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Illness,
Not As
Metaphor
「にょろ」といいます。私が初めて拾った猫です。きっと母親からミルクもろくに飲ませてもらえないまま、離れ離れになってしまったところを拾ったのでしょう。子供の頃からめっぽう体が弱かった。こちらも初めてだったから、何をしてあげればいいのかも全然わからなかったから、本当にたいへんだった。動物を飼うというのがこんなにも大変なことなんだとは、知らなかった。ならばこれに懲りていればよかったものを・・・。
まず、何を食べさせても下痢が止まらず、本当に3日のうち2日は下痢だった。途方に暮れた。お医者さんに相談して、プレスクリプション・ダイエットと言う高価な処方用の缶詰のうち、胃腸の弱い猫向けの「i/d」というのを勧められた。185グラムの一缶が190円もする。ディスカウントスーパーで買う普通のキャットフードの優に3倍以上はする。それでも、安定しているとは言えなかった。いつ下痢になるかわからない、こちらもはらはら、そのいらいらが伝わって猫もナーバスになる。ますますよくない。下痢になると、腸の粘膜を再生させるのに最低2日はかかるから、その間絶食するのが何よりなのだが、育ち盛りの子猫のことだから、そんなことをしようものなら生ゴミはもちろん、およそ食べ物らしいにおいのするものは何でもかじってしまう。かじられそうなものはすべて棚に隠す。そうすると、出ているものは何でもかじる。こんないたちごっこ、親子ともども、消耗の極致だった。
子猫にはよくあることらしいが、消化酵素の分泌がよくないのかもしれないと、粉末の酵素をいただいてきてごはんに混ぜて食べさせてもいた。効果があったのかどうか、いまだによくわからない。
ともかく、不思議なことだ。成長とともに、ふっと、治ってしまった。お金はかかるけど、大事をとって「アイムス」といった高級「プレミアム・フード」にしたおかげかもしれないが、今では、毎日コロコロのいいうんちをしてくれる。
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龍宮城だより