TOMO
in the
Bathroom
・4月15日
病気の猫ほどよく暴れるんだという。そうかも知れない。口の周りを触られると激しく抵抗する。
午前中、薬を飲ませるときにエプロンの上でうんちとおしっこをされてしまった。おしっこはジーンズにも染み込んでしまったから、その場で洗濯。他の猫にうつってはいけないし、とは言っても半ば気持ちの問題なんだが、他の洗濯物といっしょにしたくないので、手洗いをして屋上に干した。幸い快晴だから2、3時間で乾くだろう。しかし毎日こんなことやってるわけにはいかない。もっと乾きやすいジャージかなんかの安物を買ってこようか?
口の消毒。今度は、一工夫して、病院の先生に教えていただいたように、洗濯ネットを使ってみた。病院でも、よく暴れる猫は洗濯ネットに入れたまま注射や点滴をするらしい。手足を押さえることもできるし、猫自身も袋の中にいると何かしら安心感があるらしい。
威力絶大だった。首だけ出して口を開けさせてみても、それほど暴れない。
舌の中央部の真っ赤にただれた部分めがけて、イソジンを染ませたコットンパフを綿棒の先に巻きつけてできるだけ、そっと、当てる。あたった瞬間ものすごくしみるのだろう。手足を激しく動かすけど、洗濯ネットのおかげで負傷は免れた。
今回も口を無理やりこじ開けたとたん、興奮して勢いよく放尿し始めたけど、見事に排水口の上だった。

三日目にしてやっとなんとか、やっていけそうな気がしてきた。トンネルの向こうに明かりが見えた気がした。
ともちゃんは今屋上。ごはんを食べて日光にあたって、少し機嫌を直してくれただろうか?

・4月16日
昨日屋上に出したときから少し元気がなかった。よだれだけでなく鼻水も出ている模様。病院に連れて行く。
熱40度。風邪かカリシウイルスの鼻炎の再発か。点滴、抗性剤注射。
インターフェロンを処方してもらった。これから一日二回眼と鼻に一滴ずつ滴下する。インターフェロンはウィルスに対する抗体の生成を促進するものだそうで、眼や鼻などウィルスの攻撃を最初に受ける粘膜に滴下しておくと、これを撃退するのに効果がある。
カリシウィルスの舌炎は通常二週間くらいで治るという。トモの場合は、エイズで免疫力が落ちているから治りがこんなに遅い。でも、カリシウイルスに感染して舌炎になった猫は、ものが食べられずに脱水で死ぬことが多いのだそうだが、トモはとにかく食欲があるのが救いと先生もおっしゃってた。
確かにこのこの食欲はすごい。舌の中央部が真っ赤に腫れ上がっているのに、実際に食べ物が当たった瞬間はものすごく痛いのだろう、ほとんどむせ返りながらも、なお口にほおばり、血の混じったよだれや鼻水を飛び散らしながらも、それでも、食べる。

・4月17日
今、トモの世話が終わったところ。洗濯も含めてたっぷり二時間ってとこかな?半失業状態で、昼間がほとんど毎日暇だからこそ出来るわざ。ありがたいことだ。
今日からインターフェロンというメニューが増えた。さいわいなことに、これはそれ程いやがらない。やはり先生のおっしゃるとおり、口の周りや喉など傷んでいるところを触られるのが嫌らしい。洗濯ネットの中で放尿、排便。それでも何とか薬は飲み込んでくれたし口の消毒もできたと思う。
僕の技術もトモちゃんの病状も少しでもよくなってるならいいんだけど。


龍宮城だより