さようなら、リンリン
家に戻ると、リンリンはまだ生きていてくれた!声をかけると、起き上がろうとさえしてくれた。掛け値なしに嬉しかったね。
おしっこで濡れた古着やタオルを取り替え、お湯を沸かして湯たんぽを作り、点滴をしてミルクを飲ませる。そんな作業をてきぱきとこなしながら、なんか「華やいでいる」自分がおかしい。もう「治る」ことは決してないのに、確実に死ぬことがわかっているのに、この子の「世話」をしていられることだけが、嬉しかったのね。
リンリンは、結局それからほぼ一日近く生き続けた。翌朝、もうミルクを口にたらしても、飲み込む元気もないようだった。やがて痙攣が始まる。口から舌がはみ出してしまってたから、手のひらで頭を支えた。
私が仕事に出かけなければならない半時間ほど前、息を引き取った。いつ、呼吸が止まったのかは、よくわからなかったけど。
最後に入れた点滴は、もう体内を循環することなく、翌日ペットの葬儀屋さんで火葬してもらう直前まで、背中のあたりがしっとりと潤っていた。
近所の公園でハイビスカスの花一輪いただいてきて、「アイムス」のキャットフード一つまみをお土産に、旅立ってもらった。火葬の炉の扉が閉まる瞬間、どっと涙が出てきちゃった。この何ヶ月か、リンリンがちゃんとご飯を食べてくれるかどうか、それだけで一喜一憂する毎日だったからね。「一喜一憂」こそが生きている証だったみたいなものだ。
さあ、リンリン、おとうちゃんはそろそろお仕事に出かけるよ!
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