STRUGGLE FOR FREEDOM / 矛盾の上に咲く花 (1)

最近すごく貧乏なんですよ。もともと給料安い、てか雇われてる時間少ないんで当然なんだが、わずかばかりの貯金も目減りして来て底が見えて来た。貧乏人てそんなもんなんですね、すごい贅沢をしたわけでもない、ただなんとなく、「意味」もなく、満足感もなく、お金が減っていくんです。

部屋中猫だらけになっちゃって、こんなにバカみたいに増やすから、餌代が家計を圧迫しているのは目に見えている。でもバカなんだから仕方ない、引き受けた以上飢えさせるわけにいかないから、本人が飢えない程度に節約しようと決意した。もともと「うつ」で「ひきこもり」の地味な暮らしだから、節約すべき項目がなかなかないのね。滅多にしない外食を、一切しないことにした。もちろん外でビール飲むなんてもってのほか。亜熱帯の夏には大量の水分補給が必要だが、自動販売機の飲み物を買うのをやめた。スーバーで安い2リットルのペットボトル買ってきて持ち歩くようにしてたこともあったが、さらにそれも節約して家で小まめに茶を沸かしペットボトルで冷やして持ち歩くまでになった。びんぼくさ!

禁酒した。といっても私の場合外でお酒飲むわけじゃないからもともと大してお金かかってたわけでもないんだけど、「カルロロッシ」て銘柄のカリフォルニア・赤ワイン、その1.5リットルびん、千円もしないんだけど毎日一本飲んでた。一日千円の節約も今となってはバカにならないし、何よりアルコールに依存しない生活は、ストイックな「清貧」気分を盛り立てるとともに、際限ない「うつ」への退行も防げるから、一挙両得ではある。大体一月半は続く。その頃になると「禁欲」へのモチベーションてかインセンティブてものが色褪せてきてね、別にそう飲みたいわけでもないのに、「飲まないでいる」理由がわからん!などというこれまた理不尽な理由で飲み始めてしまう。

携帯電話の請求書見て落ち込んだ。ご承知のとおり私、このところますます友達いないから、電話もメールもほとんどいらない。無料通話分で充分。ウェッブ使用量、シャレになんないくらいかかってる。世はブロードバンドの常時接続の、って時代なのに貧乏ってこうなのね、電話回線もコンピュータも持ってない貧乏人にはますます金がかかる仕掛けかい?なにが情報リテラシーじゃ!

で、携帯でウェッブ接続するの、やめた。こうして私の携帯電話機は通信機器としての最後の機能を失い、純然たるゲーム機となった。ところでインターネットで何してたのって、これが単に自分の書いた文章とか自分の携帯カメラで撮った自分の猫の写真とかをだな、自分のサイトにアップロードして編集とかしてたわけだ。年収200万に満たないド貧民がそんなことのために月一万数千円も使ってた、呆れてものも言えない。ただちにやめろ!毎日インターネットカフェに通った方がまだ安上がりなくらいじゃないか!


私、初めて自分のサイト持ったのが六年前だからインターネット歴結構長い方、でもここが病的なところなんだけど、他人の作るサイトってほとんど興味ないの。オナニーのネタ探してエロサイトを「逍遥」したことはあったが、「ネット・サーフィン」なんてしたことない。他人が他人の事情について縷縷述べた文章なんて読むに耐えない、ってことが理解できるデリカシーがあるなら、自分が自分の事情についてやはり「縷縷」述べた(これ「るる」って読むんだけど、ケータイの辞書にはこんなインテリな言葉なくって、広辞苑引いたり苦労したのよ)としても、

これまた、同じく読むに耐えないに違いない、くらいの想像力はあるのだけれど、ここがまた違うんだな!書いた文章は読んでもらいたいのが人情、でも実際に読んでくれって頼んだら、あちこち波風たつでしょ?出版してくれって言いました?印刷してくれ、とさえ言ってませんよ。いい時代になったものだと思うよ。同人誌なみの発行部数しかないくせに何故か高飛車な編集者とかに頭を下げることもなく、多少のコストで自分の文章を、少なくとも可能性としては、「人口にカイシャ(膾炙)する」、これまた第二水準、大変な漢字だ、「多くの人の目に触れる」ってことだ、状態に置けるんだから。サイトのヒット数ってのは、検索エンジンへの登録とか、検索キーワードの設定とかで、見る見る変わってくる。「営業努力」の余地もある。

「病気」の私にとって、インターネットはまさに「ライフライン」だった。「世界」とつながる唯一つの窓口。そんな老人の楽しみを、貧しさは奪ってしまった。いいよ、これからはゲームの合間にメールの「下書き」トレイに思いっきり文章を書き溜め、月に一度か二度インターネット・カフェ行ってアップロードすることにするよ。

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