点滴生活
猫エイズのジェリーさん、しばらく入退院を繰り返していたんだが、腎臓の状態はほぼ末期的で、あとは大量の皮下点滴で水分補給、コバルジンという活性炭を経口摂取して老廃物を取りのぞく、それでなんとか食欲を維持できれば、生き延びれる、という段階らしい。人間ならあと人工透析という手段があるのだが、動物はじっとしててくれないから技術的にむずかしいし、費用も半端ではないから、獣医業界では飼い主のよほどの要請がないかぎり、実施しないきまりになっているらしい。
点滴をいれると、不思議なことに、たちまち食欲が戻ってきて、表情もみるみる「明るく」なる。でもはじめは週一回程度でよかったのが、三日に一度二日に一度となってくると、時間もないし経費もバカにならない。こうして、若干の技術指導を受けたのち、「テルモ乳酸リンゲル液500ミリリットル」2パック、輸液チューブ、注射針、抗生剤とコバルジン一週間分、計8千円強を購入、自宅で「獣医さんごっこ」、の「点滴生活」が始まった。
一日約150ミリリットル。今5パックめだから半月余りか?調子はすこぶるよい。一時は7キロ以上の肥満体だったのが3キロまで落ちた。それが週百グラムずつくらいではあるが、増えはじめ、見た目も少しふっくらしてきた。足にまとわり付いたり、膝のうえに乗りたがったり、「猫らしい」仕草も戻ってきた。
自分のしていることが、たとえばこの「けもの」が生き延びるために、「役に立っている」ちという感覚は、格別のものだ。だが、そんな「美しい」話より、私は単に、この「獣医さんごっこ」がたいそう気に入ってるらしい。日々の「ルーチンワーク」こそが、今度は、人を、生き延びさせる!台所の流しに洗っていない茶わんがある、洗濯しなきゃ着るものがない、電話料金払わなきゃ、明日の朝会議がある、レボートの提出期限が今週末だから・・そんな「些事」が人を、「生命」につなぎ止めている。そう思ったらなんか嬉しくなってきちゃった!
さ、ジェリーさん!お注射の時間ですよ!
すまんね。なんか誰かに自慢したくなったんで・・。点滴セットと記念撮影↓
前
戻る
次