたんだろうか」などと、素人の判断でいいかげんなことを考えるべきじゃない。動物が全身で不調を訴えているんだから、ちゃんと読み取ってあげなければいけないし、わからないなら専門家に見てもらうしかないのだ。

膀胱炎だった。おしっこを採取して検査してもらう。鮮血反応があるのは、尿道に傷が出来ている証拠。白血球が多いのは、炎症を起こしているから。

あと重要なポイントは尿のPH、「ストラバイト尿石症」という特に尿管が長くて細いオスには多いきわめてポピュラーな病気があるのだが、このストラバイトという化学物質はPH8以上のアルカリ性下で結晶を作る。この結晶が成長し、石となって尿管を詰まらせ、膀胱炎をおこすのだ。

尿を遠心分離にかけてもらった結果、やっぱり結晶が出た。教科書に載ってるみたいなきれいな結晶だと、先生方が感動していたので、私も思わず得意な気持ちになってしまったが、そんな場合じゃない。

ストラバイト尿石症の治療には、厳格なダイエットコントロールしか方法がない。まず、「プレスクリプション・ダイエットs/d」という、これは尿のPHを結晶が溶解する6.5以下に維持する食事、を続ける。一週間毎に尿検査をしてチェック、結晶が見られなくなったら今度は「c/d」、これはストラバイトの発生を予防するものらしい、に切り替える。

うちではこの「にょろ」と「アール」が仲良く同時にストラバイト尿石症にかかった。だから二人だけを隔離してこの高価な処方食を食べさせた訳だ。さいわい二人とも喜んで、かどうかは知らないが、何とか食べてくれたが、中にはどうしても食べてくれず途方に暮れている飼い主は多いんだそうだ。

3週間目で、二人ともphは6に下がり結晶も消え、現在はめでたく「c/d」の処方中。


龍宮城だより