1. [改訂版]
    のとき、を求めよ。

    まず、準備として、いくつかの用語の定義、と一つの定理の証明を行う。 「有界」及び「単調」について、次のように定義する。
    • 「上に有界」
      {an}に対して、nに無関係な定数Mが存在して、つねに
      anM
      となるとき、{an}は上に有界であるといい、Mを1つの上界と呼ぶ。
    • 「下に有界」
      {an}に対して、nに無関係な定数Mが存在して、つねに
      anM
      となるとき、{an}は下に有界であるといい、Mを1つの下界と呼ぶ。
    • 「単調増加」
      {an}が単調増加であるとは、任意のnについて、
      anan+1
      であることをいう。
    • 「単調減少」
      {an}が単調減少であるとは、任意のnについて、
      anan+1
      であることをいう。

    [定理]
    • 数列{an}が単調増加で、かつ、上に有界ならば収束する。
    • 数列{an}が単調減少で、かつ、下に有界ならば収束する。

    [証明]
    • {an}が上に有界だから、
      任意のnに対して、Mが存在して、anM
      上界Mの最小数を{an}の上限と呼び、sup{an}と書く。
      sup{an}=aとすると、
      上限の性質から、任意の正数εに対して、
      0<a-an<ε
      となるa-anが、すなわち、それに対応するnが存在する。
      一方、{an}が単調増加であることから、
      nNに対して、anaN
      すなわち、a-ana-aN
      したがって、任意の正数εに対して、
      0<a-aN<ε
      となるNも、当然、存在する。
      (どんな小さなεに対しても0<a-an<εとできるのなら、
      それより大きいa-aNにだって0<a-aN<εとできていた筈だ!)
      よって、任意の正数εに対して、nNのときつねに
      |an-a|<ε
      となるNが存在する。
      これは、anaに収束する、ということである。
    • {an}が下に有界だから、
      任意のnに対して、Mが存在して、anM
      下界Mの最大数を{an}の下限と呼び、inf{an}と書く。
      inf{an}=aとすると、
      下限の性質から、任意の正数εに対して、
      0<an-a<ε
      となるan-aが、すなわち、それに対応するnが存在する。
      一方、{an}が単調減少であることから、
      nNに対して、anaN
      すなわち、an-aaN-a
      したがって、任意の正数εに対して、
      0<aN-a<ε
      となるNも、当然、存在する。
      (どんな小さなεに対しても0<an-a<εとできるのなら、
      それより大きいaN-aにだって0<aN-a<εとできていた筈だ!)
      よって、任意の正数εに対して、nNのときつねに
      |an-a|<ε
      となるNが存在する。
      これは、anaに収束する、ということである。
      こうして準備が完了したので、この定理を用いて、上の極限値を求める。

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