ジェリーさんの一年。
ジェリーさんがうちで「点滴」受けるようになって、ちょうど、一年、が過ぎた。



ジェリーさんは、猫エイズ(FIV)陽性猫、一年前に入院したとき、慢性腎不全で、余命一年と宣告された。

「免疫」と「エイズ」についておさらいしておきましょう。身体に自己と異なるタンパク質組成を持つ異物(抗原)が侵入したとき、Bリンパ球(骨髄Bone Marrow由来だからそう呼ぶ)の免疫グロブリンという受容体(抗体)が反応する。Bリンパ球は細胞の外側にある抗原を識別することができるが、ウィルス感染のように細胞の内部で感染が生じてしまうと、識別できない。ウィルス感染した細胞などを「非自己」として抹殺するのが、Tリンパ球(胸腺Thymus由来)の役割だ。エイズ・ウィルスは、一本鎖のRNAと「注射器」みたいな構造のみからなる単純な生き物で、Tリンパ球に自らのRNAを「注射」し、T細胞のミトコンドリアのDNA複製機能を「乗っ取る」かたちで、自己を複製する。エイズ・ウィルスに感染したTリンパ球はもはや「非自己」を識別してこれを抹殺する役割を果たせなくなってしまう。



ジェリーさんの腎不全が、エイズと直接関係があるのかどうかはよくわからないのだが、病変が回復しないのも免疫システムの破壊によるものなのだとしたら、それもしょうがない。これ以上悪化しないように、衰弱して日和見感染を引き起こさないように、人為的にカバーするしかない。



乳酸リンゲル液「ソルラクト」、一日150ミリリットル注入、点滴針による細菌感染を防ぐための抗生剤投与、血中老廃物を吸着して糞として排出させるための活性炭「コバルジン」の経口投与、この3点セットが一日のノルマとなった。
点滴と抗生剤の注射を病院で「診療」としてしてもらうと、かなり割り引いてもらっているのだがそれでも、1500円くらいかかる。毎日そんなことはしていては私も破産するし、第一、そんな時間もない。

ソルラクト500ミリリットル1500円、注射針は1本あたり数十円、輸液チューブのセットはそれでも1セット500円くらい、ほぼ「卸値」程度で分けてもらって、やっと私もジェリーと「共存」できることになった。消毒のための薬用アルコールとカット綿は、ディスカウント薬局で手に入れた。



ジェリーは「物分りのいい」猫で、点滴をほとんど嫌がらなかったから助かった。でも、薬を飲ませるのにはかなりてこずった。はじめはコバルジンを餌の上に振りかけて出したりもしていたのだが、何が気に入らないのか、ぷいと食べないで行ってしまう。猫はにおいに敏感だから、気を使う。「猫用ミルク」に混ぜて、注射器で無理やり飲ませるという方法でなんとか飲ませられるようになるまでに、2ヶ月くらいはかかったかな?

ともかく、ジェリーは、こうして、一年、生きた。点滴用の「18G針」、「医療廃棄物」だから、家庭用ごみでは出せないから、いつか動物病院に返そうと思って、でも、もうすぐジェリーさん死んでしまうんだから、それまで「記念」としてとっておこうみたいに考えていたら、もう360本あまり、たまっちゃったじゃない。

西暦2007年12月11日、ジェリーと私は「まだ」生きている。生きていることに「意味がある」とは、口が裂けてもいわない!

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